ラジオNIKKEI賞を勝利したエルトンバローズ(撮影:下野雄規)

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【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】

◆先週の血統ピックアップ

・7/2 ラジオNIKKEI賞(GIII・福島・芝1800m)

 直線入口で先頭に立ったシルトホルンを、残り100mでエルトンバローズがとらえました。初勝利を挙げるまで5戦を要したものの、そこから3連勝。一気に重賞ウィナーの仲間入りを果たしました。ドグマ(3勝クラス)、カバーガール(3勝クラス)の半弟で、父はディープブリランテ。同馬は7頭いるディープインパクト産駒の日本ダービー馬の1頭で、昨年の総合種牡馬ランキングは54位。

 JRAではこれまでモズベッロ(日経新春杯)、セダブリランテス(中山金杯、ラジオNIKKEI賞)が重賞を勝っています。「ディープブリランテ×ブライアンズタイム」の組み合わせはセダブリランテスと同じ。同馬は2017年の当レースの勝ち馬なので、同じ組み合わせの馬が同じ重賞を勝ったことになります。エルトンバローズは今後、小回りコース・内回りコースでより注目したい馬です。

◆今週の血統Tips

 7月2日、中京芝1600mの新馬戦をルージュスタニングが勝ちました。同馬の父はイントゥミスチーフ。昨年まで4年連続で北米リーディングサイアーの座にある大種牡馬で、今年も首位を独走しています。アメリカのナンバーワンサイアーなので、ダートを得意としているのは当然ですが、このところもうひとつの特長が注目されています。芝適性です。芝競馬の成績のみを集計した北米種牡馬ランキングによると、イントゥミスチーフは2016年以降、49位→22位→19位→13位→7位→4位と着実に順位を上げ、2022年は5位とひとつランクを落としましたが、今年は現時点で首位に立っています。アメリカを代表する芝種牡馬キトゥンズジョイを抑えているのですから立派です。

 日本におけるイントゥミスチーフ産駒は、現在までに芝7勝、ダート30勝という成績。ただ、今年に限ると芝2勝、ダート3勝と拮抗しており、勝率、連対率、複勝率はいずれも芝がダートを上回っています。そうした事実を踏まえると、ルージュスタニングが芝で勝ったことは意外なことではありません。とはいえ、母ボインビューティーは名馬アロゲート(BCクラシック、ドバイワールドカップなどG1を4勝)の半妹なので、芝・ダート兼用タイプでしょう。