圏央道は東京都心からおよそ50km圏を環状にむすぶ高速道路です。東北道・関越道・中央道・東名高速はじめ放射状に伸びる高速道路間を都心を経ずに連絡する役割もありますが、実はまだ全線開通には至っていません。どこまで整備が進んだのでしょうか。

都心50km圏をむすぶ大環状道路

 圏央道は東京都心からおよそ50km圏を環状にむすぶ高速道路です。東北道・関越道・中央道・東名高速はじめ放射状に伸びる高速道路間を都心を経ずに連絡する役割もありますが、実はまだ全線開通には至っていません。どこまで整備が進んだのでしょうか。


工事が進む神奈川県区間の栄JCT(画像:国土交通省)。

 圏央道のルートは、千葉県の木更津JCTから反時計回りに、以下のように各道路と接続していき、横浜市の釜利谷JCTまで至ります。全長は約300kmです。

●木更津JCT(東関東道・東京湾アクアライン)
●東金JCT(千葉東金道路)
●大栄JCT(東関東道)
●つくばJCT(常磐道)
●久喜白岡JCT(東北道)
●鶴ヶ島JCT(関越道)
●八王子JCT(中央道)
●海老名JCT(東名)
●海老名南JCT(新東名)
●茅ヶ崎JCT(新湘南バイパス)
●釜利谷JCT(横浜横須賀道路)

 このうち未開通なのは次の区間です。

【千葉県】松尾横芝IC〜大栄JCT(18.5km)
 成田空港の東側をかすめるように抜けていくルートで、途中に国道296号交点をふくむ2か所のICが設置予定。開通すれば、これまで銚子連絡道路の一部のような存在だった圏央道が、いよいよ茨城・埼玉方面へ直結することになります。

 その開通予定ですが、もともと2024年度だったのが、ことし7月に「いったん白紙」となってしまいました。原因は用地取得の問題やトンネル掘削の安全対策など複合的なものとなっており、追ってあらためて開通めどが発表されることとなります。

神奈川県側も完成に向け進行中

【神奈川県】横浜湘南道路・横浜環状南線(16.4km)
 新湘南バイパスの藤沢ICから栄IC・JCTを経て釜利谷JCTに至る「末端区間」が現在工事中です。実際には、藤沢ICからやってきた「横浜湘南道路」が、国道1号との交点・戸塚ICから釜利谷JCTに至る「横浜環状南線」に栄JCTで接続する、少しややこしい形になります。

 藤沢から釜利谷までは、JCTやICをのぞきほぼ全区間地下。藤沢〜栄はノンストップで、栄〜釜利谷には公田(くでん)ICが設置予定です。

 開通予定は、もともと2025年度だったのが、2022年8月に白紙に。原因はシールドトンネル工事の安全対策などで、掘削状況によりあらためて開通めどが発表されることとなります。横浜湘南道路のトンネル進捗は4分の1程度、横浜環状南線では折り返し地点をすぎたあたりです。トンネル以外の施設は進捗しており、栄IC・JCTのランプも大詰めに近い姿となっています。

※ ※ ※

 圏央道の開通部のうち、西半分はほぼ4車線化されています。久喜白岡〜大栄はまだ2車線で、4車線化工事が進行中。一部である久喜白岡〜幸手と境古河〜坂東がことし3月に4車線化完了したのを皮切りに、2026年度までに全線4車線化をめざしています。

 松尾横芝〜木更津も一部を除きまだ2車線のままですが、こちらはまだ目立った動きがありません。