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徳島県を通じて配分される国の特別交付税の減額をめぐり、つるぎ町など3町と県とが争っている裁判です。

この裁判は、県を通じて市町村に配分される国の特別交付税が、つるぎ町・石井町・板野町の3町だけ減額されたのは不当だとして、3町が徳島県に対し、あわせて約1億1500万円の損害賠償を求めているものです。

3町の代理人弁護士によると、3月18日、徳島地裁で行われた協議で3町が県からの和解の申し入れを受け入れた形で、3月26日に和解することで合意したということです。

和解の条件には、特別交付税の配分について疑義が生じたことへの知事からの謝罪や、今後の配分において適切な運用手法の確立などが入るということです。

26日の和解成立のあとで、後藤田正純徳島県知事と3町の町長が会見を開き、和解に至った経緯を明らかにする予定です。


3つの町と徳島県が争うという異例の出来事...その経緯とは


発端は2022年5月、飯泉嘉門前知事と市町村長が一同に会した会議の席でした。

(つるぎ町 兼西茂町長)
「16町村で3つの町だけ下げた、これはなんな」

つるぎ町の兼西茂町長の怒りの理由は、特別交付税の減額でした。

国の特別交付税は、災害による被害など個別の事情に応じて算定され、県を通じて交付されます。

2021年度に交付された特別交付税は、県全体でみた場合は前の年度に比べ6億3256万円増えていました。

しかし、市町村別では石井町・つるぎ町・板野町の3町のみが、前の年度より減額されていたのです。

(石井町 小林智仁町長)
「公平、公平な県政運営を常に期待しているが、『汝の隣人を愛す』姿勢で、残り任期しっかり県民全体を見る県政発展に尽くしてほしい」

関係者の間では、この3町の町長が当時の飯泉知事と対立していた後藤田正純衆議院議員(当時)と親しいことで、意図的に減額された可能性があるのではと指摘する声もありました。

この指摘に対し飯泉前知事は…。

(飯泉嘉門前徳島県知事)
「((記者)特定の自治体の減額を指示した訳ではない?)私の仕事は(県の地方創生局がまとめた)ヒアリングに基づいて、それを国へ持っていって事情を説明して、一つ一つ理解をしてもらう。町村の総額を増やすのが仕事で、減らすのが仕事ではない」

飯泉前知事は、特定の自治体の特別交付税を減額するような指示はしていないと強調していました。

対立は平行線のまま、3町が県を提訴するという異例の展開となります。

しかし2023年4月、後藤田正純徳島県知事の誕生により、3町と県の対立ムードに変化が訪れます。

(つるぎ町 兼西茂町長)
「他の市町村ならみんな拍手してくれる」

(後藤田正純徳島県知事)
「そういうのやめましょう、県と市町村はフラットだから」

後藤田正純徳島県知事は、3町との関係改善に乗り出します。

そして、3町が求めていた特別交付税の算定方法の開示を決断します。

(後藤田正純徳島県知事)
「特別交付税の算定資料については、全面的に開示するよう担当課に指示した」

非公開となっていた特別交付税の算定資料は開示されましたが、算定の根拠を示す資料の存在などを巡り、これまで和解には至っていませんでした。


今回の和解に向けた動きについて、3町の町長の反応は...


(つるぎ町 兼西茂町長)
「後藤田知事が誕生して、後藤田知事の公約の中にも公平公正ということで8市16町村とやっていくと。やはり和解に向けて動いていくのが徳島県の当然発展につながる。戦う気持ちも失せました」

(板野町 玉井孝治町長)
「和解に向けてということで、私自身もそういったことが一番望ましいかなと思っている。いわゆる知事のさじ加減(裁量)がある訳だが、そこのところはやはりある程度オープンにしてもらいたい」

(石井町 小林智仁町長)
「今回の裁判の目的の一つとしては、特別交付税の公平公正な配分をお願いしたいということと、町村の事情をそれぞれくみ取ってもらいたい、そういう風なことが目的の一つとしていた。前向きに話が進むのであれば、これは喜ばしいことだと感じている」