GDPの2%分を達成。

長年指摘されていたNATO分担金を達成へ

 ドイツ連邦政府は2023年6月7日、2024年経済計画草案と2024年連邦予算の予算法に閣議で決定しました。これにより、国防予算は17億ユーロ増額の総額518億ユーロ(約8兆1070億円)となりました。


来年度予算で新たに調達予定のプーマ装甲歩兵戦闘車(画像:アメリカ陸軍)。

 連邦国防省は、当初求めていた予算額には届かなかったものの、ドイツのGDP約2%を軍事費に当てるということで、北大西洋条約機構(NATO)の割り当て分を達成したと発表しました。2020年のコロナ禍以降、緊縮財政傾向が強いドイツでは、異例の予算増であるようです。

 予算の増額の背景には、長年にわたりドイツが自国のGDPの2%という、NATO加盟国割り当て金を達成できていなかったこと対しての批判を避けるという意味もありますが、一番の要因は、2022年2月のウクライナ侵攻により高まったロシアの脅威です。

 そのため、陸海空軍あげての軍備増強が叫ばれており、2024年には陸軍では、プーマ装甲歩兵戦闘車のアップグレード版143両の配備、海軍ではブラウンシュヴァイク級コルベット、バーデン・ヴュルテンベルク級フリゲート、212A型潜水艦の調達。航空機ではF-35「ライトニング II」35機の購入などが急務となっています。

 なお、ボリス・ピストリウス国防相は今回の閣議決定に際し、「ここで立ち止まることができないことは明らか。ドイツ連邦軍は引き続き近代化を図り、適切な装備を整えなければなりません。財務省と連携し、必要な資金を確保してまいります」と来年度のさらなる予算増額を示唆するコメントを残しています。