※この記事は2021年06月10日にBLOGOSで公開されたものです

「『がんになって良かった』と言いたい」(徳間書店)の著者で京都大大学院工学研究科の山口雄也さんが、6日に亡くなった。23歳だった。父親が9日、雄也さんのTwitterを更新して明らかにした。

雄也さんは大学1年の冬にがんを宣告され、闘病生活のかたわらでSNSを使って自身の思いを発信し続けてきた。同じように闘病中の人の励みともなり、Twitterでは「最後まで力強く生き抜く姿に何度も勇気を貰いました」「教えられたことがたくさんありました」などと別れを惜しむ投稿であふれている。

6日朝に両親に見守られて亡くなった雄也さん

父親が9日午後6時ごろ、「ご報告」と題してTwitterを更新した。6日朝に両親に見守られて亡くなったことを伝え、「生前は沢山の応援を頂きありがとうございました」と伝えている。

雄也さんは京都市出身。大学1年だった2016年冬に胚細胞腫瘍を宣告された。乳がんで闘病中だった小林麻央さんのブログを励みにしながら、自らもSNSやブログで思いを発信するようになり、ユーモアを交えた投稿が話題となっていった。

大学3年の時には急性リンパ性白血病を告げられたものの、16年12月から20年3月までのブログをまとめて「『がんになって良かった』と言いたい」を出版。タイトルにも盛り込んだ「がんになって良かった」との言葉をブログに記すまでの経緯や葛藤も明かし、がん患者やその家族にとどまらない多くの人に影響を与えた。

雄也さんは筋力も低下し寝たきりの状態が続いていた5月31日夜、自らを映した動画を交えて、病院職員の助けを得ながら歩行訓練を行う様子をTwitterで公開。5メートル以上歩くことができるようになったことを伝え、「ここからまた距離を伸ばしていく」と決意を記していた。これが雄也さんによる最後のツイートとなった。

「煌めきは尊い」 死を悼むツイート相次ぐ

父親のツイートを受け、「最後までカッコよかったし、貴方を見て献血に行くようになりました」「雄也さんの発信したメッセージは無くならないし、太く短く駆け抜けた雄也さんの煌めきは尊い」など死を悼むツイートが相次いでいる。

雄也さんを支え続けた両親に対しても「どうぞお元気でいらして下さいね。雄也さんが1番望んでいる事でしょう」などと温かなメッセージが数多く寄せられている。