ペットの柴犬の写真をツイッターに投稿し続け、その自然体のかわいさが人気となっている@inu_10kg。ESSEonlineでは、飼い主で写真家の北田瑞絵さんが、「犬」と家族の日々をつづっていきます。第61回は「犬が似てきたところ」について教えてくれました。

わが家に犬が来て、丸9年が経ちました

やはり犬は雷を怖がっていない。これまで犬が語らぬ心情を私が決めるのはよくないと推量の域を出ずにいた。犬という生き物は雷を恐れる印象があったし、実際犬と暮らしている人からはそんな話もよく聞く。しかし9年間暮らし続けてきて「この子はほんまに雷気にならんのや」と思うに至った。母に話すと、「うちはみんな鈍感やから」と言われた。犬も似てくるのか。

8月の後半は、朝から晴れていたのに、夕方から急変し雷が鳴る日が多かった。雷は脅威で、ナメてりゃ死ぬので、避難は必須だ。しかし安全を確保し待機となれば、母は新聞を開き、私はごろりと横になって掛布を引き寄せて、雷の轟音を気にする者はいない。犬は土間で寝転んだままの日もあれば、掛布にのっしのっしと踏み入ってくる日もあった。

犬は寝心地のいいポジションを見つけては、たちまち寝息を立てる。ええね、私も休憩に大賛成。まる9年もそばにいると、犬と人間で種類は違えども、自然と似てくるのだろうか。

●もうひとつ似てきたところは…

8月11日は犬がうちにやってきた記念すべき日である。2014年から2023年、9周年を無事迎えた。そして犬との暮らしは10年目に突入した。

8月11日を今年も変わらずにお祝いできるのを心の奥底から感謝する。犬用のケーキとピザを用意して、ピンクのガーベラを贈ります。

もち花より団子の犬はケーキに夢中やよ。すこしずつ老いを感じるようになった昨今だが、ケーキを前にした瞳のかがやきは瑞々しいままだ。

半分ほど食べたところで犬がゲップをした。ケーキとピザふたつあるからね。

それでもまだ食べたい! といった様子で実際食べれそうだが、のちにしんどくなるやろし残りは夕ごはんにしよう。

満腹そうな犬を、母が頭からしっぽまで丁寧にブラッシングしていく。かわいいかわいいと愛でながら、夏の毛並みを梳いていく。

9周年記念日にあらためて写真を撮ろうと犬にカメラを向けると思わず笑ってしまった。ファインダーに映る犬があまりにもゆるいのだ。身体も表情もすべてがふにゃふにゃ。完全に“やすめ”の体勢である。

まあ、おいしいものに満たされ、全身くまなくブラッシングされたらふにゃぁと脱力するよな。素直だ。犬は素直な心で生きている。

「背中まぁるい」正面からでも分かると私が言うと、そばで見ていた母が「うちはほんまみんな猫背よなぁ」と困ったように笑った。思い当たる背中しかない。「姿勢まで似るんか」「似る似る」なんて言い合って、笑う母と犬の表情はたしかによお似とった。