朝ごはんの器で1日が変わる コロナ禍で“食”を見つめ直すきっかけに - 羽柴観子
※この記事は2021年05月07日にBLOGOSで公開されたものです
テレワークの普及が朝ごはんを食べるきっかけに?
人と食事は切っても切れない関係だ。
一日一食、半日ファスティング、糖質制限など、食事にまつわるダイエット法や健康法は数知れず、それぞれの是非が賛否に分かれて決着がつかないのはその関心の高さゆえだろう。
昨年から続く新型コロナウイルスの影響で、普段はコンビニや外食で済ませることの多かった人が食生活を見直し、自炊を始めたという声を度々耳にするようになった。
感染対策の一環としてテレワークを導入する企業も増加。東京都が2021年3月に発表した「テレワーク導入率調査結果」によると、都内企業のテレワーク導入率は59.0%で、2月後半の前回調査に比べて0.3ポイント上昇している。
テレワークの導入で通勤時間がなくなり、朝の時間に余裕ができれば、一日の食事のなかで抜きがちな“朝ごはん”を食べる時間も取ることができるようになるのではないだろうか。
農林水産省の調べでは、普段朝食を食べる人の割合が20~30歳代で低くなっており、朝食を食べるのに必要なことを聞いたところ、「朝、食欲があること」を挙げた人の割合が42.7%で最も高く、次に「朝早く起きられること」(40.3%)が高くなっているという。
朝ごはんを盛り付ける器たち
人と食事がそうであるように、食事を盛り付ける器もまた、食事と密接な関係にある。
九谷焼、益子焼、波佐見焼、備前焼など、日本各地には様々な焼き物の生産地があるが、そこでは美術品としての焼き物だけではなく、食事を盛り付けるための器もつくられている。
17世紀初頭に朝鮮人の陶工・李参平が日本で初めて磁器を焼いた場所とされる佐賀県・有田町。そこで生産されている「有田焼」は、町の住民らにとって日常的に使う機会の多い、身近なものだ。
食器は、いまや100円ショップにも売られていて、気軽にどこでも買うことができるが、そういった大量生産ではない“一点もの“の食器の良さもあるのではないだろうか。
筆者は佐賀県・有田町出身で、日常の食卓に有田焼があることは当たり前の環境で育ってきた。出身地を離れて10年以上経つが、今回改めて自分にとって身近な存在である有田焼を見つめ直すべく、地元の窯元・作家たちに協力してもらい、朝ごはんの風景をみせてもらった。
ありそうであまりみかけない正方形のプレート。
朝ごはんに取り入れたい野菜や卵を色鮮やかにみせてくれて、目にも嬉しい。
「何をつくるか」「何を食べようか」で朝ごはんの献立を考えるのも良い。
しかし、「こんな風に盛り付けてみようかな」で決めてみるのもひとつの気分転換に。
器に盛り付けるものは和食でも、洋食でも
朝ごはんにまつわるテーマで、必ずといっていいほど話題になるのは、朝ごはんに食べるものが「パン」か「ご飯」か。
器に施された絵柄の雰囲気などから、「これは和食にしか合わない」と思いこんでしまう人も少なくないが、いつも和食を盛り付けている人は、思い切って洋食の盛り付けにもチャレンジしてみてはどうだろうか。
いつもとは違う雰囲気で彩られた食卓が、一日のスタートを新鮮なものにしてくれるかもしれない。
SNS映えを狙う必要はないが、思わず写真に撮りたくなるような朝ごはん。
それをより一層引き立ててくれるのは、お気に入りの器だ。
朝ごはんの定番、トースト。晩ごはんの定番、ニラ玉。
和洋折衷な朝ごはんは、まさに日本ならではの風景。
納豆はパックのまま食卓に並べるのも良いが、たまには食器に盛り付けてみる。
自炊が上達したら料理のレパートリーも増えて、品数が増えるかもしれない。
これらは有田焼の作家たちによる、日常的な朝ごはんの風景。
コロナ禍をきっかけに食生活を見直したという人も、長引く自粛生活でそろそろマンネリに陥っている可能性がある。もしそうだとしたら、次は「何を食べるのか」、「どう盛り付けるのか」という視点で気分をリフレッシュしてみてはどうだろうか。