画像はイメージ(編集部撮影)

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プロ野球ヤクルトが2023年4月9日、甲子園球場で阪神と対戦し1−1で引き分けた。3回に1点を先制されるも7回に同点に追いついた。8回以降、両軍投手陣が踏ん張り延長戦にもつれ込んだが決着はつかず。ヤクルトは同カード1勝1敗1分けとし、リーグ首位を堅守した。

「投手陣は現戦力の底上げがうまく進んでいる」

リーグトップのチーム防御率0.77を誇るヤクルトは初戦を3−1で勝利し、接戦となった第2戦は0−1で落とした。第3戦は1−1の引き分け。3試合で失点はわずか3点だった。開幕から9試合を行い、救援陣がいまだ無失点を続けており投手力の高さがチームを首位に押し上げている。

リーグ3連覇に向けて好スタートを切ったヤクルト。この勢いのままペナントレースを突っ走るのか。J-CASTニュース編集部は、ヤクルトOBでヤクルト、巨人、西武、楽天でコーチを務めた橋上秀樹氏(57)に今季のヤクルトの戦力を分析してもらった。

橋上氏は「阪神との3連戦はヤクルトの投手力の強さを感じました」と振り返り、「開幕してから9試合ですが、いまだ中継ぎ投手の失点がない。開幕したばかりとはいえこういうケースはなかなかない。今シーズンはどちらかといえば打撃のチームという印象だったが、投手陣が非常に整備されている。昨年からメンバー的にはそれほど変わっていないが、現戦力の底上げがうまく進んでいる」と解説した。

安定した投球を見せる救援陣の中でも高い評価を与えたのが、石山泰稚投手(34)、星知弥投手(28)、田口麗斗投手(27)の3選手だ。石山は今季5試合に登板して2勝3ホールド。星は5試合に登板して1勝をマーク。今季から抑えを任されている田口は5試合に登板し1ホールド、4セーブを挙げている。

橋上氏は「ヤクルトの投手陣は、他のチームと比べるとコントロールの良さが際立っている」と評価し次のように続けた。

「村上と山田はWBCの反動が」

「石山投手、田口投手、星投手。この3人が昨年に比べてさらに上積みが見られる。田口投手はマクガフ投手の代わりに抑えに回っているが、このポジションに適していると感じます。精神力が強く、性格も物おじしないタイプに見えます。抑えはメンタルが重要なポジションですので、投球技術も必要だが最後を担う精神力が必要となる。田口投手は元々先発をしていたのでスタミナもある。中継ぎの実績もある。よほどのアクシデントがない限りこのまま抑えで行けると思います」

一方で先発陣の駒不足を不安視する。8日の阪神戦で先発を予定していたディロン・ピーターズ投手(30)がコンディション不良のため登板を回避。急遽、尾仲祐哉投手(28)が先発した。ピーターズは9日に出場選手登録を抹消された。

橋上氏は「唯一の不安要素が手薄の先発投手」と指摘し、開幕からここまでの先発陣を分析した。

「広島戦でのピーターズの投球が良かったので、今季は小川(泰弘)投手とピーターズ投手がローテーションの軸になると見ていましたが、ピーターズ投手が外れてしまった。ピーターズ投手が1軍に戻るまでどの程度時間がかかるか分からないが、長引くようではかなり痛い。先発投手がもう少し揃ってこないと中継ぎへの負担が大きくなり、早い段階から中継ぎ勝負になってしまう。そうなるとワンシーズンもたなくなる。中継ぎ陣が安定してゲームを作ってくれているうちに先発陣を整備することが必要となる」

リーグトップのチーム防御率に対してチーム打率.168はリーグワースト。リーグ唯一の1割台だ。ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で活躍した主砲・村上宗隆内野手(23)は打率.212、1本塁打。山田哲人内野手(30)は打率.176、2本塁打と、共に打率が低迷している。

13年WBCで戦略コーチを務めた経験を持つ橋上氏は「村上選手と山田選手に関して言えばWBCの反動かなと思います。開幕前にあれだけのストレス、重圧のかかる大会を経験してきたのでホッとするところや気が抜けるところが出るのは仕方のないことだと思います」と自身の経験から分析し、「昨年の数字をみると村上選手、山田選手ともに6月、7月くらいに上がってくる感じなので期待したい」と語った。