大谷翔平の姿がなぜ36年前の「燃えプロ」に…「バントでホームラン」“伝説のクソゲー”にあった完全一致級の酷似
米大リーグで今季最も活躍した選手に贈られるMVPが、11月16日(日本時間17日)に発表。途中離脱しながらア・リーグ本塁打王を獲得したエンゼルス大谷翔平(29)が2年ぶり2度目の受賞となった。2度目の満票選出という史上初の快挙だ。投打で無双する二刀流の活躍は、もはやチート級。テレビゲームから飛び出してきたのではないか、と疑いたくなるほどだ。おや?「バントホームラン」でおなじみの、あの“伝説のクソゲー”に描かれているのはまさか――。
■キャップに「J」…WBCの活躍と「完全一致」
1987年に発売されたファミコン野球ゲームのパッケージをご覧あれ。TV中継さながらの画期的なプレー画面や、リアルな演出で大ヒットした「燃えプロ」こと「燃えろ!!プロ野球」だ。描かれた投手にピンとこないだろうか。躍動感あふれる投球フォーム、端正な顔立ち、そしてキャップの「J」――。
《めちゃくちゃ似てません?(中略)見つけた時ビックリ&鳥肌》
ネット上でそう取りざたされているのは、大谷翔平だ。「燃えプロ」発売は大谷出生の7年前。昭和の産物に違いないが、これまでにも《完全に一致》《大谷の登場を予言していた》と言われてきたのだ。
「J」は販売元だった「JALECO(ジャレコ)」の頭文字を表しているようだ。ただ日本代表「侍ジャパン」の「J」を想起するのは、ファン心理として当然だろう。今年3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で、3大会ぶりの優勝に導いた立役者は大谷だった。エンゼルスの同僚で屈指の強打者マイク・トラウト(32)を三振に仕留めた勇姿が重なる。
■元同僚が証言した「バントから逆算」打法
都市伝説化する「燃えプロ」の大谷予言説。日本ハム時代の同僚で現在はソフトバンクに所属する近藤健介(30)の証言によって、それは真実味を帯び始めた。今年10月に放送されたテレビ朝日系の特集番組で明かされたもの。メジャー移籍後に「ノーステップ打法」に切り替えた経緯を近藤が問いただすと、大谷はこう答えたという。「イメージはバントに近い形。バントから逆算している」
「もはや、バントホームランじゃん!」
視聴者はざわめき立った。バントホームランとは、ファミコン世代に言わずと知れた「燃えプロ」の伝説的バグ。寝かせたバットにボールを当てるだけでジャストミート。打球はアーチを描いてスタンドインしてしまうのだ。本作が敬意を込めて「クソゲー」と呼ばれるゆえんだ。「ミスタG」や「オチアイ」ら各チームに1人いる強打者のみがなせる荒技で、守備側からすれば敬遠するか故意の死球で勝負を回避するのが正攻法だった。
ゲームバランス度外視のバントホームランはそもそも、いかにして誕生したのか。ヤクルトファンの開発責任者が、同じく今年10月に放送されたテレビ朝日の「激レアさんを連れてきた。」に出演して告白していた。ヤクルトで当時活躍していたボブ・ホーナーの怪力に圧倒され、能力値を極端に高めた末のヒューマンエラーだったのだ。
翻って大谷。近藤が続けた証言から、「燃えプロ」の大谷予言説をいよいよ信じたくなってくる。大谷はこうも語ったという。「振るよりバントのほうが当たるでしょ。究極はバントでホームラン」。
■「テレビ壊してやろうかと思いました」
この「近藤証言」がオンエアされる7カ月前、大谷と「燃えプロ」の相関はすでにささやかれ始めていた。侍ジャパンがWBC強化試合として阪神と対戦した今年3月6日のこと。「3番・DH」で出場した大谷の第2打席。外角低めに決まりかけたフォークボールを、泳がせられながらも左膝をついて右手一本でバックスクリーンにたたき込んだ。「バントホームランを彷彿とさせる」と、ファン界隈は色めいた。
スポーツ報知によると、打たれた阪神・才木浩人はこの「片手片膝弾」のハイライトが繰り返し放送されて次のように苦笑したという。「テレビ壊してやろうかと思いました」。まさに、バントホームランというバグを食らったプレーヤーの心境だ。
チート級の衝撃で沸かす大谷。満票MVPこそ、ふさわしい。
(文:笹川賢一)