ソフトバンク戦に先発した侍ジャパン・佐々木朗希【写真:荒川祐史】

写真拡大

佐々木朗希は最速162キロをマークし2回1安打無失点3奪三振の快投

 野球日本代表「侍ジャパン」の佐々木朗希投手(ロッテ)が25日、ひなたサンマリンスタジアム宮崎で行われたソフトバンクとの強化試合「カーネクスト侍ジャパンシリーズ2023 宮崎」に先発。最速162キロをマークするなど2回1安打無失点3奪三振の好投を見せた。オリックス、ソフトバンク、広島で打撃コーチなどを歴任した野球評論家の新井宏昌氏は「今すぐ大会が始まってもいいぐらい素晴らしい投球」と、太鼓判を押した。

 佐々木が侍の初陣を見事に飾った。160キロ超えを連発した伸びのある直球に、落差の大きなフォークと切れ味鋭いスライダーが冴え渡った。先頭の牧原大成こそ二塁内野安打で出塁を許したが、その後はホークス打線を完璧に封じる内容だった。

 昨年11月に行われた豪州との強化試合から約3か月を経てマウンドに上がった右腕の投球に新井氏は「全ての球種が格段に違う。真っすぐの力も本来の姿に戻っている。素晴らしい状態だと思います」と、大絶賛だった。

 そのなかでも、初回2死走者なしで柳田悠岐から空振り三振を奪った場面に注目。初球から2球連続フォークで追い込むと、フルカウントとなり最後は162キロの直球で仕留めた。

「フォークもカウントを取るボールと、決め球の2種類を投げ分けることができている。WBC球にも戸惑うことなく、意図して操ることができている。フォークはストライクゾーンに投げてしまうと長打を食らう恐れもあるが、そこの投げ分けがしっかりしている。フォークの精度が良かったからこそ、真っすぐ1本に絞れない」

ダル直伝のスライダーで今宮を空振り三振「投球の幅はさらに広がる」

 佐々木朗の代名詞は直球とフォークだが、この日は宮崎合宿中にダルビッシュ有投手(パドレス)から教わったスライダーも生きた。2回2死走者なしから今宮に対してはフォークを封印し、スライダーを多投し三振を奪った。

 ダルビッシュ、大谷翔平(エンゼルス)、山本由伸(オリックス)と共に先発ローテとして、他国からも警戒されるだけに「これまでのNPBで投げたデータをライバル国も確実に持っている。佐々木のイメージは直球とフォークだと思うが、進化したスライダーが加わることで投球の幅はさらに広がる。もう一つ、意識させるだけで十分にアクセントになるでしょう」と新井氏は語る。

 球数制限が設けられており、1次ラウンドでは65球、準々決勝は80球、準決勝以降は95球を超えて投げることはできないが「制球で苦しむ投手じゃない。ある程度のイニングは投げることができる」と、2回を26球で終えた内容を評価した。

 WBC出場メンバーで挑む初の対外試合で“開幕投手”を務めた背番号「14」。予定された2イニングを完璧にこなし、本戦に向け準備は万全のようだ。(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)