最強の営業が伝授「超見やすいパワポ」7つのコツ
オンライン商談でも集中して聞いてもらうための7つのコツを紹介します(写真:y.uemurasurassyu/PIXTA)
コロナ禍で急速に増えたオンライン商談。移動がないなどメリットはあるものの、対面に比べて、入ってくる視覚情報が圧倒的に少なくなります。プレゼンが長時間に及べば、画面を見るのに飽きてきて、顧客の集中力も途切れがち。ならば、少しでも長く集中してもらうにはどうすればよいのか。
営業や提案資料作成、プレゼンテーションスキルなどを各種セミナー・年間100冊以上の読書から学び、新卒2年目に新製品受注件数1位を達成し、東南アジア地域でのパートナー企業開拓や新規顧客開拓を担当した経験を持つ、JOENパートナーズ代表の城野えんさんの『成果に直結する「仮説提案営業」実践講座』の一部を抜粋、再編集し、顧客の集中力を持続させるプレゼンのポイントをお伝えします。
オンライン商談では対面に比べて、入ってくる視覚情報が圧倒的に少なくなります。対面であれば、顧客は営業担当者の顔、名刺、服装、動き、持ち物、資料など様々なものを見ることができますが、オンラインでは、「画面共有されたプレゼンスライド」と「カメラの撮影範囲内に映る営業担当者の姿」の2つしか確認できません。
しかも、商談中はその2つが映ったパソコン画面を長時間じっと見続けなければいけないため、対面商談よりも「飽き」が発生しやすく、集中力が続かないという傾向があります。そこで、少しでも長く集中してもらうために、この2つの見せ方を徹底的に工夫することが重要になります。
一目で伝わるスライド作成のコツ
プレゼン中、顧客が最も長い時間注視して見ているのはパワーポイントのスライドです。プレゼン資料作りに没頭すればするほど、どうしても「あれもこれも」と情報を1枚のスライドに詰め込みやすくなります。しかし、画面に表示されている各スライドが、情報量が多くごちゃごちゃしたものでは、顧客は混乱し、集中力が続かなくなります。そのため、オンライン商談では、なるべくシンプルに、一目で伝わるスライドというのが非常に重要になります。
プレゼンのスライド作成について深く学びたいという方は、専門の書籍がたくさん出ているのでそちらを参考にしていただきたいのですが、ここでは、実際に私が分析・添削をしてきた数々の営業・プリセールスの方々の提案資料をもとに、シンプルなスライドを作るための、「余計な情報をそぎ落とす」方法について、ご紹介したいと思います。各社でよく見られる代表的な7つの項目を選びました。ぜひ、ご自身の現在の資料と見比べてみて、当てはまるものがないかを確認してみましょう。
※7つの項目について具体例をお知りになりたい方は『成果に直結する「仮説提案営業」実践講座』を参照ください。【Before(わかりにくいスライドの例)⇒After(わかりやすく修正したスライドの例)】を示し、皆さんのイメージがわくようにしてあります。
配色のせいで内容がわかりづらい
●1. 色が多過ぎないか?
プレゼン資料の多くは、スライド内の「配色」のせいで内容がわかりにくくなっています。まず、ご自身の現在のパワーポイント資料が下記の項目に当てはまっていないかをチェックしてみましょう。
□色数が4色以上ある
□色のトーンが全体的に明るい
□色にルールがなく、適当に決めている
色数は多ければ多いほど、内容が伝わりづらくなります。赤、青、黄色、緑、紫……とスライド内にたくさんの色が登場するようなスライドを作成してしまう方には、「色は、多ければ多いほど良い」という思い込みがあるのではないかと思います。
実は、パワーポイントの資料は、3色以内でまとめると、とても見やすくなります。プレゼン1本に数千万円とる外資系コンサルティング会社など、プロフェッショナルなプレゼン資料を作る会社では、スライド内の色は3色まで、というのが基本です。
どうしてもそれ以上使う場合でも、薄め/暗めの色を使って5色程度までにするのが良いです。原色に近い派手な色は、PCの画面で長時間見続けると目が疲れてしまい、集中力を阻害する要因になってしまいます。そのため、なるべく暗めのトーンの色を使うと良いでしょう。
また、「何となくで色を決める」のをやめ、資料全体で統一ルールを設けるようにすると、一目で伝えたいことがわかる資料になります。例えば、セキュリティリスク増加などの悪いことを赤、セキュリティレベル向上などの良いことを青で記載する、というルールを決めて全スライドで適用すれば、パッと見ただけで何がいいたいのかが伝わるようになります。
プレゼンする側にも、される側にとっても、見やすくわかりやすいスライドになります。
●2. 余白は十分あるか?
IT製品の紹介資料では、スライド内に隙間なく文字や図表、ボックスなどが詰め込まれ、余白がないものを多く見かけます。
ただ、実は余白があまりない資料は圧迫感を与え、見ている人の視線が定まりにくくなるため、伝えたいことがきちんと伝わらなくなってしまいます。余白を意識したスライド作りを心がけましょう。
伝えたいメッセージはシンプルに
●3. スライド内に複数メッセージがないか?
1スライド1メッセージが基本です。スライド内に伝えたいことを詰め込み過ぎると、顧客は混乱します。複数のメッセージがある場合は、思い切ってスライドを分割しましょう。情報を詰め込み過ぎると、文字も小さくなってしまいます。文字が小さ過ぎると、何が書いてあるのかよく見えません。フォントサイズ10以下は、はっきりいって全く見えていないと思ったほうが良いです。できるだけ、フォントサイズは20以上にしておきましょう。
●4. 言葉のダブりがないか?
同じ言葉を何度も使ったり、タイトルと同じような表現を繰り返したりしているスライドをよく見かけますが、文が長くなり、伝えたいことが伝わりにくくなります。ダブりをなくし、冗長な表現をシンプルに変えることで、スライドがすっきりと整理され、伝えたいことが伝わりやすくなります。
●5. 表が見やすいか?
パワーポイントでは、表を挿入するとき、シマウマのように色が交互に入った表が標準で作成されます。ほとんどの方は、このシマウマ表に何の疑問も感じず使用してきたと思いますが、実はこれだと、つい色が濃いところに目線がいってしまい、伝えたいことがぶれやすいです。シマウマ表ではなく、目立たせたいところに色を付けた表を作成するようにしましょう。
●6. グラフが見やすいか?
グラフは、伝えたい情報が目立つように、余計な線を削り、目立たせたいところを強調すると、すっきりと見やすくなります。
●7. ライン(線)が揃っているか?
ライン(線)が揃っていなくてバラバラだとわかりにくいので、きちんと揃えましょう。特に、導入前の構成と導入後の構成など、Before⇒Afterで比較するような時に揃っていないとポイントがわかりづらくなってしまいます。また、そうしたスライドは、「手抜き感」が出てしまい、適当に作ったように見えやすいので、顧客からの信頼獲得に悪影響を及ぼします。きちんとラインを揃えて、プロフェッショナルなスライド作りを心がけましょう。
ジェスチャーで集中力を維持させる
商談のオープニングでは自分の画像をオンにしているのに、プレゼンが始まると、「別に自分の顔を映す必要はないだろう」と思って、画像をオフにしてしまう方が一定の割合でいます。これは非常にもったいないことです。
確かに、プレゼン中はパワーポイントの資料が画面に大きく映るため、基本的には顧客はその資料を見ていますが、資料だけずっと凝視し続けていると、「飽き」が生じ、集中力が切れてしまいやすいのです。
ここで、営業の顔をきちんと映し、ところどころ強調したいところでジェスチャーなどの動きをみせると、つい目線がそちらに移るので、聞き手の「飽き」を防ぎ、集中力を保つ効果があります。さらに、ジェスチャーがあると、「伝えようとする一生懸命さ」や「提案に込めた熱意」などを意識付ける効果があるため、「一生懸命プレゼンしているから、きちんと集中して聞いてあげよう」という意識を持ってもらいやすいのです。
自分の画像を見せるとき、ついつい顔のドアップで映ってしまいがちですが、上記を参考に、少しパソコンから離れてバストショットで映るようにすると、手のジェスチャーも見せやすくなります。
オンラインプレゼンのジェスチャーのポイントは「対面の2倍アピール」です。小さな画面では、小さな動きはほとんど見えません。対面では大げさだと思われるかもしれないくらいオーバーな動作がちょうど良いのです。
●プレゼン時だけでなくヒアリング時にもジェスチャーが有効
さらに、実はジェスチャーは自分が話す時だけでなく、相手が話している時の「聞く姿勢」アピールにも使えます。オンラインではメモをとっていても手元まで映らず、相手からすると「下を向いていて、自分の話を聞いていない」ように見えてしまうことがあります。
相づちにも気を付けよう
そのため、私はいつも、ノートをバインダーにはさんで、画面に映るようにあえて見せながらメモをとっています。こうすることで顧客に「あなたの話を真剣に聞いていますよ」とアピールできます(実際、以前「話をよく聞いてくれていますね」とお客様に褒められたことがあります)。これとあわせて、大きくうなずいたり、あえて画面に近づいたりするのも効果的です。
対面商談では、傾聴力を高めるテクニックとして、相づちやオウム返しが有効ですが、オンラインでは言葉がかぶり、相手の話の邪魔になってしまうため、オンライン商談の場合は気を付けましょう。
(城野 えん : 営業コンサルタント/株式会社JOENパートナーズ代表取締役)