「空飛ぶクルマ」、果たして乗り心地は…? いち早く“乗車体験”してみた ちょっとドキリな瞬間も
世界のメーカーがこぞって実用化に向けて注力している次世代モビリティ「空飛ぶクルマ」。その乗り心地はどのようなものなのでしょうか。今回、疑似体験することができました。
ゴーグル映像で疑似体験
「空飛ぶクルマ」とも称される「eVTOL機」は、2024年のパリ五輪や、2025年の大阪・関西万博で運航が試みられようとしています。世界中で実用化へ力が注がれる中、このほどブラジルのエンブラエル発のスタートアップによるバーチャル(仮想現実)映像で、“乗る”ことが出来ました。
エンブラエルの関連会社であるイブ・アーバン・エアモビリティ・ソリューションズが開発中のeVTOL機(画像:エンブラエル)。
eVTOLの機体のデザインは航空機とも自動車とも異なります。この乗りもので、新しい交通ジャンルを確立しようとする意識が高いようで、2023年6月に開催されたパリ航空ショーでは、斬新なデザインの展示機たちが目立ちました。
こうしたeVTOLメーカーの一つ、ブラジルの航空機メーカー・エンブラエル発のスタートアップ企業イブUAM(Eve Urban Air Mobility)は、ショーで飛行中の景色をバーチャル(仮想現実)で眺めることができるゴーグルを展示。試す人も多く、筆者も“体験乗車”をしてみました。
ゴーグルは、ホールに展示された機体の実物大客室模型に置かれ、やや大ぶりな箱型をしていました。着用すると始まった“目の前”の景色は高層ビルが目につく都会。目の端に見えるプロペラが回転を始めて、やがて垂直に上昇しました。
実際どうなの?「空飛ぶクルマ」の乗り心地
どの程度の高度を意識して映像がつくられたのか分かりませんが、ビルなどの斜め下の景色は、滑らかに流れていきます。水平飛行に移った際に上昇用のプロペラが止まったのには、一瞬どきりとしましたが、映像はスムーズなまま流れていき、1、2分後、目の端に見えるプロペラがもう一度回転しはじめると、機体は降下に移り、やがて着陸しました。
離陸から着陸まで数分間、やや画像はにじんでいましたが、臨場感はありました。他の来場者が着けて体験する様子も見ていましたが、下の景色を覗こうと俯いたり、景色がどれほど変わるか首を左右に振ったりと、筆者と同じようにいろいろと試していました。
モックアップの内部で搭乗体験するためのVRゴーグル。やや大きな箱型をしている(加賀幸雄撮影)。
eVTOLが実用化されたのち、どれほど普及するかは、まだ、筆者には判断がつきません。電動のために騒音は航空機やヘリコプターより小さいでしょう。ただ、風雨など天候による運航率がどれほどなのかといった疑問もあります。バーチャルで流れた映像は快晴で、強い風が吹く環境でもなかったようです。
しかし、開発への熱気を見ていると期待したくもあります。「タクシーとして使われるなら初乗り運賃はいくらだろう」「乗り物酔いはしないで済むか」といった疑問も、映像を試した後に浮かびました。そんな素朴な疑問も期待への表れだったと思います。