西武のデビッド・マキノン【写真:矢口亨】

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マキノンが披露した高い反応力

■オリックス 4ー1 西武(26日・ベルーナドーム)

 西武は26日、本拠地ベルーナドームで行われたオリックス戦に1-4で敗れた。ただ、敗戦の中にも光はあった。6回の守備では一塁に就いたデビッド・マキノン内野手の“神タッチ”で走者を牽制で刺す、いぶし銀のプレーがあった。

 6回2死から松本航投手が頓宮に四球を与え、左打者の西野を打席に迎えた。カウント2-2から素早く一塁へ牽制球を送ると、1度目の判定は「セーフ」だったが、松井稼頭央監督がリクエストし、リプレー検証の結果「アウト」に覆った。

 この時、マキノンは通常の牽制とは違い、一塁ベースに付かず、ベースの一歩前に出て本塁方向へ体を向けていた。それでも牽制球に対応。右投げのマキノンは左手のグラブで捕球した後、体を左に回転させながら、頭からベースへ戻ろうとする頓宮の右手にタッチし、アウトにしてみせた。

 マキノンは「あの場面では、頓宮選手はあまり足の速い走者ではないので、左打者からの打球に意識を置いた方がいいと判断して、あの守備位置を取っていた。(体を左回転させながらタッチしたのは)あの体勢だと、その方が捕ってから楽だったからだよ」と説明した。タッチした後、勢い余ってミットで頓宮の頭を痛打する形になり、「申し訳なかった」とも付け加えた。マキノンはその場でも頓宮に謝罪していた。

 このプレーを近くで見ていた二塁手の外崎修汰内野手は「頓宮はあの西野の打席で、(カウント0-1からの2球目に)スタートを切ったが、結果的にファウルになっていた。だから、あのカウントで捕手の柘植(世那)が牽制のサインを出したのだと思います。おそらく、オリックスベンチはあの場面でも、エンドランのサインを出していたのではないでしょうか。頓宮は完全に逆をつかれていましたから」と説明。守備の名手である外崎は「捕手のサインは、二塁手の僕からは見えるけれど、一塁手のマキノンからは角度的に見えない。その中で、うまく牽制球に対応してくれたと思います」と助っ人の高い適応力を称えた。

打ってはチーム2位タイの7本塁打

 来日1年目のマキノンは今季、開幕当初は三塁を守ることが多かったが、山川穂高内野手の離脱以降、一塁での出場が増えている。エンゼルス、アスレチックスでのメジャー経験を含め、米国では一塁を守ることの方が多く、本人がより自信を持っているのはファーストなのだ。

 打っては26日時点で、打率.241。7本は中村剛也内野手の8本に次ぎ、外崎と並ぶチーム2位。この日は3点ビハインドの4回、2死一塁で放った飛球は、バックスクリーンへ向かって伸びていったが、フェンスいっぱいであえなく失速。外野手のグラブに収まった。惜しい当たりで本拠地に光をもたらした。山川不在の今、攻守でチームを盛り上げることができるキーマンと言えそうだ。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)