マンションの維持費は年間いくらかかる? 費用の内訳や相場などを解説!
マンションを所有すると管理費や修繕積立金などの維持費がかかります。そのため、購入時には毎月の住宅ローン返済に加え、どのくらいの維持費を支払うのかを把握しておくことが大切です。今回は、マンション維持費の内訳や相場などを解説します。戸建ての維持費との違いも紹介しますので、マイホーム購入時の検討材料にしてください。
マンション維持費の内訳と相場
まずはマンションの維持費の内訳と、それぞれの相場について解説します。
管理費
管理費は、以下のようなマンションの維持管理に使われる費用です。
・共用部分(エレベーター、廊下、階段など)で使用する電気代や水道代
・保守点検費用(エレベーター、貯水槽など)
・共用部分の保険料(火災保険、損害保険など)
・共用部分で使用する備品代(電球、清掃用具など)
・管理人や清掃スタッフの人件費 など
国道交通省が2018年に行った調査では、管理費の一戸あたり平均月額は以下のような結果になりました。
管理費はマンションの全世帯で出し合うため、総戸数規模が大きいほど一戸あたりの負担は少なくなり、金額が低くなる傾向にあります。
出典:Ⅱ.平成30年度マンション総合調査結果 | 国土交通省
修繕積立金
修繕積立金は、主に10~15年ごとに行われる大規模修繕に備えて徴収される費用です。そのほかにも、次のような設備の補修・交換などにあてられます。
・外壁の補修
・屋根や屋上の防水改修
・受水槽や給排水管の交換・補修
・自然災害による損傷の修繕
・階段手すりなど共用部分の塗装
・集合ポストや宅配ボックスの交換
・駐車場や駐輪場の補修・増設 など
同調査では、修繕積立金の一戸あたり平均月額は以下のとおりとされています。
修繕積立金は管理費と同じく全世帯で負担する費用ですが、規模が大きくなれば修繕箇所が増えるため、一戸あたりの金額は単棟型よりも団地型のほうが高くなる傾向にあります。
出典:Ⅱ.平成30年度マンション総合調査結果 | 国土交通省
駐車場代
駐車場や駐輪場を借りる場合は、毎月の賃料が発生します。駐車場代はエリアや駐車場の種類(平面、機械式立体、自走式立体)によって差がありますが、相場は月5,000~3万円くらいが目安です。駐輪場代は1台あたり毎月数百円程度を予定しておくとよいでしょう。マンションによっては無料で駐輪場を利用できるところもあります。
火災保険料
火災や自然災害、水漏れなどによる損害に備えて、専有部分を補償する火災保険・地震保険に加入します。加入は任意ですが、もしものときに残債を保険金で回収できるよう、住宅ローンを組む際の条件にしている金融機関が多いようです。保険料は建物の構造や築年数、専有面積、補償内容などによって異なります。
たとえば、専有面積85平方メートルの新築マンションの場合、5年契約一括払いで1年あたり1万2,000円から1万6,000円程度が目安となります(地震保険含む)。なるべく長期一括で支払ったほうがお得ですが、2022年10月の改定により保険期間が最長10年から最長5年へと短縮されたので注意してください。
固定資産税
固定資産税は、毎年1月1日時点の不動産所有者に課される地方税です。市街化区域にある不動産については、同時に都市計画税も課税されます。それぞれの計算式は次のとおりです。なお、地方税のため、自治体によって税率が異なることがあります。
・固定資産税(建物部分)=固定資産税評価額×標準税率1.4%
・固定資産税(土地部分)=固定資産税評価額×標準税率1.4%
・都市計画税=固定資産税評価額×上限税率0.3%
ちなみに、固定資産税・都市計画税にはいくつかの軽減措置があり、マンションには次の特例が適用される可能性があります。
【住宅用地の特例】
所有する土地の面積に応じて、課税対象額を減額
敷地面積200平方メートル以下の部分は、固定資産税は固定資産税評価額の6分の1、都市計画税は固定資産税評価額の3分の1として算出される
【新築住宅に係る減額措置】
建物の床面積120平方メートル以下の部分は、取得から3年間(マンションは5年間)、固定資産税を2分の1に減額
例として、次の条件で固定資産税を試算してみましょう。
・建物:新築マンション
・専有面積:80平方メートル
・固定資産税評価額(土地):2,500万円
・固定資産税評価額(建物):1,500万円
新築・中古にかかわらず、都市計画税の建物部分への減額措置はありません。ただし、自治体によっては特例が適用されることもあるので、確認してみてください。また、耐震・省エネ・バリアフリー改修でも固定資産税が減額されるケースがあります。詳しくは国土交通省のWebサイトにて確認してください。
参考:各税制の概要|国土交通省
マンションと戸建て、どちらの維持費が高い?
比較のために戸建ての維持費も確認してみましょう。ここでは、戸建てにはどのような維持費がかかるのか、マンションと比べてどちらの維持費が高いのかを解説します。
戸建ての維持費
戸建てとマンションで共通する維持費は、固定資産税・都市計画税、火災保険料の3つです。戸建てはマンションに必要な毎月の管理費や修繕積立金が発生しませんが、自分で修繕費を積み立てておかなくてはなりません。
建物本体や設備は、築10年を過ぎたあたりから劣化や故障が目立つようになります。修繕費用の目安は規模や築年数によって異なりますが、新築から約30年で500~800万円程度かかると想定しておきましょう。
マンションと戸建ての維持費を比較すると
維持費の年間合計は、戸建てよりもマンションのほうが高額になると考えられます。マンションの維持費のなかで最も大きいのが管理費・修繕積立金で、所有期間が長くなるほど支払い総額は多くなります。マンションは木造住宅に比べて耐久性があることから評価額が高くなり、固定資産税・都市計画税も比較的高めです。
また、敷地内に駐車スペースを持てる戸建てと違い、駐車場代が発生することもマンションの維持費を増やす要因といえるでしょう。なお、マンションは構造的に耐火性に優れているため、火災保険料は木造戸建てより安く抑えられます。
マンションの維持費に関する注意点
実際に住まなくても、マンションを所有する間は維持費の支払いが続きます。維持費に関する注意点を把握しておきましょう。
毎月の収支を把握する
マンションを購入後、収入に対してマンションの維持費が負担になりすぎないようにすることが大切です。管理費や修繕積立金は毎月発生するものなので、住宅ローンの返済とあわせて毎月の収支がどのようになるのかをシミュレーションしておきましょう。また、駐車場を借りる場合、エリアによっては高額になる可能性があるため注意が必要です。
老後の負担にならないか検討する
住宅ローンの返済が終わると、毎月の負担は大きく減ります。しかし、マンションでは住宅ローン完済後も管理費・修繕積立金は毎月発生します。年金生活に入ってから維持費の支払いが負担になる可能性もあるため、購入を検討する際は慎重な収支シミュレーションを行うことが大切です。
まとめ
マンションの維持費には、毎月発生する管理費や修繕積立金、駐車場代のほか、固定資産税や都市計画税、火災保険料などがあります。戸建てと比較した場合、マンションのほうが維持費は高くなる可能性があるため、将来的に負担にならないように購入前に毎月いくらかかるのかを把握しておきましょう。