虎ノ門ヒルズ駅の拡張工事が完成しました。隣接する再開発ビルに接続し、東西移動が円滑となったほか、開放的な「地下鉄駅前広場」が設けられました。

駅と隣接する再開発ビルが一体に

 UR都市機構と東京メトロは2023年7月15日(土)、拡張工事が完成した日比谷線・虎ノ門ヒルズ駅を公開しました。


地下2階に設けられた改札口(乗りものニュース編集部撮影)。

 新たに供用を開始した地下2階コンコースが隣接する再開発ビルと接続し、駅を介した東西移動が円滑になりました。また、ガラス越しに地下1階のホーム階に太陽光が入る駅前広場「ステーションアトリウム」が設けられ、ホームも大幅に拡張されました。隣接する再開発ビルと駅が一体化し、地下鉄駅とは思えないほど明るく開放的な空間となっています。

 虎ノ門ヒルズ駅は、計画当初から新駅整備と周辺まちづくりを一体的に進めることを目的に、UR都市機構が事業主体として事業の調整、東京メトロが駅整備を分担する形で整備されました。東京オリンピックに間に合わせるべく、2020年6月にホームや改札など、最低限の設備だけで暫定開業。その後、再開発ビルと駅を一体化させる拡張工事が進められてきた経緯があります。

 これまでは地下1階に暫定的な改札があり、虎ノ門駅と虎ノ門ヒルズ駅の北千住方面のホームを移動する際には、いったん地上に出て桜田通りの交差点を渡る必要がありました。

 今回の拡張工事では、地下2階を掘削してコンコースを設け、改札を地下1階から地下2階に移し、隣接する再開発ビル「虎ノ門ヒルズ ステーションタワー」と「グラスロック」に接続。これまでに整備された地下歩行者通路とあわせて、地下2階部分で虎ノ門エリア全体がつながり、虎ノ門駅との乗り換えの際も地上に出る必要が無くなりました。なお、地下2階の改札が供用開始したことで、地下1階の改札口は閉鎖となります。
 
 今回の工事で、北千住方面のホームは約6mから最大14.3mに、中目黒方面のホームは約4.9mから最大約7.2mに大幅に拡張。見違えるように広く、使いやすくなりました。改札内コンコースには、アーティストの清川あさみ氏が原画・制作監修を担当した大型ステンドグラスが設置されました。
 
 駅の出入口は「虎ノ門ヒルズ ステーションタワー」内に整備された地下鉄駅前広場「ステーションアトリウム」と一体化されています。このアトリウムの面積は約2000平方メートル。ガラス越しに地下の駅ホームに自然光が入ってくる、開放的な空間となっています。現時点では再開発ビルが開業しておらず、賑わいが創出されるのはこれからとなります。
 
 駅と一体的に整備される虎ノ門一丁目・二丁目地区再開発事業は、地上49階地下4階建ての「虎ノ門ヒルズ ステーションタワー」、地上4階地下3階建ての「グラスロック」、地上12階地下1階の「江戸見坂テラス」で構成。参加組合員として森ビルが参画しており、2023年秋の開業を予定しています。
 
 今回、地下2階のコンコースが完成したことで、BRTターミナルや虎ノ門駅とも地下歩行者通路でつながり、交通結節点としての機能が強化される虎ノ門ヒルズ駅。暫定開業から約3年を経て、当初の計画通りの「駅まち一体」となり、本領発揮となります。
 
 東京メトロは「現在、虎ノ門ヒルズ駅の1日あたりの乗降人員は約3万4000人ですが、将来的に約8万人に増加すると見込んでいます」(広報部)と話します。