阪神甲子園球場

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仙台育英(宮城)と慶応義塾(神奈川)が激突した全国高校野球選手権大会の決勝は、3塁側を埋めた慶応応援席の異様な盛り上がりぶりが、大きな話題になった。

そんな中で、慶応に負けじと、仙台育英の応援席も、精一杯に選手らを励ましていた。そんな応援ぶりが、ネット上でも静かな感動を呼んでいる。

「完全にアウェーな感じ」「応援してまうわ可哀想すぎる」

慶応の応援歌「若き血」が甲子園球場に流れると、3塁側の内野席、アルプス席は、立ち上がって肩を組んだ人たちが左右に揺れ動く。それが左翼外野席にまで及び、まるでスタンドが波打つかのようだ。

応援席には、慶応OBの中高年男性らの姿も目立ち、校旗の三色旗を盛んに振っている。

「慶応〜、慶応〜、陸の王者慶応〜」。応援歌が終わると、スタンドからひときわ大きな歓声と拍手が沸き起こった。

2023年8月23日の14時から始まった試合は、慶応が先頭打者ホームランを放ち、初回から白熱した展開になった。そんな中で、応援席のボルテージは上がり、特に得点が入って「若き血」を合唱するシーンは、ツイッターに動画が続々上がって注目を集めた。

慶応の団結ぶりに驚く声が上がるとともに、「慶応のやつ、圧がすごすぎて怖い」「さすがにうるさすぎないか...」と疑問の声も上がった。選手同士の声掛けが聞こえないためエラーが出たのではと心配されたほか、仙台育英にアウトが出ると上がる歓声に大人げないとの指摘もあった。

一方、仙台育英に対しては、「完全にアウェーな感じ。高校生がこの雰囲気を負うと精神的にきつい」「応援してまうわ可哀想すぎる」などと同情する声が漏れた。それと同時に、仙台育英の応援にスポットライトを当てる動画や写真の投稿も、ツイッターで寄せられた。

宮城出身のタレントや仙台のデパートも、選手らをねぎらう

その1つが、応援席にいる仙台育英のチームメイトらしき男性が掲げた次のようなボードの内容だ。

「外野席のみなさん!力を貸してください」

ボードでは、「力」が赤色で強調されており、仙台育英も応援を頑張っていると感心する声が上がった。

また、チームメイトらしき男性が「内野席のみなさん!力を貸してください」とのボードを掲げる姿も投稿された。ボードには、タレントのなかやまきんに君とみられるイラストが描かれてあり、お馴染みの「パワー」が赤字で書かれていた。

試合は、慶応が8-2で勝利し、107年ぶり2度目となる夏の甲子園優勝を果たした。敗れた仙台育英は、夏の連覇を逃して悔しい様子ながらも、震災から立ち直った東北の人たちから応援を受けたと感謝していた。

芸能界からは、宮城県出身のお笑いタレント狩野英孝さん(41)が、ツイッターで「さ、こっから逆転だ!!」などとエールを送っていた。試合が終わると、「仙台育英高校お疲れ様でした!東北がまた元気になりました 本当にありがとう!!!」と選手らをねぎらった。

また、地元の実業界からも感謝の声が上がっている。仙台市内にある創業204年の老舗デパート「藤崎」は、「2年連続の決勝進出、そして最後まで諦めずに突き進む選手の皆さんの姿、胸が熱くなりました 藤崎前でも拍手が絶えません 仙台・宮城、そして東北を一つにしてくれた育英ありがとう!本当に本当に、心からお疲れ様でした」とツイッターに書き込んだ。

(J-CASTニュース編集部 野口博之)