花粉やPM2.5などが気になる季節に活躍するのが空気清浄機です。室内をより快適な環境にするために、空気清浄機の購入を考えている方も多いのではないでしょうか。

長時間運転することも多い空気清浄機ですが、気になるのはランニングコスト。月にどれくらいの電気代がかかるのか、気になるところです。

この記事では空気清浄機の仕組みや種類、電気代について詳しく解説します。

空気清浄機の仕組み

まずは空気清浄機の基本的な仕組みを、種類別に見ていきましょう。

ファン式空気清浄機
ファン式空気清浄機は、内蔵されたファンを回すことで周囲の空気を吸引する仕組みです。取り込まれた空気はフィルターを通してちりや花粉、ハウスダストを除去後、ふたたび機外へと排出されます。

近年では基本的な集塵機能だけでなく、脱臭機能や加湿・除湿機能などさまざまな機能を持つものが登場しています。

ファン式空気清浄機のメリットはコンパクトで集塵機能が高い点です。その反面、運転音が大きい、フィルターが目詰まりしやすいなどのデメリットもあります。

イオン式空気清浄機
イオン式空気清浄機は、その名のとおりイオンを発生させることで空気清浄効果を狙うものです。放電によって発生するイオンが空気中を漂う臭いの原因物質やウイルスなどに働きかけ、空気を清浄な状態にします。

イオン式空気清浄機のメリットは、コンパクトで運転音が静かな点です。デメリットとしては有効な範囲が狭い点、人体に有害なオゾンの影響が懸念される点などが挙げられます。

近年ではファン式とイオン式を組み合わせた空気清浄機が主流となっており、二つの長所を兼ね備えた製品も多くあります。

電気集塵式空気清浄機
電気集塵式空気清浄機は、静電気の力でほこりやちりを吸着する仕組みです。イオン式と同じく高圧放電によって空気中のほこりなどにプラス極の帯電を起こし、マイナス極のフィルターに引き寄せます。

電気集塵式空気清浄機のメリットは、フィルターの目詰まりが起こりにくい点やランニングコストが低い点です。フィルターを洗って繰り返し使えるため、環境保全の点でも評価できるでしょう。

デメリットとしては、仕組み上、ほかのタイプに比べて本体が大きく場所を取る点や、オゾンが発生する点などが挙げられます。

空気清浄機の電気代は

空気清浄機の電気代を試算してみると…

空気清浄機にかかる電気代を試算して、具体的な数字を出してみましょう。今回はパナソニックの加湿空気清浄機「F-VC55XR」を例に計算します。

電化製品の電気代は、以下の計算式から導き出します。

電気代 = 消費電力(kW) × 1kWhあたりの電気料金 × 使用時間

「公益社団法人全国家庭電気製品公正取引協議会」は2022年7月22日に電気料金の目安単価を従来の27円/kWhから31円/kWhに改定しました。そのため、電化製品の電気代を試算するための1kWhあたりの電気料金目安単価は31円とされています。パナソニックの加湿空気清浄機「F-VC55XR」を加湿空気清浄運転「中」の設定で使用した場合、消費電力は0.0115kWなので、1日24時間運転したときの電気代は以下のとおりになります(※1)。

0.0115 (kW) × 31(円) × 24(時間) = 8.556(円)

24時間の運転でかかる電気代は約8.6円。30日間同様に運転すると、電気代は以下のようになります。

0.0115(kW)× 31(円) × 24(時間)× 30(日) = 256.68(円)

空気清浄機を毎日休まず運転した場合にかかる電気代は、1ヶ月あたり約257円という計算になりました。

この計算結果を見ると、空気清浄機は消費電力が低いことがわかります。空気清浄機を日常的に使うことで、電気代が大幅に高くなる心配は少ないといえるでしょう。

※1 出典:パナソニック

空気清浄機を使用するメリット

ここからは、空気清浄機を使用するメリットをさらに詳しく見ていきましょう。

空気の汚れを除去できる

花粉症対策として有効な空気清浄機

空気清浄機のメリットとしてまず挙げられるのは、ちりやほこり、花粉などの汚れを除去し、空気をきれいにしてくれる点です。

ハウスダストアレルギーや花粉症の対策では、空気中のアレルゲンを吸い込まないことが大切です。屋外ではマスクや花粉ブロックスプレーで防ぐ必要がありますが、室内では空気清浄機を置くことでアレルゲンを取り除けます。

タバコやペットの臭いがとれる
空気清浄機はほこりや花粉などのアレルゲンだけでなく、室内の気になる臭いにも効果があります。

たとえばタバコや、衣服・寝具につく体臭や汗、ペットの体やトイレまわり、カビなど、部屋の臭いの原因はさまざまです。空気清浄機は悪臭の原因物質も吸引します。

カーボンフィルターなど脱臭効果を兼ね備えている空気清浄機なら、臭いへのアプローチはさらに期待できるでしょう。

病原菌やウイルス対策になる
空気清浄機のなかには、疾患・感染症の原因となる細菌やウイルスへの対策になる機種も登場しています。

ウイルスのような微小サイズの粒子に対応するフィルターを内蔵していたり、プラズマ放電により発生するイオンの力で空気中の菌を抑制したりと、製品によって仕組みはさまざまです。

多くのメーカーでは細菌・ウイルス除去の実証実験を行い、結果を製品のホームページで発表しています。購入前にはどのような環境で効果を発揮する製品なのか、あらかじめリサーチしておくのがおすすめです。

加湿効果のある機種も
近年では、加湿機能を兼ね備えた空気清浄機も販売されています。花粉やウイルスが気になる冬から春にかけては、乾燥した空気に悩まされるケースも少なくありません。

のどや鼻の粘膜は乾燥でバリア機能が下がりやすく、風邪などの感染症にかかりやすくなるとされています。また、湿度が高い環境の方が花粉の飛散が抑えられることがわかっています。

空気清浄機能と加湿機能が備わった製品なら、花粉やウイルス対策にさらなる効果が期待できるでしょう。

空気清浄機の上手な使い方

さまざまなメリットがある空気清浄機ですが、しっかりと効果を感じるためには上手な使い方を実践する必要があります。

適切な適用床面積
エアコンや加湿器などと同様に、空気清浄機にも適用床面積があります。メーカーが規定する以上の広さで使うと、空気の吸引が行き届かない場所があるなど本来製品が持つ清浄機能が発揮されないこともあるので注意が必要です。

空気清浄機の購入前には、使用予定の部屋の広さにどの製品が適しているのかあらかじめ調べておきましょう。

置き場所に気をつける

臭いが気になるところの近くに空気清浄機を置く

空気清浄機を使用する際には、置き場所にも気を配りましょう。

基本的には空気が循環する場所に設置します。部屋の中央やベッドのそばに加え、臭いが気になるペットトイレの近くなどもおすすめです。部屋の隅や壁際、家具に囲まれた場所など空気が動きづらい場所に置くと、思ったような効果が得られないこともあるので注意しましょう。

設置場所によっては、サーキュレーターとの併用も効果的です。

フィルターの洗浄と定期的な交換
空気清浄機を効率的に稼働させるためには、フィルターの定期的な洗浄・交換が重要です。

空気清浄機は周囲の空気を吸引し、ほこりや花粉などをフィルターに通してきれいにしています。そのため、運転時間が長いほどフィルターに汚れが溜まりやすくなります。

フィルターが汚れたまま放置しておくと、空気清浄効果が落ちたり汚れからカビが発生したりする恐れもあるので注意しましょう。

まとめ

空気清浄機の電気代は、1日中運転してもひと月あたり数百円と比較的安価であることがわかりました。

花粉やハウスダスト、ウイルスを抑制して空気を清浄に保てるメリットを考えると、快適な室内環境を保ちたい方にはぜひおすすめしたい電化製品です。今回の記事の内容を参考に、ライフスタイルに合う製品を探してみましょう。