新宿・歌舞伎町の新たなシンボルとして、4月14日にオープンした「東急歌舞伎町タワー」。地上48階、地下5階で、高さは225メートル。映画館やフードコート、劇場、ライブホールなどを兼ね備え、鳴り物入りで開業したばかりの同タワーだが、早くも大炎上している。

 問題となっているのは、2階にあるジェンダーレストイレ。要は、性別に関係なく誰でも利用できるのだが、男性の小便用トイレを除き、すべて共用なのだ。いわゆる「大」のほうは男女が隣同士で入ることもあるため、性犯罪などのリスクが指摘されている。

 実際、SNSには、

《手を洗うところもメイクを直すところも男女入り乱れるのあり得ない》

《ジェンダーレストイレになった意味がよくわからないですね。普通に女子トイレが無くなっただけで、何をどう考えて女性が割を食うわけ!?》

《そもそもジェンダーレストイレなんて言い方がしゃらくせぇわ。昭和前半の「共同便所」だろうがよ。退化してんだよ》

 など、苦言や批判が相次ぐ事態に。当の歌舞伎町タワーにも問い合わせが殺到しているようで、19日、公式サイトに「東急歌舞伎町タワー2F 個室トイレについて」との文書が掲載された。

 同文書によると、このトイレは《国連の持続可能な開発目標(SDGs)の理念でもある『誰一人取り残さない』ことに配慮し、新宿歌舞伎町の多様性を認容する街づくり》のため導入されたという。

 防犯対策として、

・警備員による巡回
・防犯カメラによるトイレ共用部の常時監視
・カメラ画像解析
・SOSボタン、長時間滞在と騒音による異常を検知した場合の警備員による駆け付け
・清掃員による高頻度の清掃実施
・夜間の電子錠によるロック(店舗利用者のみ使用可)

 などの施策を実施しているとした。

 実際のところ、このトイレはどのようなものなのか。4月21日、本誌記者も訪れてみた。

 2階に上がると、すぐにサイバーパンクな世界観が広がるフードコート「新宿カブキhall〜歌舞伎町横丁」が目に飛び込んでくるのだが、共用トイレが設置されているのはこのフロア。ということは、酒を飲んで酔っ払った男女がトイレ内で鉢合わせする可能性も高そうだ。

 フロアに警備員は巡回していたが、記者がトイレに行くタイミングでどこかに行ってしまい、しばらく戻ってこなかった。これでは立哨警備(不審者がいないかどうか立ったまま監視)になっていないのではないかと感じた。

 トイレに行ってみると、左手に「男性用トイレ」(いわゆる男性用の小便トイレ)、右手に「男性用トイレ」「女性用トイレ」「多目的トイレ」「誰でもトイレ」と指示されている。どっちに行けばいいのか、急いでいるときは慌ててしまうだろう。

 共用トイレを覗くと、洗面台エリアでメイク直し中の女性が複数いて、目が合ってしまった。「あれ? ここで合ってる?」と戸惑っていると、男性2人組が物珍しそうに中に入って見物して回っていた。こういう人は今後も多発するだろうが、女性は嫌なのではないか。

 女性と目があって思わず恐縮した記者だが、気を取り直して中へ。しかし、やはり同じ空間に女性がいる違和感はどうしても拭えない。

 共用トイレは入室中に赤いランプが灯り、空室になるとランプが消える仕組み。空いているトイレに入ってみると、ドアの造りはしっかりしており、きちんと消音ボタンもついている。上から覗くこともできないが……しかし、ここを男女共用にする意味が率直にいってまったくわからない。

 また、酔っ払った若い男性などが、ここに入ってきて「お姉さん、一緒に飲もうよ」などとナンパするケースも容易に想像できる。SNSでは、こんな “被害” も報告されている。

《中の個室のトイレ入ったらドア閉めるときに手洗いスペースのとこにいた男がこっちくるのが見えてドア閉めたあと隣に誰か入った音がして、なんか嫌な感じしたから用足さずすぐ個室出たんだけど、そしたら隣からその男がすぐ出てきて明らかに挙動不審》

《男女混合のジェンダーレスエリアで酔っ払いがトイレに辿り着く前に吐き散らかしてて、こりゃ女性も迷惑極まりないよなと、、》

「誰一人取り残さない」はずが、ジェンダーレストイレによって、むしろ女性たちは取り残されてしまったのではないか――歌舞伎町タワーはこの状況を打開できるだろうか?