暖房をオンにしたら換気が必要だけど…

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 寒暖差が激しい日々が続いていますが、寒くなると「暖房が欠かせない」という人も少なくないと思います。暖房を使うときは「換気」が大事ですが、せっかく暖かくなった部屋の温度を下げたくなくてつい、換気を怠ってしまいがちになるもの。そこで、部屋の暖かさを保ちながら、上手に換気するためのポイントについて、摂南大学・理工学部建築学科の宮本征一教授に教えていただきました。

換気の頻度は「1時間に1〜2回程度」

Q.暖房をつけると、なぜ空気が乾燥するのでしょうか。

宮本さん「空気中に存在できる水蒸気は、気温によって異なります。温度が高いほど多くの水蒸気を含むことができます。例えば『気温10度、湿度70%』のとき、空気1キログラム中に5.3グラムの水蒸気が含まれていますが、空気中に含まれる水蒸気が5.3グラムのまま気温を23度まで上げると、湿度は30%程度まで下がります。そのため、乾燥したと感じるのです。

秋〜冬場、車の中で暖房をつけたときに窓ガラスが曇るのは、車内にいる人の呼気や皮膚からの水蒸気により、車内の水蒸気量が多くなっている状態で、外気で冷やされたガラス上で結露が発生するためです」

Q.部屋の暖かさを保ちながら、上手に換気する方法はあるのでしょうか。

宮本さん「気密性能が向上している新しい住居は、必ず換気しなくてはいけません。部屋によって上手に換気する方法は異なりますが、『部屋の窓を大きく開ける』『換気扇を用いる』のが基本です。いずれの場合でも外の空気が入りやすい、または部屋の空気が出やすい空気の通り道を確保する必要があります。

秋〜冬場は窓を開けると、どうしても室温が低下してしまいます。窓や換気扇を使って部屋の空気を入れ替えつつ、室温をなるべく保つためにできることとしては、『人が冷たい空気を感じない所から、外気を少量入れ続ける』や『1時間に1〜2回程度、大きく窓を開けて空気を入れ替える』などの方法が考えられます。どちらがよいかは人によって異なるので、自分に合った方法を試してみてください。

なお、居室には基本的に、窓か換気扇はあると思いますが、いずれもない場合はドアを開けて空気を入れ替えましょう。窓が1つだけの部屋であれば、サーキュレーターを外に向けて、室内の空気を外へ出してください」

Q.ガスストーブや石油ストーブを利用する家庭もありますが、一酸化炭素中毒にならないために必要なこととは。

宮本さん「ガスストーブや石油ストーブの多くは、部屋の中の酸素を用いて燃焼させます。そのため、空気中の酸素濃度が通常の21%から18〜19%程度まで低下すると、二酸化炭素だけでなく一酸化炭素が発生します。ガスストーブや石油ストーブを使用するときは、必ず定期的に換気を行うことを心掛けましょう」