『ONE PIECE』『銀魂』『ドラえもん』……漫画史に残る料理が苦手なキャラといえば?
最近ではあまり見かけなくなってきたが、日本の漫画やアニメでは、料理を苦手とするキャラクターがよく登場する。作品によっては、食べ物とは思えない凶悪な一品が生み出されることも珍しくない。本稿では、そんな料理が苦手なキャラたちの逸話を振り返ってみよう。
(参考:【写真】日本人形の老舗が作った『ONE PIECE』フィギュアが凄すぎる)
『ドラえもん』のジャイアンは、兵器に利用されるほど破壊力が高い歌唱力で知られているが、実は料理スキルに関しても絶望的だ。原作てんとう虫コミックス版の13巻に収録された「ジャイアンシチュー」という回で、その一端が示されている。
作中ではジャイアンが新しい趣味として料理に手を出し、「ジャイアン料理研究発表会」と題したイベントに友人たちを招待。そこで披露されたのが、サブタイトルにもなった「ジャイアンシチュー」だ。ひき肉とたくあん、しおから、ジャム、にぼしなど、意外すぎる食材のマリアージュとなっており、当然お味は最悪だったらしい。
しかしジャイアンは「うまいかおいしいか」と賛辞を要求したため、スネ夫は歪んだ表情で「すごい!」と答え、しずかは「と、とてもお、おおいしいわ」と涙を流していた。ちなみにアニメ版では、食材にセミの抜け殻まで加えられている。
2011年に放送された料理バラエティ番組『シルシルミシル』(テレビ朝日系)では、この「ジャイアンシチュー」を再現する企画を実施。試食した料理研究家・土井善晴が「暗闇のよう……」と酷評した一方、お笑いタレント・出川哲朗は「見た目さえなければ普通にいけますよ」と意外なコメントを残していた。
危険極まりない……料理下手なジャンプ漫画のキャラは?
また、ジャンプ漫画で有名な料理苦手キャラとしては、『銀魂』の志村妙が挙げられるだろう。彼女は得意料理として卵焼きを頻繁に振る舞っていたが、評判は悪く、坂田銀時からは「かわいそうな卵」とこき下ろされている。
卵焼きにかぎらず、志村妙の料理は真っ黒な物体として描写され、「暗黒物質」(ダークマター)と呼ばれるように。たとえば、なぜか黒焦げになった握り寿司などを生み出していた。
その料理は不味いだけでなく健康被害をもたらす効果があり、腹痛程度は軽症レベルだ。銀時と近藤勲は記憶喪失になり、吐血や失神を引き起こしたキャラクターも。さらに初期には、弟・志村新八の視力低下を引き起こした原因とされていた。
同じくジャンプ漫画では、『ONE PIECE』の主人公、モンキー・D・ルフィも絶望的な料理の腕前をもつキャラクターだ。単行本79巻のSBSで、ルフィの得意料理は「生肉のお皿のせ」と明かされていたが、作中で実際に披露したのは「おれの気まぐれカレー」という一品だった。
ホールケーキアイランド編で離脱したサンジの代わりに、ルフィが仲間たちに振る舞った料理だが、見た目からして凶悪。魚の骨や謎のキノコが煮込まれており、大量のジャムまで入っているらしく、ペドロは「ネバネバした水色の何か……」と報告している。
そんな船員たちの反応に憤慨を隠せないルフィだったものの、自ら口を付けるとあまりの不味さに「こんなの食えるかー!」と口走っていた。
ある意味、どんな逸話よりも印象に残りやすい料理苦手エピソード。次なる才能の持ち主が現れるのは、どの作品だろうか。
(文=佐藤俊治)