立憲民主党枝野幸男前代表が、現在の健康保険証を2024年に原則廃止し、「マイナ保険証」としてマイナンバーカードに統一する政府方針について、さいたま市の講演会で苦言を呈した。

「保険証をなくすんだって。デジタル化はいいんですよ。マイナンバーそのものを有効活用するのはいいことだと思う。だけど、全員できます?」

 このように切り出した枝野氏は、「保険証は、見れば保険の種類と番号が書いてある。でっかい銀行だって、キャッシュカードで金を下ろせなかったことがあるじゃないですか。大停電が起きたとき、どうするんですか。マイナンバーカードのシステムが壊れたら、どこの医療機関でも保険証を確認できない」と続けた。

 最後は「こんな “天下の愚策” をやめさせるために頑張っていきたいと思っております」と、党の活動について言及した。

 実際、マイナカードの普及は伸び悩んでおり、2022年9月末時点で、交付率は49.0%にとどまっている。

 また、マイナカードの保険証利用は2021年10月から本格運用が始まっているが、実際の利用はなかなか進んでいない。「日本健康会議」が2022年9月4日に公表したデータでは、カードの読み取り機を導入した医療機関や薬局は6万4965施設で、目標とする20万施設の32.5%にとどまっている。

 今回の「マイナ保険証」の統一方針も、なんとかカードを普及ささせたい窮余の一策だと考えられるが、一方で、任意だったはずのマイナカードの「実質的な強制」との批判も根強い。

 そうしたなか、枝野氏の「天下の愚策」発言が報じられると、SNSでは《見当違いの批判》との声が殺到した。

《大停電が起きれば、マイナンバーカードを使えないだけでなく、病院も機能停止、そこに行くための地下鉄も停止するんだけど》

《え?そこ?停電なったらそもそも電子カルテ見れないから診察できないし、今時紙カルテ使ってる病院なんて皆無に近い、論点はそこじゃなくてさ国民が懸念してるのは国のデータセキュリティの甘さなんじゃないの?》

《「病院が停電」は震災レベルの非常事態で、電子カルテ止まって通常診療不能。加入保険の種類は保険証忘れた人と同様後から確認出来る。それより、原発を封じ込めて電力不足を招いた方が天下の愚策だ》

 枝野氏が発言した「天下の愚策」は、ツイッターでトレンド入り。 せっかくの発言も「論点はそこじゃない」とあきれられてしまったようだ。