日本テレビ

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ドラマ「セクシー田中さん」を巡る問題で、日本テレビが設置すると発表した「社内特別調査チーム」について、どんなものなのかネット上で関心が集まっている。

企業の不祥事などで設置される、いわゆる「第三者委員会」とは違うのだろうか。識者や日テレに取材して、見解を聞いた。

識者「この調査チームは、第三者委員会には当たりません」

原作との違いによるトラブルを明かしていた漫画家の芦原妃名子さん(享年50歳)が亡くなり、ネット上で経緯の説明を求める声が高まった。その結果、原作を手がけた小学館の編集者らが2024年2月8日、異例の声明を出し、今度は、ドラマを制作した日テレの対応が注目されていた。

そんな中で、日テレは15日、「ドラマ『セクシー田中さん』について」と題する発表を公式サイトで行った。

そこでは、「日本テレビは今回の事態を極めて厳粛に受け止め、これまで独自に社内調査を行っておりました」と明かしたうえで、次のように報告した。

「ドラマ化にあたって窓口となっていただいた小学館にもご協力いただき、新たに外部有識者の方々にも協力を依頼した上、ドラマ制作部門から独立した社内特別調査チームを設置することにいたしました。早急に調査を進め、真摯に検証し、全ての原作者、脚本家、番組制作者等の皆様が、より一層安心して制作に臨める体制の構築に努めてまいります」

この発表が報じられると、ネットニュースのコメント欄などでは、「日テレはやっと重い腰をあげた」「是非きちんと調べて発表してほしい」などと期待が寄せられた。その一方、調査チームの内容があいまいだったこともあってか、「遅きに失した感は否めません」「出来れば、社外の第三者機関が理想だ」といった厳しい指摘も相次いでいる。

この調査チームは、一体どのような組織なのだろうか。

今回の問題でも発言している紀藤正樹弁護士は16日、J-CASTニュースの取材に対し、「この調査チームは、第三者委員会には当たりません」との見方を示した。

日テレの説明は?

「それは、日弁連基準ですと、独立性を担保していないことになるからです。基準では、人、金、モノについての指針があり、それぞれ、企業から中立、かかる費用は青天井、資料請求権の保証になります。それは、契約書の中身を見ると、はっきりします」

日弁連のガイドラインによると、第三者委は、企業から独立した委員のみで構成し、委員会で原因を分析して再発防止につなげると定義されている。さらに、紀藤氏が指摘するような様々な指針などが決まっている。

日テレの調査チームについて、紀藤氏は、社内の人材で作り、弁護士なども参加する日弁連基準の内部調査委員会に当たると指摘した。

「第三者委員会は、よほどの不祥事でないと、設置されません。企業の利害から離れて、第三者が調査するわけですから。とはいえ、日本テレビは、本来は第三者委員会を設置するべきでした。そうでないと、中立性担保に疑義が出て、結論の信用性に関わるからです。企業とすでに契約しているなど、関係性のある人を委員にしてはダメです。ただ、今後の成否は、コンプライアンスがきちんと働くなど調査チームの内容によると思います。日テレに忖度しない外部の人を入れるなど、選ぶメンバーが重要になってくるでしょう」

調査チームについて、日本テレビの広報部は2月16日、取材に対し、日弁連基準のどの委員会に当たるかは明言しなかったが、次のように答えた。

「基本的に社内の人材で作り、外部の有識者にもチームに入っていただき、また、小学館にも協力をいただく社内の特別調査チームとなります。この調査チームは、『セクシー田中さん』の制作上の経緯を調べ、全ての原作者、脚本家、番組制作者等の皆様が、より一層安心して制作に臨める体制を構築することを目的としているため、その目的に相応しい調査の体制をとりました」

社内の人材や外部有識者をどのように入れるかについては、「弊社のコンプライアンス推進室が中心となり、外部有識者には弁護士が含まれます」と説明した。

(J-CASTニュース編集部 野口博之)