カーリング女子日本代表のSC軽井沢クラブが初の世界選手権で11位 2026年五輪出場へ黄色信号
カーリング女子日本代表のSC軽井沢クラブが初めて出場した世界選手権は、3勝9敗で11位という結果に終わった。
初戦のニュージーランド戦を勝って白星で発進したが、2戦目のトルコ戦からはデンマーク、韓国、スイスと4連敗。以降も世界の強豪相手に連勝することはできず、ラウンドロビン(総当たりの予選)で大会を去ることになった。
初の世界選手権では11位という成績に終わったSC軽井沢クラブ。photo by AP/AFLO
初出場ということもあって、戦術面ではセーフティにエンドを消化したい意図があったのかもしれないが、リスクマネジメントに重心を置きすぎたきらいがある。多くのエンドで相手の石を出すことを優先し、複数得点の足掛かりを失ってしまっていた。
もちろん、世界にはシンプルなショットを多用し、ベーシックな戦術で勝つチームも多いが、それにはよりシビアな精度が求められる。SC軽井沢クラブの大会を通してのチームショット率は77.6%。80%を超える試合が半数以下という数字では、足りない部分のほうが大きかったと言わざるを得ない。
ただそのなかでも、リードの上野結生のセットアップ、リザーブの両川萌音のリリーフ、上野美優のラストロックは、どれも安定感という課題を抱えながらも、世界に食らいついていける可能性を示してくれた。
経験不足は事前からわかっていたこと。大会後、各選手は悔しさを噛み殺しながらメディア対応をこなしたが、この苦い経験こそが次につながるはずだ。
とはいえ、今回の結果によって、日本女子代表の2026年ミラノ・コルティナダンペッツォ五輪への道は険しくなった。
同五輪は今大会と来年の世界選手権、2大会の成績で振り分けられるオリンピックポイントによって出場枠(※1)を競う。
※1=五輪の出場枠は10。開催国イタリアを除いた、オリンピックポイント獲得上位7チームがストレートイン。最後の2枠は世界最終予選で決まる。
そして今回、11位の日本代表が獲得したオリンピックポイントは「3」だ。
前回の2022年北京大会はコロナ禍の影響でイレギュラーなレギュレーションだったが、今回とほぼ同じレギュレーションで行なわれた2018年平昌大会の出場レースは、出場権を得る上位7チームに入るためには、男子が「13」、女子が「12」というオリンピックポイントを要した。
しかし当時より、世界選手権の出場国が増えたことで上位国の獲得ポイントがアップ。2026年大会にストレートインするためのボーダーラインは、おそらく13〜15ポイントあたりになるだろう。つまり、日本女子代表が五輪出場権を得るには、2025年3月に韓国・ウィジョンブで開催される世界選手権で10ポイント以上、順位で言えば、ベスト4以上の成績が必須になる計算だ。
無論、先にも記したとおり、2大会の世界選手権で上位7チームに入れなかったとしても、2025年12月に開催予定の世界最終予選に回って、最後の2枠を争う戦いで生き残れば、出場権を得られる。だが、そのためにはオリンピックポイントで上位9位から13位までに入らないといけない。
要するに、来年の世界選手権に出場できなければ、その時点で五輪への道がさらに厳しくなってしまう(※2)――そんなシナリオも存在する。
※2=世界最終予選前の一次予選に回ることになる
その重要な世界選手権の予選にあたる、パンコンチネンタル選手権は今年10月下旬にカナダ・ラクームで開催予定だ。そこで、4位以上(※3)に入賞することは絶対条件だ。
※3=次回世界選手権は韓国で開催されるため、韓国が4位以内に入れば、5位でも出場権が獲得できる見通し。
パンコンチネンタル選手権には、カナダ、アメリカ、韓国、ニュージーランド、さらに来季は中国も出場してくる。まずはその北米、アジア、オセアニアのライバルを相手に、同大会の日本代表に内定しているSC軽井沢クラブはなんとしても結果を残さないといけない。
SC軽井沢クラブとしては、今回の3勝9敗という結果を真摯に受け止め、半年後のパンコンチネンタル選手権までに課題を改善し、カナダや韓国、アメリカと互角に戦えるチームへとどう進化していくか。日本の命運は「自分たちが握っている」と自覚したうえでの、飛躍的な成長が求められる。