※この記事は2021年05月07日にBLOGOSで公開されたものです

5月7日は「コナモンの日」です。この記念日は、一般社団法人日本コナモン協会によって制定され、たこ焼き、お好み焼きをはじめ、穀類を粉にしたさまざまな"粉もん”料理の食文化の普及・継承を目的に設立されました。

同協会は、食文化研究家で会長の熊谷真菜さんが2003年に設立。歴史、文化調査や、飲食店、企業、ご当地グルメ団体と協力し、各地の粉もん文化の魅力を伝える活動に取り組んでいます。

協会名はなぜ「コナモン」表記?

そもそも、たこ焼き、お好み焼きなど小麦などの穀類を粉にして使うメニューを「粉もん」と呼ぶ文化はいつ頃から始まったのでしょうか。同協会の熊谷会長に協会の成り立ちを伺いました。

「粉もん」とは、粉物、捏ね物という言葉が撥音便として「粉もん」になったそうです。さらに、協会名を「コナモン」とカタカタ表記にしている理由は、「大阪では、ポケモンと同じイントネーションなので、キャラ的に親しみやすく、多くの方が読みやすいほうが良い」という考えから。

また、発祥については、「全国の粉どころ(東北の南部地域、群馬、長野、播州、筑後地方など)ではイントネーションは微妙に異なりますが、”コナモン”という言葉が定着しているエリアが多いです。大阪弁ではないのは確かですが、いつどこでいいはじめたかは、確認できていない」そうです。

さらに、対象となるメニューは「粉もん」といわれてイメージしやすいたこ焼き、お好み焼きにとどまらず、麺類、パン、パスタ、ピッツァ、ナン、トルティーヤ、小籠包など点心まで多岐にわたり、それらを総称することができる言葉として採用したという一面もあるとのこと。

当時、関東出身の人からは「”コナモン”とは何でしょう?」という質問を受けていましたが、協会設立から10年後には、メディアでは当たり前のように「コナモン」という表現が使われるようになり、熊谷さんは活動の成果を実感していると振り返ります。

家でできる定番たこ焼きのアレンジレシピ

「粉もん」料理は幅広く、おすすめを一つ選ぶのは難しいという熊谷会長。今回は数あるメニューの中から、”コナモン”の王道ともいえるたこ焼きのアレンジレシピを教えてもらいました。

「たこ焼きの具材としては、たこ以外も冷蔵庫にある材料で楽しめます。ウインナー、ちくわ、サラミ、合わないものはほとんどありません。おすすめなのは、ミニトマト、アスパラ、そら豆など食感豊かな旬の野菜です」。

たこを入れずに野菜を入れるというのは斬新です。作る際には生野菜をそのまま入れるだけですが、たこに比べ水分が出るので少し注意が必要だといいます。

また、野菜たこ焼きには「塩、マヨネーズと黒コショウ、醤油も合います。えんどう豆を10粒くらい入れて、バター醤油で、またタケノコなら味が淡白なので、明太マヨで食べるのもおいしいです」と調味料をいつもと変えるのもアリとのことです。

同協会ではWebサイトにてさまざまなコナモンレシピの紹介をしている他、YouTubeでも熊谷会長自ら作り方を説明しているので、調理の際は参考にしてみてはいかがでしょうか。

また、昨今は糖質制限ダイエットが話題になり、炭水化物である「粉もん」を避ける人もいるでしょう。しかし、極端に減らしすぎると食生活のバランスが乱れ、健康に良くない場合もあります。

熊谷会長は「コナモンは粉単体で食べるよりも、肉類、野菜類のバランスで食べるメニューが多いんです。例えば、お好み焼きですと、粉50g、キャベツ150g、卵、お肉も適当に入る」として、「コナモン=炭水化物」は勘違いと指摘。「バランス栄養食としての理解を深めていただけるような啓蒙活動も進めたいと考えています」と意気込みを語っています。

コロナ禍でスーパーの売り場から消えた「粉類」

これまでも「たこパ」「おこパ」など家庭で作って楽しむことが多かった「粉もん」ですが、コロナ禍の巣ごもり需要で、昨年は売り場から粉類が消えたと報道されるほど人気を博しました。

「もちろん、ソースの需要もより高まっていますし、めんつゆ、ドレッシング、パスタソースなどのコナモンに使う調味料も、堅調な売れ行きとメーカー各社さんから聞いています」。

「江戸時代からコナモンは"楽しみの食"として、うどんを打ったり、おやきを作ったりしていました。小麦を使う料理は幅が広いだけに、家族で楽しむ人が多くいたようです」。皮から作る餃子やパン作りなど、手間がかかるメニューに挑戦してみるにはいい機会でしょう。

熊谷会長は、同協会が今後取り組んでいくテーマとして、「麺益力」という言葉を新たに生み出し掲げています。これは、「麺類やさまざまな”コナモン”をおいしく楽しく食べることによって、心身ともに元気に暮らすための食習慣スタイルのこと」であり、バランスのよい食生活を呼びかける目的があるのだといいます。

「生まれたばかりのこの言葉が、10年後には親しまれ、コナモンで元気な毎日を送ることを想起させる言葉になってくれればという願いを込めて普及活動をスタートしました。とくに今年は麺益力元年となりますので、「夏の麺益力、やきそばの達人」画像投稿を募集します。おうちやお店のやきそば画像をお待ちしています」。

毎年恒例となっている「コナモンの日」イベントは、今年はコロナ禍ということもありオンライン開催にするそうです。麺やパンなど、身近にあるのが当たり前となった「コナモン」に改めて注目してみてはいかがでしょうか。