8月30日(水)から9月5日(火)までは防災週間です。日常の防災備蓄を見直す機会にしましょう。地震で停電を経験したことをきっかけに、改めて防災備蓄スペースを見直した、60代のライフオーガナイザー・田川瑞枝さん。シニア層の暮らし方、体力を意識した防災備蓄の収納の仕方について語ります。

収納場所がない!ではなく備蓄置き場を確保する片づけを

防災備蓄品は、それなりに数や量があります。そのため、これまで備蓄していない人は、まずスペースの確保が必要になってきます。

「ただでさえ、わが家には収納スペースが少ないのに、普段使わないもののために割かなければならないの?」。そう思う方もいるでしょうが、これは未来の自分や家族のための保管場所。

そう思って、不要なものを片づけてスペースを確保しましょう。

 

ちなみにわが家では、玄関の収納場所に備蓄スペースを設けました。

 

以前使っていた小型のラックが、この場所にジャストサイズだったので、棚として再利用。玄関が備蓄スペースだと、急な災害時に、避難用リュックをすぐに持ち出しやすいです。

 

じつはわが家の場合、カセットコンロ用のガスや飲料水などように、備蓄品と日常用のストック品が同じ場合は、玄関の備蓄スペースに収納することに。同じ(種類の)ものを、複数の収納場所に分けないようにしています。

そうして、「使ったら買いたす」ことで、備蓄品を劣化させずに新しいものへとアップデートできます。また、ものの管理方法が単純でラク。たしかに、キッチンで使うものを玄関まで取りに行く…というのは手間ですが、そこは割り切っています。

 

箱から出してスタンバイさせる

地震では断水も起こるケースもあるので、水の確保は最低限用意しておきたいもの。ちなみにマンション住まいのわが家では、断水したうえに、エレベーターまでストップしたことがありました。

その際筆者は、水を常備していたのであわてずにすみました。

給水車から確保した水を階段を上って運ぶのは、大変な苦労になったことでしょう。60代である筆者の体力を考えても、現実的ではありません。

 

水は重いので、配達してもらうとよいでしょう。注文すると箱で届くので重ねて保管できますが、筆者はあえて、箱からボトルを取り出すことにしています。

 

なぜなら、最初からいっぺんに取り出して保管する方が、使うたびに箱から取り出すよりもラクだから。来客用や外出用など日常使いするときも、さっと使えて快適。

ペットボトルは一度開封すると日持ちしないので、夫婦で暮らすわが家は500mLでそろえました。家族が多ければ2L、少人数なら500mLなど、家族の人数を考慮してサイズを選ぶとよいでしょう。

ふるさと納税で備蓄食材を選ぶ

じつは、この水はふるさと納税で取り寄せたものです。備蓄用品をふるさと納税の返礼品で選ぶことで、自治体の応援ができて、しかもお得に入手できる場合もあります。

 

また、お米も常備しておきたい食材です(こちらも、ふるさと納税を活用するのも手ですね)。わが家は普段から無洗米を食べています。無洗米は研がなくてすむので、実際、災害時には大変助かりました。

ただそのときの地震は、お米の残りが少なくなってきた際のものだったので、あわてました。備蓄の重要性を改めて実感。

以降は、ストックを持つように意識を変えました。普段食べている銘柄で、真空パックになったタイプを購入するように。賞味期限はおよそ1年。いざというとき用に1、2個備蓄用に取り置きます(1パック2kg)。

 

カセットコンロを普段から使っておく

停電になると電気が使えないので、調理にも支障をきたします。わが家はIHクッキングヒーターなので、思いどおりの調理ができません。

そこで重宝するのがカセットコンロ。実際停電時に、温かい食事がとれて安心しました。

 

この手のものは、災害時に急に使おうとして、うまくいかないケースもあるものです。わが家では、焼き肉をしたり、フライパンでご飯を炊たりして、問題なく使えるかどうかチェックを兼ねながら、日常使いすることも。慣れておくことが大事です。

防災グッズは一度用意しておけばよい、というものではなくて、日常でも動作チェックをしておくほうが安心です。

 

カセットコンロの収納場所はシンク下の引き出しです(外に持ち出す必要はないので、備蓄品置き場では保管しません)。すぐに出せるようにスタンバイ。

普段の調理のときには、夫にセットしてもらうことも。ということで、夫も、ここにあることを確認済。いざというとき、どこになにがあるのか、家族も知っておくことが大事です。また、動作中のIHクッキングの上にカセットコンロを置くのは、大変危険なので、ぜったいにしないように。

60代という年齢を考えた収納場所を

これまでは、あいている場所に災害備蓄品をなんとなく入れていた筆者。

 

たとえば、高い場所にある棚。軽いものならちょうどいいと、トイレットペーパーなどを収納。

しかしこの位置は、踏み台に上らないと手が届きません。60代になり、これから先、踏み台に乗るのは危険です。保管場所を移動させ、無理のない収納を心がけることにしました。

防災備蓄品はもちろん、普段使いのものについても同じことが言えます。「あいているから」「あまり使うことがないから」と、高い位置や取り出しにくい場所に備蓄するのはやめた方がよいでしょう。

60代からの防災備蓄は、災害時にすぐに対応できるように、アクセスしやすいところに保管を。そして、普段から片づけをしたり、中身をチェックしたりして、万全の備えをしたいものです。