また起きた「くしゃみで死亡事故」 ドライバー悩ます花粉症 窓を閉めても 対策はあるのか
花粉症は運転するドライバーにとっても大敵。運転中のくしゃみで死亡事故も起こっています。しかし、服をはたいて、窓を閉めても、襲ってくる症状。気を付けておくべきことは何なのでしょうか。
花粉症のつらい季節
2023年も3月に入り、いよいよ花粉がきつい時期になってきました。ウェザーニューズ社によると、東京都では前年より3日早い2月14日からスギ花粉が飛散し始めているとのこと。3月初頭の累計飛散数は、昨年の同じ時期に比べて約5倍にも達しているそうです。
花粉で運転がつらい季節に(画像:写真AC)。
外を歩くのが億劫になってくる時期ですが、クルマを運転する場合も、花粉の猛威からはなかなか逃げられません。窓をしっかり閉めたとしても、服に花粉が付いたままであれば、やはりくしゃみは止まらないでしょう。
たかがくしゃみですが、高速移動するクルマでその一瞬は時に命取りになります。「くしゃみで意識が遠のいた」として交通事故を起こした案件は複数報告され、今月2日にも大阪市生野区で歩行者2人が犠牲になる痛ましい事故が発生したばかりです。
しかし、服をはたいて乗車し、窓をしっかり閉めても、やはりムズムズが止まらない場合があります。どう対策すればいいのでしょうか。
日産のドライバー向けサイト「日産ドライブナビ」では、花粉に対する物理的対策として、「エアコンを『内気循環』にする」「こまめに車内を水拭きして除去する」と紹介しています。「外気循環」だと、新鮮な空気と一緒に花粉も入ってきてしまい、窓閉めは意味がありません。また、水拭きでは「凹凸のある部分は花粉が溜まりやすい」として、特に念入りに拭くべきとしています。
薬のんだら運転やめたほうがいいの?
また、内気循環の際にエアコンフィルターがホコリなどを除去してくれますが、このフィルターも物によって花粉除去能力に違いが生まれます。自動車部品メーカーのボッシュによると、フィルターの目の細かさとして「20マイクロメートルよりも小さいサイズを除去できるもの」を推奨しています。
花粉症という症状自体を薬で抑えてしまうという手があります。そもそも花粉症とは、花粉に対する抗体の影響でヒスタミンが分泌され、アレルギー反応を起こすもの。ヒスタミンを受け取る部分(受容体)にダミー成分で蓋をしてしまおうというのが、抗ヒスタミン薬の原理です。
しかしこれにも注意が必要です。カー用品店を経営するオートバックスは自社のWebコラムで「花粉症を抑える抗ヒスタミン薬は、脳の判断が低下するという副作用があります」としています。ただし、その副作用は成分によってさまざまなため、適切な医師の処方のも「一つの手」だそうです。
ちなみに、2017年に愛媛県今治市では、くしゃみに起因して3人が死傷した追突事故で、松山地裁は「速やかに運転を中止すべきだった」という有罪判決をドライバーに出しています。