日本HPの2024年は飛躍の年へ。最新ノートPC投入やデジタル印刷で成長、HP東京工場は25周年
エグゼクティブも一新して迎えた事業説明会
日本HPは1月18日、都内で事業説明会を行いました。まず、2021年に代表取締役 社長執行役員に就任した岡戸伸樹氏が全体説明を行いました。
代表取締役 社長執行役員 岡戸伸樹氏。手に持っているのは米スポーツブランド「Brooks」との提携で生まれたもので、ソール部分が3Dプリンタで作られたオンリーワンなシューズ
2023年度は想定している6つの成長分野が順調に成長するとともに、グローバルでの売り上げが約537億ドルで、45.7億ドルの利益と順調にビジネスが進んでいることを紹介。昨年からの事業方針である「Future Ready」の継続とAI、柔軟性の時代、セキュリティ、サステナビリティの4つの成長機会を示しました。
HPが捉える成長機会はAI、柔軟性、セキュリティとサステナビリティ
2023年は成長の年であったと言いますが、対して2024年を飛躍の年と表明。NPUも内蔵したIntelのMeteor Lakeを搭載したパソコン等により、PCはパーソナルコンピューターからパーソナルコンパニオンになると言います。
従来AIはクラウド側のサーバーで処理されることが多かったのですが、パソコン内部で処理することによりよりパーソナライズされた体験が、より素早く、より優れたセキュリティとプライバシーを実現可能。コストも下がります。
また、PolyやHyperXも取り入れたことにより広範なハードウェアと周辺機器、サービスを包括的に提供することでパソコン分野の成長をけん引。他のPCベンダーでここまで周辺製品を出している会社はなかなかないので、差別化要因となるでしょう。
2024年は飛躍の年ととらえており、AI PC、デジタル印刷、3Dプリンティングの提供が柱。Made in TOKYOは今年25周年
ハイブリッドワークには通信環境と共にコミュニケーション周辺機器も欠かせない。ゲーミングも引き続き注力分野
プリンティングに関してはデジタル印刷と3Dプリンタに注視。市場が縮小気味の印刷業界ですが、HPは2001年のIndigoの買収で商業印刷市場にも参入。総組み合わせ数百万のカスタマイズパッケージや、不可視インク、蛍光インク、特色インクを使用した特殊印刷などデジタル印刷ならではの付加価値を訴求しています。
また、3Dプリンタは少量のカスタマイズ製品や試作にとどまらず量産製品の製造にも使われだしています。量産使用をサポートするためのプロフェッショナルサービスも行っています。
商業印刷に対応するHP Indigoは製版コストがかからず、超多品種印字に対応するのが魅力。大洞印刷はクリアファイルの印刷で成長していましたが、今後は多様な素材への対応に注力するそう
環境問題に対しては、さまざまな持続可能素材の利用に加えて、パソコンの緩衝材の91%を段ボールかパルプモールドに変更。また、法人パソコンを定額で買い取る「PCリユースプログラム」による再生パソコンの作成等が行われている事例を紹介。
再生素材の利用を進めるほか、今まで使っていなかった素材も活用するほか、緩衝材も排プラスチック化。法人向けに中古PCを買い取り再生販売する取り組みも
岡戸氏はDE&Iに関して、女性社員の活躍を推進する社内活動「Women's Impact Network Japan(WIN Japan)」のエグゼクティブスポンサーを務めていました。現在リーダーシップチームの女性比は42%に向上。さらに管理職における女性比が13.6%となり、2025年までに15%に引き上げると言います。男性の育休取得率は100%の目標をクリアしており、2023年度は109%の達成と紹介していました。
ボランティア活動に関しては、社員のボランティア参加率が43.5%となり、日本HPが入居している品川シーズンテラスエリアマネジメントが主催する清掃活動「品ピカプロジェクト[https://sst-am.com/event/cat/shinapika]」にも参加している他、高校生や小学生を対象とした出張授業・プログラミング体験会の実施、音声電子図書の製作支援が紹介されました。
現社長がDE&Iを推進していたこともあり、女性比率や男性育休取得にはかなり力を入れています
ボランティア活動も活発に行っています。参加率はそろそろ過半数に達する勢い
PCはパーソナルコンパニオンへ
続いて執行役員 パーソナルシステムズ事業本部長の松浦徹氏が登壇。すでにAIは様々なところで使用されていますが、インテルのMeteor Lakeの登場したことで2024年はAI PCの幕開けの年になると話します。
執行役員 パーソナルシステムズ事業本部長の松浦徹氏。手に持っているのは本日から受注を開始したHP Spectre x360 14(英語キーボードモデルの参考展示品)
今までのAIはオンラインでクラウド上で実行されていたが、信頼性やスピード、プライバシーの問題がありました。ローカルでAI処理が行えるようになり、この問題が解決できるようになると言及。
結果としてパーソナルコンピューターの略号として使われていたPCは、パーソナルコンパニオンとなり、今年がAIテクノロジーを内蔵したパソコンの販売開始となるといいます。
パソコンは今年からAI PCへ。数年後にはかなりの台数がAI対応になると予測。コロナ禍後もハイブリッドワークは続くと予測
昨年末にCore Ultraが発表されたのを受けて、AI PCが広がるといいます。従来クラウド側が主体だったAI利用もパソコン内部で実現できるように
インテルのCore Ultra第1世代(Meteor Lake)は昨年発表されていましたが、PCメーカーにとっては年初のCESがお披露目の好機ということでHPは製品発表を行っていませんでした。松浦氏は本日からHP Spectre x360 16/同14、OMEN Trancend 14の3製品の受注を開始すると説明がありました。
本日からHP Spectre x360 16 / 14とOMEN TRANSCEND 14の受注を開始
HP Spectre x360はCore Ultraを搭載するだけでなく、9MPのAIチップ内蔵IRカメラを搭載し、離席や覗き込みを自動で確認することや、Windows Studio Effectsを使用したビデオ会議時の自動背景ボカシ等に対応します。
また、ハイブリッドワークへの対応としてKDDIと提携したパソコンを紹介。パソコンに5年間のデータ無制限通信サービス利用権を付加することで簡単で安定したインターネット接続と、管理工数とTCOの削減が可能となるといいます。
Spectre x360はCore UltraだけでなくAIチップ付きの9MP IRカメラも搭載し、離席やのぞき見を自動でチェック
ハイブリッドワーク向けにKDDIと協業したモデルも法人向けに販売。管理者としては管理工数が減るというメリットがあります
安全面では「HP Protect and Trace with Wolf Coonect」を紹介しました。これはIoT向けで使われているLTE-mを使用し、電源断時やWi-Fi等が圏外でもリアルタイムで端末の探索、ロック、消去が可能となる端末管理となります。
HP Protect and Trace with Wolf ConnectはLTE-mを使うことで電源状態に関係なく管理。法人向けの機能ですが、一台から導入可能とのこと
さらに法人向けパソコンだけでなく、個人向けパソコンでもUC製品として定評のあるPoly製品と組み合わせて利用できるHP Poly Studio搭載パソコンを順次展開予定。オンラインコミュニケーションでは会話の質が重要なのでこれはなかなか気になるポイントでしょう。
このように、ハイブリッドワーク時代での顧客体験の向上というのがコロナ禍後も継承されるようです。
Unified communications製品としては大手のPolyも現在はHP傘下。ハイブリッドワークにあると非常に便利な製品です。Poly Studioには会議室の参加者全員を分割投影できる機能もあります
そのPoly製品群。ヘッドセットだけでなく、ソフトフォン用のハンドセットや会議室用カメラ、スピーカー。モバイル用スピーカーと幅広い製品群が魅力です
HP Spectre x360 16。キーボードが英語版なのが参考展示の理由でしょう。ちなみに松浦氏が持っていたHP Spectre x360 14も英語版キーボードでした
こちらはゲーミングPCのOMEN Trancend 14。他にカスタマイズ性の高いゲーミングキーボードも展示されていました
Made in TOKYOは今年25周年。数十万のカスタマイズ対応を5営業日で
サプライチェーン関係に関しては執行役員 サプライチェーンオペレーション統括本部長の吉田敦子氏が説明しました。HPはカスタマイズ製品を東京都内の工場で生産しています。東京に工場を置くことでこ顧客やパートナーから近く、フィードバックが得やすいだけでなく、輸送時の振動や衝撃も軽減。
そして数年前から日野市に移転したことで、製造と物流拠点を集約して注文から出荷まで5営業日でカスタマイズ製品を届けることが可能になっている他、きめ細かな生産計画と作業工程を実施することができているそう。
環境問題に関しては、緩衝材の発泡スチロールをリサイクル可能なパルプモールドや段ボール製に変更しています。段ボール製の緩衝材は日本で開発し、他国でも採用されているとのこと。
また、配送用のパレットも紙製にしているといいます。パレットは木製もよく使われているので、なぜ紙にしたのか聞いてみると「木材は(虫対応等で)燻蒸が必要になるから」という回答でした。将来は梱包テープも紙製にする予定だそうです。
執行役員 サプライチェーンオペレーション統括本部長の吉田敦子氏
HPが東京工場でカスタマイズモデルを生産するようになって今年で25周年。今年はプレス向けイベントがあるようです
東京で作るメリットは国内輸送に有利なのとフィードバックが得やすいこと、製造と物流拠点が一緒になっている点、そして作業工程のデジタル化を挙げています
東京製造のカスタマイズPCだけでなく、海外製造の製品も5営業日納期。海外製品に関してはさらなる短期納入も予定されています
発泡スチロールを排した紙製緩衝材の大幅な採用。個人的にはリユース前提の輸送用パレットは紙でなくてもよいと思います
HPのもう1つの事業の柱である印刷関係は、今回デジタル印刷機に特化した説明となっていました。デジタルプレス事業部本部 事業本部長の礪波徹氏によると、世界で8,000台近いHP Indigoプリンタが現在稼働しているとのこと(日本での稼働数は非公表)。
デジタル印刷にすることで、従来のオフセット印刷に勝る品質や多彩な特色インクとそれに付随する高色域に対応し、生産性の向上を実現。HP SiteFlowソフトウェアを使うことで、工程自動化に対応することを挙げていました。
事例として岐阜県にある大洞印刷を紹介。元々は地場の印刷のみでしたが、海外のECサービスとの接続性が高く、2023年だけで600万の印刷物を製作したと紹介。昨年10月にはHP Indigo 15K HDデジタル印刷機も導入し、デジタル印刷サービスを2桁成長させていると説明していました。
デジタルプレス事業部本部 事業本部長の礪波徹氏
デジタル印刷機のIndigoは21世紀になってからの買収で、驚くほどのスペースを確保して国内の展示会に出展したこともありました
デジタル印刷によって品質はオフセット以上ながら、通常の印刷では考えられないほどの多種の印刷に対応。特色インクも豊富で、クリアファイルでは印刷の中間に白インクを入れることで表と裏で絵柄が異なるものにも対応
大洞印刷は昨年デジタル印刷サービスで2桁成長という発表もありました。Indigoも昨年さらに追加導入しています
こちらは3Dプリンタの出力例。左側は主に治具として使われているもの。中央の青い紙に載っているのはフォードが量産自動車で使っている部品の一部ですが、スポーツカーのようにあまり生産数のない車種や古い車の再生産パーツに3Dプリンタが活躍しています
ちょっと画像ではわかりにくいのですが、右側が通常の4色インク(CMYK)による印刷で、左が特色として蛍光ピンクと緑を使っている例。同人誌市場では蛍光ピンクを使って肌色の発色をよくすることはかなり前から行われていますし、緑は通常印刷のCMYKでは表現しきれない色域です
日本HPは1月18日、都内で事業説明会を行いました。まず、2021年に代表取締役 社長執行役員に就任した岡戸伸樹氏が全体説明を行いました。
代表取締役 社長執行役員 岡戸伸樹氏。手に持っているのは米スポーツブランド「Brooks」との提携で生まれたもので、ソール部分が3Dプリンタで作られたオンリーワンなシューズ
2023年度は想定している6つの成長分野が順調に成長するとともに、グローバルでの売り上げが約537億ドルで、45.7億ドルの利益と順調にビジネスが進んでいることを紹介。昨年からの事業方針である「Future Ready」の継続とAI、柔軟性の時代、セキュリティ、サステナビリティの4つの成長機会を示しました。
2023年は成長の年であったと言いますが、対して2024年を飛躍の年と表明。NPUも内蔵したIntelのMeteor Lakeを搭載したパソコン等により、PCはパーソナルコンピューターからパーソナルコンパニオンになると言います。
従来AIはクラウド側のサーバーで処理されることが多かったのですが、パソコン内部で処理することによりよりパーソナライズされた体験が、より素早く、より優れたセキュリティとプライバシーを実現可能。コストも下がります。
また、PolyやHyperXも取り入れたことにより広範なハードウェアと周辺機器、サービスを包括的に提供することでパソコン分野の成長をけん引。他のPCベンダーでここまで周辺製品を出している会社はなかなかないので、差別化要因となるでしょう。
2024年は飛躍の年ととらえており、AI PC、デジタル印刷、3Dプリンティングの提供が柱。Made in TOKYOは今年25周年
ハイブリッドワークには通信環境と共にコミュニケーション周辺機器も欠かせない。ゲーミングも引き続き注力分野
プリンティングに関してはデジタル印刷と3Dプリンタに注視。市場が縮小気味の印刷業界ですが、HPは2001年のIndigoの買収で商業印刷市場にも参入。総組み合わせ数百万のカスタマイズパッケージや、不可視インク、蛍光インク、特色インクを使用した特殊印刷などデジタル印刷ならではの付加価値を訴求しています。
また、3Dプリンタは少量のカスタマイズ製品や試作にとどまらず量産製品の製造にも使われだしています。量産使用をサポートするためのプロフェッショナルサービスも行っています。
商業印刷に対応するHP Indigoは製版コストがかからず、超多品種印字に対応するのが魅力。大洞印刷はクリアファイルの印刷で成長していましたが、今後は多様な素材への対応に注力するそう
環境問題に対しては、さまざまな持続可能素材の利用に加えて、パソコンの緩衝材の91%を段ボールかパルプモールドに変更。また、法人パソコンを定額で買い取る「PCリユースプログラム」による再生パソコンの作成等が行われている事例を紹介。
再生素材の利用を進めるほか、今まで使っていなかった素材も活用するほか、緩衝材も排プラスチック化。法人向けに中古PCを買い取り再生販売する取り組みも
岡戸氏はDE&Iに関して、女性社員の活躍を推進する社内活動「Women's Impact Network Japan(WIN Japan)」のエグゼクティブスポンサーを務めていました。現在リーダーシップチームの女性比は42%に向上。さらに管理職における女性比が13.6%となり、2025年までに15%に引き上げると言います。男性の育休取得率は100%の目標をクリアしており、2023年度は109%の達成と紹介していました。
ボランティア活動に関しては、社員のボランティア参加率が43.5%となり、日本HPが入居している品川シーズンテラスエリアマネジメントが主催する清掃活動「品ピカプロジェクト[https://sst-am.com/event/cat/shinapika]」にも参加している他、高校生や小学生を対象とした出張授業・プログラミング体験会の実施、音声電子図書の製作支援が紹介されました。
現社長がDE&Iを推進していたこともあり、女性比率や男性育休取得にはかなり力を入れています
ボランティア活動も活発に行っています。参加率はそろそろ過半数に達する勢い
PCはパーソナルコンパニオンへ
続いて執行役員 パーソナルシステムズ事業本部長の松浦徹氏が登壇。すでにAIは様々なところで使用されていますが、インテルのMeteor Lakeの登場したことで2024年はAI PCの幕開けの年になると話します。
執行役員 パーソナルシステムズ事業本部長の松浦徹氏。手に持っているのは本日から受注を開始したHP Spectre x360 14(英語キーボードモデルの参考展示品)
今までのAIはオンラインでクラウド上で実行されていたが、信頼性やスピード、プライバシーの問題がありました。ローカルでAI処理が行えるようになり、この問題が解決できるようになると言及。
結果としてパーソナルコンピューターの略号として使われていたPCは、パーソナルコンパニオンとなり、今年がAIテクノロジーを内蔵したパソコンの販売開始となるといいます。
パソコンは今年からAI PCへ。数年後にはかなりの台数がAI対応になると予測。コロナ禍後もハイブリッドワークは続くと予測
昨年末にCore Ultraが発表されたのを受けて、AI PCが広がるといいます。従来クラウド側が主体だったAI利用もパソコン内部で実現できるように
インテルのCore Ultra第1世代(Meteor Lake)は昨年発表されていましたが、PCメーカーにとっては年初のCESがお披露目の好機ということでHPは製品発表を行っていませんでした。松浦氏は本日からHP Spectre x360 16/同14、OMEN Trancend 14の3製品の受注を開始すると説明がありました。
本日からHP Spectre x360 16 / 14とOMEN TRANSCEND 14の受注を開始
HP Spectre x360はCore Ultraを搭載するだけでなく、9MPのAIチップ内蔵IRカメラを搭載し、離席や覗き込みを自動で確認することや、Windows Studio Effectsを使用したビデオ会議時の自動背景ボカシ等に対応します。
また、ハイブリッドワークへの対応としてKDDIと提携したパソコンを紹介。パソコンに5年間のデータ無制限通信サービス利用権を付加することで簡単で安定したインターネット接続と、管理工数とTCOの削減が可能となるといいます。
Spectre x360はCore UltraだけでなくAIチップ付きの9MP IRカメラも搭載し、離席やのぞき見を自動でチェック
ハイブリッドワーク向けにKDDIと協業したモデルも法人向けに販売。管理者としては管理工数が減るというメリットがあります
安全面では「HP Protect and Trace with Wolf Coonect」を紹介しました。これはIoT向けで使われているLTE-mを使用し、電源断時やWi-Fi等が圏外でもリアルタイムで端末の探索、ロック、消去が可能となる端末管理となります。
HP Protect and Trace with Wolf ConnectはLTE-mを使うことで電源状態に関係なく管理。法人向けの機能ですが、一台から導入可能とのこと
さらに法人向けパソコンだけでなく、個人向けパソコンでもUC製品として定評のあるPoly製品と組み合わせて利用できるHP Poly Studio搭載パソコンを順次展開予定。オンラインコミュニケーションでは会話の質が重要なのでこれはなかなか気になるポイントでしょう。
このように、ハイブリッドワーク時代での顧客体験の向上というのがコロナ禍後も継承されるようです。
Unified communications製品としては大手のPolyも現在はHP傘下。ハイブリッドワークにあると非常に便利な製品です。Poly Studioには会議室の参加者全員を分割投影できる機能もあります
そのPoly製品群。ヘッドセットだけでなく、ソフトフォン用のハンドセットや会議室用カメラ、スピーカー。モバイル用スピーカーと幅広い製品群が魅力です
HP Spectre x360 16。キーボードが英語版なのが参考展示の理由でしょう。ちなみに松浦氏が持っていたHP Spectre x360 14も英語版キーボードでした
こちらはゲーミングPCのOMEN Trancend 14。他にカスタマイズ性の高いゲーミングキーボードも展示されていました
Made in TOKYOは今年25周年。数十万のカスタマイズ対応を5営業日で
サプライチェーン関係に関しては執行役員 サプライチェーンオペレーション統括本部長の吉田敦子氏が説明しました。HPはカスタマイズ製品を東京都内の工場で生産しています。東京に工場を置くことでこ顧客やパートナーから近く、フィードバックが得やすいだけでなく、輸送時の振動や衝撃も軽減。
そして数年前から日野市に移転したことで、製造と物流拠点を集約して注文から出荷まで5営業日でカスタマイズ製品を届けることが可能になっている他、きめ細かな生産計画と作業工程を実施することができているそう。
環境問題に関しては、緩衝材の発泡スチロールをリサイクル可能なパルプモールドや段ボール製に変更しています。段ボール製の緩衝材は日本で開発し、他国でも採用されているとのこと。
また、配送用のパレットも紙製にしているといいます。パレットは木製もよく使われているので、なぜ紙にしたのか聞いてみると「木材は(虫対応等で)燻蒸が必要になるから」という回答でした。将来は梱包テープも紙製にする予定だそうです。
執行役員 サプライチェーンオペレーション統括本部長の吉田敦子氏
HPが東京工場でカスタマイズモデルを生産するようになって今年で25周年。今年はプレス向けイベントがあるようです
東京で作るメリットは国内輸送に有利なのとフィードバックが得やすいこと、製造と物流拠点が一緒になっている点、そして作業工程のデジタル化を挙げています
東京製造のカスタマイズPCだけでなく、海外製造の製品も5営業日納期。海外製品に関してはさらなる短期納入も予定されています
発泡スチロールを排した紙製緩衝材の大幅な採用。個人的にはリユース前提の輸送用パレットは紙でなくてもよいと思います
HPのもう1つの事業の柱である印刷関係は、今回デジタル印刷機に特化した説明となっていました。デジタルプレス事業部本部 事業本部長の礪波徹氏によると、世界で8,000台近いHP Indigoプリンタが現在稼働しているとのこと(日本での稼働数は非公表)。
デジタル印刷にすることで、従来のオフセット印刷に勝る品質や多彩な特色インクとそれに付随する高色域に対応し、生産性の向上を実現。HP SiteFlowソフトウェアを使うことで、工程自動化に対応することを挙げていました。
事例として岐阜県にある大洞印刷を紹介。元々は地場の印刷のみでしたが、海外のECサービスとの接続性が高く、2023年だけで600万の印刷物を製作したと紹介。昨年10月にはHP Indigo 15K HDデジタル印刷機も導入し、デジタル印刷サービスを2桁成長させていると説明していました。
デジタルプレス事業部本部 事業本部長の礪波徹氏
デジタル印刷機のIndigoは21世紀になってからの買収で、驚くほどのスペースを確保して国内の展示会に出展したこともありました
デジタル印刷によって品質はオフセット以上ながら、通常の印刷では考えられないほどの多種の印刷に対応。特色インクも豊富で、クリアファイルでは印刷の中間に白インクを入れることで表と裏で絵柄が異なるものにも対応
大洞印刷は昨年デジタル印刷サービスで2桁成長という発表もありました。Indigoも昨年さらに追加導入しています
こちらは3Dプリンタの出力例。左側は主に治具として使われているもの。中央の青い紙に載っているのはフォードが量産自動車で使っている部品の一部ですが、スポーツカーのようにあまり生産数のない車種や古い車の再生産パーツに3Dプリンタが活躍しています
ちょっと画像ではわかりにくいのですが、右側が通常の4色インク(CMYK)による印刷で、左が特色として蛍光ピンクと緑を使っている例。同人誌市場では蛍光ピンクを使って肌色の発色をよくすることはかなり前から行われていますし、緑は通常印刷のCMYKでは表現しきれない色域です