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痛車レンタカーで日本半周!カナダから来た中国人学生の感動ドライブ物語

中国国籍を持つAkiraさんはカナダの写真学校に通う20代前半の学生である。

【画像】外国人がレンタカーを痛車にラッピングして日本半周ドライブ、その記録をみる 全21枚

昨年10月末から12月上旬にかけて、ずっと夢だった「痛車レンタカー」での日本半周ドライブを実現させた。レンタカーを痛車に改装? そんなことが可能なのか? まずはそこから聞いてみた。

痛車レンタカーを許可してくれるお店はどうやって探されたんでしょう?


外国人がレンタカーを痛車にラッピングして日本半周ドライブ    Dr.Lippisch

「痛車以前に、外国人にレンタカーを借してくれる店は少ないんです。大手のレンタカー会社の多くは外国人の利用を認めていますが、痛車にする=ラッピングを施工するようなことは難しいです」

「しかも私が希望していた車種は大好きなボルボ…いろいろ厳しい条件がありましたが港区御成門のレンタカー会社で快くレンタルできました。車種を決めてレンタカー会社にメールを送ってアニメのラッピングをしてもいいか聞いたところ快諾いただいたのです。借りたボルボV60は12年前の車種であっても輸入車ですし、希少な車種です。37日間でレンタカー費用は約15万円でした。とてもよい出会いで嬉しく思っています」

なぜ、この時期に日本でのドライブ旅行を計画されたのでしょう?

「昨年5月にも約1か月、日本に滞在し軽バンのレンタカーで東京→竜飛岬(青森県)→大阪をドライブしました。その時に「バンドリ!」プロジェクトが11月3日から5日までの3日間、東京ガーデンシアターで12thライブの開催を発表しました。

自分は「バンドリ!」が大好きなのですが、彼女達のライブに参加する機会が一度もありませんでした。そこでライブ参加を目的として10月末に日本へ行く計画を立て始めたのです。それに合わせて自分が作った痛車で日本各地をドライブしてみようと決意しました」

痛車との出会いは北京で見た「ラブライブ!」

Akiraさんと痛車との出会いは?

「私が初めて日本の痛車とライブ文化に触れたのはもう十年近く前、中学一年生の頃です。北京のアニメイベントで『ラブライブ!』のパフォーマンスと痛車を見ました。

中国では最近痛車が激増していますが、当時はまだ非常に珍しくて中学生だった自分には衝撃でした。痛車は大好きなキャラクターやコンテンツへの最高の応援だと感じさせてくれたのです。その時から、いつか必ず自分の痛車で自分の大好きなコンテンツのライブに参加することを心に決めていたのです」

日本の道路を走るのは初めてですか?


外国人がレンタカーを痛車にラッピングして日本半周ドライブ    Dr.Lippisch

「いえ。昨年5月にも約1か月日本に滞在しました。その時は軽バンのレンタカーを借りて東京→竜飛岬(青森)→大阪→東京までの4925kmを走りました。ほんとは自分のクルマ(ボルボS60R)をカナダから持ってきて日本で乗りたいと思ったのですがいろいろな条件で断念しました」

「日本での運転は北米(カナダ/アメリカ)や中国とはかなり違います。日本では踏切前は一時停止ですが、北米では列車が通過していないときは基本的にはバスだけが一時停止が必要です。中国では一時停止は必要ありません。

また、日本では左折するとき青信号になるまで待たなくてはいけませんが、北米と中国では特に禁止されていない場所では赤信号でも一時停止すれば右折(右側通行なので)できます」

「幅の狭い道や一方通行が多いのも苦手でした。なれない右ハンドルで狭い道で対向車とすれ違うときは緊張しましたね。

あと、北米の交通量の多い高速道路では、スピードが120km/h以上でも車間距離が短いですが、日本では、安全を確保するために車間距離を十分にとっていましたね。自分の普段の車間距離は、日本では『あおり運転』とみられていたかもしれません(笑)」

日本は美しくて友人たちはとても親切だった

日本で印象に残ったクルマはありましたか?

「それは軽自動車ですね。外国人にとっては全く新しい未知の世界のクルマです。

かつて日本のメーカーも中国でいくつかの軽自動車(ハイゼット「華利」/スズキのアルト「奥拓」/ワゴンR「北斗星」など)を発売しましたが、中国の道路環境に合わせて排気量が大きい四気筒エンジンに置き換わりました」


外国人がレンタカーを痛車にラッピングして日本半周ドライブ    加藤博人

「外国人は軽自動車の性能を意識していないと思いますが、去年5月に初めて軽自動車を運転して北米や中国でよく見かける車種との違いが良くわかりました。軽は確かに日本の生活にとてもよく合う車種ですね」

長距離をクルマで移動されて日本の印象はいかがですか?

「日本は美しくて友好的な国という印象を受けました。実際に日本に来るまでは確かにとても不安でした。不幸な歴史もありましたし、海外のマスコミでも、中国人に対して友好的でないこともよく見ました。

実際に日本に来てみると、それらの不安は余計なものだと分かりました。多くの日本人とても親切で友好的です」

「何度も日本を訪れた経験の中で、さまざまな人たちと出会いましたが、年齢、性別を問わず、自分との交流に努めてくれました。日本人の皆さんはとても優しくて親切でした。それにはとても感動しました。

日本のデザイナーさん、痛車ショップさん、そして痛車オーナーの皆さんの協力がなければ、今回の痛車を作ることは絶対できなかったでしょう。外国人として、多くの日本の友人の協力を得られたことは、本当に感謝以外に何も言うことはないです」

とくに印象的だった場所は、沼津・奈良・長崎

日本半周ドライブでどのような都市を訪れましたか?

「10月28日にレンタカーを受け取り、東京/御殿場/沼津/栃木/諏訪湖/名古屋/鈴鹿/奈良/大阪/京都/和歌山/鳥取/島根/下関/北九州/佐賀/長崎/広島/豊田などを訪れて、12月4日にレンタカーを返却しました。

総走行距離は5756kmでした。この期間に栃木県足利市で開催された痛車イベントに出展し、ジャパンモビリティショーも見に行けました。今回の旅のきっかけとなったバンドリ12TH LIVEなどにも参加できました」


外国人がレンタカーを痛車にラッピングして日本半周ドライブ    Dr.Lippisch

「費用はボルボV60レンタカー代が15万円、痛車施工費用(印刷+施工+剥がす)が同じく15万円(御殿場K-CONCEPT DESIGNで施工。費用はシートの種類や面積などによって異なります)です。

相場よりかなり安くやってもらいました。あとは高速道路料金が6万5000円で、宿泊が約8万円、食費が約10万円です。宿泊は首都圏では友人の家に泊めてもらうことが多かったので助かりました。首都圏以外はネットカフェやビジネスホテルを利用しました」

訪れた場所で印象的だったところは?

沼津

アニメ「ラブライブ!サンシャイン!」の聖地、ロケ地です。自分がラブライバーでなかったとしても、沼津は素晴らしい観光地であることが分かりました。落ち着いた小城、美しい駿河湾、日本一の富士山を眺めながら新鮮な海産物を頂く…すべてがすばらしいです。沼津に来てから、浮き浮きしていた心が一気に落ち着いた気がします。

奈良

奈良公園には本当にたくさんのシカがいますね。ここまで身近にたくさんのシカと触れ合える場所は世界中探してもここくらいでは? 機会があればまた奈良公園にいってシカと交流できるようになりたいと思います(笑)

長崎

長崎にはこれまであまり縁がなかったですが本当に美しい場所でした。友人の案内で長崎の漁港にいったり稲佐山の夜景を観光したり、トルコライスとちゃんぽんを食べに行ったりしました。とてもおいしかったです。

次は両親を連れて日本をドライブしたい

次に日本に来たらどこに行きたいですか?

「実は今年の春から日本の学校に通うことになりました。昨年11月、日本に来た時に編入試験も受けています。自分はまだ北陸四県/四国/熊本/宮崎/鹿児島に行ったことがないので、今年はそれらの場所を全部行きたいと思っています。沖縄や北海道はクルマで行くのは高くつきますが、いずれは自分のクルマで行きたいと思っています」

「また、私自身、中学を卒業してすぐから、ずっと海外で生活しているので両親と過ごす時間があまりありませんでした。なのでいつかは中国に住む両親を日本に呼んで一緒にいろいろなところをドライブしてみたいですね」

日本のクルマ好き、痛車好きに一言お願いします


外国人がレンタカーを痛車にラッピングして日本半周ドライブ    Dr.Lippisch

「AUTOCAR JAPANで記事にしていただけたことをとても光栄で嬉しく思います。カナダに住む中国人として『文化の違い』がいかに深刻なものであるかを理解していますが、日本でも、中国でも、カナダでも、どんな文化の違いがあっても私たちは同じようにクルマを愛し、クルマ文化を愛しています。

自動車が走った道は必ず友情のきずなとなります。クルマを通じて築かれた友情と多くの交流を通じて、私たちはより深くお互いを理解し、誤解を解消し、共により良い未来を作り上げることができると信じています。大好きなクルマが世界中を自由に走り回り、友情が自動車文化の中に深く根ざしますように!」