「まだまだ使うよ!」アルゼンチン独自戦車 アップデート型の連続生産スタート
パッと見、レオパルト1戦車に見えなくもない!?
イスラエルの協力で大幅な性能アップを達成
アルゼンチン国防省は2023年7月12日、アルゼンチン中戦車(TAM)のアップデート型であるTAM 2CA2について、連続生産を開始したと発表しました。
TAMはアルゼンチンが1970年代末に、ドイツのティッセン・ヘンシェル(当時)の技術協力を得て開発した戦車です。ドイツ陸軍などが運用するマルダー歩兵戦闘車のコンポーネントを流用した車体に、105mm戦車砲塔を組み合わせているため、現代戦車では珍しいフロントエンジン・フロントドライブ方式を採用しています。
車重は、アルゼンチン国内の未発達な鉄道網や道路事情でも運用できるよう、重量約30tに抑えられています。そのため、中戦車と表記されていますが、軽戦車扱いされることも多い車両です。
アップデート型TAM 2CA2戦車(画像:アルゼンチン国防省)。
2000年代半ばから老朽化が指摘されており、いったんはドイツの「レオパルド2A4」や、イギリスの「チェレンジャー2」、ロシアのT-90などといった近代的戦車の導入が検討されたものの、長らく続く国内の財政難や、フォークランド戦争以来のイギリスの禁輸措置などの影響で断念。既存車体の近代化改修に落ち着いた経緯があります。
TAM 2CA2への近代化では、全天候射撃システムの搭載や、高度なデジタル火器管制システムの導入、砲塔の動力システムを油圧式から電子式に変更するなどの改修が行われます。アルゼンチン国防省では、メンテナンス用のコンポーネントやスペアパーツ、および消耗品の約70%が国産であることは特筆に値するとしています。
なお、アップデート型TAM 2CA2の開発に際してはイスラエル国防省や同国の民間企業エルビット・システムズが大きく関与しています。