反対運動も起きているインボイス制度(写真・時事通信)

 10月1日に消費税のインボイス(適格請求書)制度がスタートすると、毎月約3400億円分の「対応コスト」が発生する――会計管理ソフトを提供するLayerX(レイヤーエックス)がこんな調査結果を発表した。

 同社は、インボイス制度に対応した手作業での業務研修を企業の経理担当者らに実施。受講した40社・200人の作業時間をもとに業務の増加量を算出した。

 制度の導入で請求書の支払い作業が1件あたり15分、経費精算の処理が5分増えるとみなし、この作業時間をベースに経理1人あたりの追加業務負担を計算したところ、月約1〜2分、経理以外の従業員でも1人あたり月約7分、日本全体で月約1.4億時間の負担増となった。

 このデータと、厚生労働省の賃金統計を掛け合わせて人件費を算出したところ、全国で毎月約3400億円分のコストが増える可能性があるという。年間で言えば4兆円を超える負担となる。

「消費税を2019年に10%に引き上げる際、食品などに8%の軽減税率が適用され、複数税率となったことがインボイス導入のきっかけとなりました。

 政府は2019年の国会答弁で、インボイス導入により、約2480億円の税収増になるとの試算を示しています。財務省によると2023年度予算で消費税の税収(国税)は年間23.4兆円ですので、インボイス導入で増える税収は消費税の税収全体の1%程度しかありません」(政治担当記者)

 インボイスをめぐっては、制度開始で仕事に大きな影響を受ける零細事業者やフリーランスなどから不安の声があがっている。さらに、年4兆円ものコスト増となる試算に、SNSでは批判的な声が多くあがった。

インボイスで年間2500億の税金払う為の経費が年間4兆かかる まじで殺しにきてる》

《生産性が激落ちする余計な制度 それがインボイス制度 経理に関係ないサラリーマンも出張でインボイス絡むから他人事じゃねえんだよな》

《凄まじい金と労力使って個人事業主と中小企業殺しにかかるわけですね政府は。これで増税増税言われて誰が納得するんだろうか》

《「企業の生産性を向上させる」とか言うなら、まずインボイスを中止しましょうや》

 8%の軽減税率を導入した結果、負担増となっては本末転倒と言われかねない。