9月は防災の日。防災意識が普段より高まる人も多いのではないでしょうか。いざというときのために、しっかり備えておきたいですよね。ここでは、ライフオーガナイザーの高田舞子さんに、自分に合った防災の仕組みのつくり方を教えてもらいました。

ゆるくてもいい、自分たちに合う防災の仕組みを考える

9月1日は防災の日。防災意識は高くないものの、この時期は自然と見直しをするようになりました。

【写真】高田さんの食料品ストック

私の考える防災カテゴリは3つ。

(1) 子どもがひとりのときに被災したら? を考えた子ども防災

(2) 要避難の際、逃げるための準備。持ち出し防災リュックを用意

(3) 避難の必要はないが外に出られない場合の、食料や水などの備蓄

●私の最優先は子ども防災

幼稚園や小学校低学年のときには預かり保育や児童クラブがあり、働きに出ていても別の大人が見守っているという安心感がありました。ひとりでの留守番が多くなった3年生の頃から、子ども防災は常に見直しています。

ランドセルには、防災に限らず予備としてのマスク、絆創膏、ティッシュなどのセットを。そこに1枚の情報カードを同封しています。

名前、生年月日、血液型、学校名、親の連絡先を記載。同じものをICOCAパスケースやリュックの内ポケットにも入れていて、そのことは本人とも共有。災害時以外でも、事故に遭った場合、紛失した場合、だれかの目に留まるかもしれない情報は役立つはず。

防災リュックには、飲み物を買ったり、公衆電話を使うこともできるように小銭も入れています。

公衆電話を見かけることも減りましたが、使用の可能性がゼロとも言えません。何度か使い方をレクチャーしたことはあるものの、使用方法のメモも一緒に入れています。

ほかにタオルや下着、ノートやペン、ミニゲームなど。避難先での滞在が長くなった場合に備え、暇をつぶせるエンターテインメント要素もわずかながら加えています。

リュックは玄関すぐの収納棚にある防災ボックスに。子どもだけでの避難に備え、ボックスには確認リストを添付しています。リュックと一緒に鍵やGPSをもち出すこと、できるだけお隣さんや友達に声をかけてだれかと一緒に行動すること、GPSで連絡を入れることなど、文字化しておくことは親子双方にとって安心材料、有効な手段です。

●逃げるための防災

夫は単身赴任のため、ひとまず母子2人分の防災リュックを玄関収納に保管しています。子ども用リュックは前述のとおり。

自分用のリュックはというと、じつは未完成の状態です。というのも、わが家の防災アイテムは専用ではなく兼用。キャンプ用と兼ねるものが多いのですが、緊急用とキャンプ用のアイテムを重複させずに、同じものを上手に兼用したい。そこで、以下の4つのカテゴリごとにジッパー袋にまとめ、箱にざっくり収納することに。

(1) 情報:モバイルバッテリー、iPhoneケーブル、タイプCケーブル

(2) 電気:懐中電灯、電池

(3) 気温:カイロ、カッパ、団扇

(4) 衛生:歯ブラシ、絆創膏、マスク、ウェットティッシュ、タオル、ゴミ袋

これらは緊急時に持ち出すもの。リュックにまとめておくのがベストですが、あちこちに点在させず1か所にまとまっていればOKと考えました。キャンプ時はコンテナボックスに、避難時はリュックに、必要なものを入れるだけ。もし動揺していても考えなくていいような仕組みに。

タオルは衛生面でも必要ですが、衣類の下に着用すれば防寒にもなります。キャンプでは、テントや道具の汚れをふき上げるのに「捨ててもいい前提」のタオルは必ず持参。使い古したタオルは、もれなく防災ボックスに移動という仕組みができました。

●備えるための防災

備蓄もカテゴリにわけて考えています。

(1) 食:水、保存食品

(2) 食事備品:紙皿、紙コップ、割り箸

(3) 断水:衛生トイレ、ペーパータオル、手指消毒

(4) 停電:モバイルバッテリー、電池、ランタン、懐中電灯

(5) その他:ロープ、軍手、多目的ライター、カセットコンロ

家に滞在しながら使うものなので、収納場所が点在していてもOK。(1)と(2)はキッチンに。(3)は玄関の防災ボックス、(4)と(5)は防災ボックスやキャンプコーナーに。

食の備蓄はできれば1週間分といわれていますが、3人家族でも用意するのはなかなか大変。3日分でも計27食ですから、収納するスペースは必須。スペースを確保できたとして、問題は「いつか消費期限を迎える」こと。

過去には、レトルト食品や冷凍食品などを用意したこともありますが、わが家ではそれらを普段あまり利用しないので、消費するのがストレスでした。ほかにも防災用の保存食品はたくさんありますが、非常時も普段と同じような味を食べたいのが正直なところ。

そんな経験を踏まえ、ストックは手軽なものにシフト。カップ麺、餅、ゼリー、シリアル、フルーツ缶、サバ缶など。普段から消費できる内容だと、ローリングストックにも抵抗はありません。

とくに餅はわが家の年中常備食。保存も効きますし、魚グリルで、レンジで、電気でもガスでもカセットコンロでも調理が可能。普段から焼いたり煮たり、おやつとして食べたり、保存食の代表選手です。

年に1度の防災の日。1年前と比べて年齢や生活スタイルも変わり、必要な備えも異なるはず。今の自分たちに最適な備えはなにか? 自分たちの防災ルールを、皆さんもぜひ考えてみてください。