有楽町線「足立区延伸」が前進? 駅ができる地域とは 区が「期成同盟会」に加入
東京都足立区は、東京メトロ有楽町線(8号線)の区内延伸を目指し、「地下鉄8号線建設促進並びに誘致期成同盟会」に加入しました。どのような背景があるのでしょうか。
「地下鉄8号線建設促進並びに誘致期成同盟会」とは
東京都足立区は2023年7月、東京メトロ有楽町線(8号線)の区内延伸に向け、同線の野田市駅までの延伸を目指して活動を行っている「地下鉄8号線建設促進並びに誘致期成同盟会」へ加入したことを明らかにしました。
有楽町線の車両(画像:写真AC)。
東京メトロ有楽町線は“分岐線”として、豊洲駅から住吉駅までの新線建設が決定しており、着工に向けた動きが本格化しています。これをさらに、住吉駅から押上駅、亀有駅、八潮駅を経て野田市まで延伸する構想もありますが、こちらはまだ具体化はしていません。押上〜野田市間の整備は、国の新たな鉄道整備の方向性となる交通政策審議会答申に盛り込まれており、「事業主体を含めた事業計画について十分な検討が行われることを期待」するとされています。
この野田市までの延伸構想は、埼玉県の関係地域(草加市、越谷市、八潮市、吉川市、松伏町)や千葉県野田市といった行政で構成する「地下鉄8号線建設促進並びに誘致期成同盟会」が主体となり、まずは「八潮〜野田市間の先行整備」を目指して要望・調査を行っています。また、同盟会には茨城県下妻市、常総市、筑西市、坂東市、八千代町も加入しており、野田市から北へ更なる延伸も目指しています。期成同盟会の会長は野田市の鈴木 有市長が務め、2023年度は5月に野田市役所で定期総会を開催しています。そこへ、東京都足立区が新規加入してきたわけです。
有楽町線の足立区延伸で「鉄道不便地域」解消も
足立区では、古くは1994年の「足立区第三次基本計画」に8号線(有楽町線分岐線)の区内誘致を盛り込み、1998年の「公共交通整備基本計画」では優先整備路線に位置付けています。2012年以降は延伸に向けた調査を継続して実施し、要望活動も行ってきました。そして2023年2月に「地下鉄8号線建設促進並びに誘致期成同盟会」への加入を申請。4月に正式加入しました。
過去に区がまとめた事業計画案によると、亀有駅〜八潮駅の約5.2kmを地下構造で整備し、中間に2駅を設置、有楽町線や半蔵門線との直通運転を想定した10両編成で毎時6本を運行することが想定されています。
足立区は期成同盟会への加入を申請した目的について「8号線(有楽町線)の整備・誘致を実現し、移動の速達性や利便性、生活環境の向上などを図るまちづくりに取り組む」ためとしています。
区は8号線延伸と新駅設置により、北東部(大谷田、六木周辺など)の鉄道不便地域を解消できるとしています。また、区内の鉄道路線が北千住駅に集中しているなか、北千住を通らない新ルートの整備で輸送障害発生時の代替ルートも確保できるといいます。そのほか、豊洲や臨海副都心、押上地区へのアクセス向上、周辺鉄道路線の混雑緩和なども見込んでいます。
今後については、他の自治体と共同活動を展開することで、沿線自治体間の更なる連携強化を目指す方針。また、区内イベントなどのPR活動を行い、延伸に向けた地域の機運醸成を図っていくとしています。
ただ、期成同盟会もまずは「八潮〜野田市間」を先行整備区間として位置付けているため、今回の足立区を含む都内区間(押上〜八潮)や野田市以北への延伸が動き出すのは、その後になると見込まれ、まだまだ先の将来になりそうです。