宇宙から落とし物と思われる重さ40kgの巨大パーツを農場主が発見し困惑
宇宙開発が進むにつれて、人工衛星やロケットなどの落下物の危険性も無視できないものとなっており、2024年4月には国際宇宙ステーションからの投棄物がアメリカの民家を破壊したことが報じられています。新たに、カナダで人工衛星の一部と思われる部品が見つかったと、地元のテレビ局が伝えています。
Space junk? Sask. farmers baffled after finding strange object in prairie field | CTV News
From outer space? Farmers baffled after discovering wreckage in field | Hacker News
https://news.ycombinator.com/item?id=40314299
カナダのサスカチュワン州イチュナで5世代にわたって農家を営んでいるというバリー・ソーチャック氏は2024年4月28日、妻と4人の息子と一緒に農業を営んでいる約1万エーカー(約40平方km)の農地の一角に、奇妙な物体が散乱しているのを発見しました。
農場にゴミが落ちているのはよくあることですが、このようなものが見つかるのは今回が初めてとのこと。
100ポンド(約40kg)ある破片を家に持ち帰ったソーチャック氏は、この物体は宇宙から飛来したものではないかと考えました。
「人工衛星か、再突入した何かの一部ではないでしょうか。あちこち焦げているので、燃え尽きていることがわかります。破片はカーボンファイバーの複合材で、その上にアルミニウムでできたハニカム構造があって、その背面にもう一枚の炭素の複合材があります」とソーチャック氏は地元のテレビ局・CTV News Reginaに話しました。
アメリカにあるハーバード大学の天文学者のジョナサン・マクダウェル氏によると、これは民間宇宙ミッション「アクシオム3(AX-3)」で使われたSpaceXの宇宙船「クルードラゴン」のトランクで、2024年2月26日にサスカチュワン州上空に再突入したものだとのこと。
Part of the Axiom-3 Dragon trunk that reentered over Saskatchewan on Feb 26 has been found on the ground; regina.ctvnews.ca/from-outer-s...— Jonathan McDowell (@planet4589.bsky.social) May 10, 2024 at 6:10
宇宙船が再突入した際の軌跡と破片の発見場所は一致しており、見つかった物体も宇宙船のトランクとよく似ていると、マクダウェル氏は指摘しました。
The reentry trajectory of the Ax-3 trunk matches exactly
the location where the debris was found, and it strongly
resembles other Dragon trunk debris found after a reentry over Australia last year:
[image or embed]— Jonathan McDowell (@planet4589.bsky.social) May 10, 2024 at 6:12
2022年にも、今回見つかったものと同様の破片がオーストラリアの羊牧場で発見されています。
Possible SpaceX debris falls in Australia from Dragon spacecraft | Space
https://www.space.com/spacex-debris-fall-australia-crew-1-dragon-capsule
以下は、2022年にオーストラリアで見つかったもの(左)と、今回カナダで見つかったもの(右)を並べた画像です。確かに似ているように見えます。
サスカチュワン州にあるレジーナ大学の天文学者であるサマンサ・ローラー氏は、CTV News Reginaに「サスカチュワン州をまっすぐ突っ切る軌跡のどこで破片が落ちるのかわかりませんし、大気の乱れなどの影響で破片の落下場所はかなり予測不可能です」と話しました。
CTV News Reginaは、カナダ運輸安全委員会に問い合わせて、ソーチャック氏の農場で見つかった破片が航空機の一部ではないことを確認しました。また、カナダの宇宙庁は、この件について調査中であるとテレビ局に回答しています。