「お金は絶対に誰かが奪いに来る」グラドルと学ぶ“命より重い”お金の話 - BLOGOS編集部

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※この記事は2018年04月25日にBLOGOSで公開されたものです

初任給が口座に振り込まれて一安心。でも油断していると、せっかくもらった給与がいつの間にかなくなっているかもしれません。それどころか、つい買い物しすぎて借金も…なんてことにもなりかねません。

前回に引き続き、グラビアイドルの水沢柚乃さんが、「カイジ『命より重い!』お金の話」などの著書を持つ経済ジャーナリストの木暮太一さんに「お金の守り方」を聞きました。

「稼いでない人が『増やす』と言い始めたら超危ない」

木暮太一氏(以下、木暮):最初に、お金について考える時には、「順番」があるということを知っておいて欲しいですね。

まずは「稼ぐ」こと。どんなに不景気でも求人情報誌を見れば求人が載っています。芸人さんなどで、たまにいますよね。「スケジュールが急に入るからバイトが出来ない」なんていう人。ああいうのは、単なる甘えです。「夢を追いかけているからバイトが出来ません」なんていうのは理由になりません。

「稼ぐ」ことできたら、その次に「貯める」こと考える必要があります。稼ぐ以上に使ってしまうとお金は貯まりません。年収5000万円を越えているのに借金しているなんて人も実際にいるので、「貯める」ことも考えなければなりません。

その次に「増やす」、つまり投資などについて考える。「稼ぐ」「貯める」「増やす」という順番は重要で、稼いでない人がいきなり「増やす」と言い始めたら超危ないと思ってください。「ヤミ金ウシジマくん」の映画の中でも、ちょっと小銭が入ったら「パチンコで増やしてくるから返済を待って」みたいなことを言う人がいましたけど、「稼いでない、貯めていないのに増やそうとするな」という話なんですよね。

そして、最後に非常に重要な「守る」という話があります。お金は絶対に誰かが奪いに来る。奪いに来る人たちからお金を「守る」ことを考えておかなければいけない。そして、最初に奪いに来るのは自分だということも知っておくべきです。「自分は堅実家だから大丈夫だ」と思っていると足元を救われます。なので、あまり自分を過信し過ぎない方がいいですね。

水沢柚乃(以下、水沢):私は過信しているかもしれない…。やっぱり給料が良かった日なんかは、「良いものを食べて帰ろう」って思っちゃいます。

昔は近所のマクドナルドで満足していたのに食べることが大好きなので、最近は美味しいお寿司や焼肉に行っちゃったり…。

食事に限らず、いままではあまり物欲がなかったんですけど、周りに稼いでいる方が増えると、こっちの金銭感覚までおかしくなってしまうことがありますよね。よく事務所の先輩やたくさんお金を稼いでいるYouTuberの方とお話しするんですけど、タクシー移動が当たり前だったり、高いご飯食べてたり…。

木暮:環境に影響されることはありますね。僕も経営者の友人と食事に行くと1回で数万円払うということが普通に思えてしまいます。だから定期的に「ヤミ金ウシジマくん」を見るようにしていますね(笑)。

一度生活水準があがると、それが当たり前になってしまうんですよね。これは心理学的にも認められているので、「私だけが大丈夫」ということはありえない。

たまに、芸人さんが「東京に出てきたなら、高いマンションに住んだ方が成功する」なんていうじゃないですか。これは成功者バイアスというのですが、生き残った人だけが、その逸話を話せるというだけなんです。失敗して、「安いとこ住んでおけばよかったです」と語る人はいないですから。

水沢:失敗した人を目にする機会がないですもんね。

「自分だけは借金地獄にハマらない」はあてにならない

木暮:水沢さんは、クレジットカードはもっていますか?

水沢:無限に使っちゃいそうなので、限度額10万円にして、出来るだけ使わないようにしていますね。

木暮:何を買うんですか?

水沢:服を通販で買うことが多いですね。あとゲームが大好きなので課金してしまいます。カードを登録しておけば、ボタンを押すだけで払えるので、使いすぎないようにしないといけないですね。

木暮:同年代の人に比べると、おそらく収入は多いでしょうから、それだけ欲しいものがあったりするんじゃないですか?

水沢:私は元々、物欲がそこまでないので。どちらかというと貯金をしたいです。お仕事がいつまで続くのか分からないので、なるべく将来のために…。

木暮:確かに今の20代の人に「稼いだお金で何するの?」と聞くと「貯金」と答える人が多いですね。逆に言うと、今の20代は安全ということもできます。

逆にヤバいのは今40歳ぐらいの僕らの世代ですね。何も理解せずにカードを作ってリボ払いにしてしまう。月々の支払金額を減らして「まだ使える」といった錯覚を覚えて借金地獄にハマっていく…というケースがありますからね。

ただ、水沢さんが知っておくべきなのは、先程も言ったように「お金は守ってないと誰かに奪われる」ということです。日本は治安が良い国なので、銀行口座にいれておけば安全だと思いますよね。確かに銀行口座は安全ですが、そこから手を変え品を変え引き出そうとする人達がいる。リボ払いはその典型的な例ですね。

水沢:この前、よく分からないでクレジットカードをリボ払いにしちゃいました…。

木暮:「リボ払い」と「分割払い」は基本的に同じ位置づけなのですが、要は借金なんです。クレジットカード会社に支払を立て替えてもらって、後から返済をしていくという借金なんですよね。

リボ払いに慣れてしまうと、月々の支払い額はそれほど多くないので、「まだ買えるな」と錯覚してしまいます。自分がお金持ちになった気になって、そこから消費者ローン、昔でいうところのサラ金にハマる人が増えた時期もあったのです。消費者ローンに一度手をつけると、ドンドン泥沼にハマってしまいます。カードローンも含めて友達でお金を借りている人はいますか?

水沢:同年代の子がお金のトラブルに巻き込まれているのを見たことがあります。だから、自分も気をつけようと思っているんですけど、いざお金に困ったりしたらクレジットカードぐらいは使っちゃうだろうな…。

木暮:目的のあるお金の使い方であればいいのですが、「お金を使うこと」になれてしまうと危ないですね。でも、多くの人が「自分だけは借金地獄にハマらない」と信じています。交通事故と一緒で「自分だけ大丈夫」と思っていて、気がついたら抜けらない状態になってしまう。実際、日本信用情報機構の調べによると8人に一人が消費者ローンの利用経験者なんですよ。

しかし、クレジットカードを持つこと自体は悪いことではないですよね。今の時代、クレジットカードがなければ、ネット通販で買い物も出来ないですから。「代引き」にすると手数料もかかりますし、水沢さんみたいに、限度額を10万円に設定しておくといった工夫をしておくと良いですね。

もし友達に「お金を貸して」と頼まれたら…

水沢:でも借金って、あまり相談できないですよね。だから自分が、そういう状況に置かれたら冷静に判断が出来るのかなって。

木暮:借金に悩む人たちの相談相手で一番多いのは友達ですね。一方で、親や家族にはほとんどの人が言わない。

そういう人たちは、自分の友達に「お金を貸してくれないか」と頼んできます。そして、貸すと返ってこない。これが、さっき言った「お金を奪おうとする人」の一例です。もし水沢さんが、友達に「お金貸して」と言われたら、どうやって断りますか?

水沢:友人でもお金の話は相手にしないですね。お金って貸したら絶対に返ってこないものだと思っているので。友人の間でもお金関係のトラブルの話とか聞きますし、絶対に貸さないと決めています。

木暮:じゃあ例えば、好きな男性から言われたらどうしますか?あるいは、「夢を追いかけている男性」だったら…。

水沢:私だったら、「夢を追いかけている男性なら、自分でどうにかしろよ」って思っちゃいますね。でも、友達で好きな男性の家賃を払ってあげたりしている人もいるので、実際にそういう状況に置かれたら、払っちゃうかもしれないです…。

木暮:そういう男性も、ある意味、お金を奪いに来ている人です。女性でも「私の家賃を払ってください」みたいな人はいますから、男性も気をつけなければいけません。貢ぐつもりなら別ですが。もし友達がそういう状況に置かれたら、どんなアドバイスしますか?

水沢:実際に友達で、そういうことをしている子がいて、「もったいないからやめよう」って言うんですけど、やっぱり恋愛感情が絡んでいると、「好きだからムリ」っていう感じで返されちゃうんですよね。

木暮:そうした状況は、現実にありますから、今の20代ぐらいの世代には、その時にどう断るかというのが、大事なことかもしれませんね。

飲みに誘ってくる先輩も「お金を奪いに来る人」

水沢:でも、クレジットカードの会社はリボ払い薦めてきますし、そのデメリットを教えてもらうこともないですよね。

木暮:そういうことを教えない教育が一番良くないと思いますね。お金を奪いにくるのは、クレジットカード会社や消費者ローンだけではなくてキャバクラやホストも一緒です。知らない間にどっぷり使っちゃって借金するという構造は同じですから。

そもそもお金の話をあまり家庭でしないという風潮も良くないと思いますね。

水沢:確かに親から教わるのって「保証人になるな」「カードを使いすぎるな」ぐらいですね。

木暮:安易に保証人になることは絶対ダメですね。

ただ、親にもお金の知識がない、わからないから言わないというケースも多いんだと思います。日本には「貯めておけばいい」といった考えの人が多いですし、「お金を運用する」という発想をもった方は少ないですよね。

水沢:でも、ギャラが上がったらどうしても「家のグレードをあげよう」みたいに考えちゃいますよね。

木暮:それでも水沢さんは、すごく考えている方だと思いますよ。全然考えていない30代のサラリーマンも多いですから。

サラリーマンであれば、例えば、毎日顔を合わせるオラオラ系の先輩がいて、「飲みに行くぞ」みたいな話になった時に、逃げるフレーズは用意しておく必要があるでしょうね。全部おごってくれるならまだしも「じゃあお前ら5000円出せ」みたいな話になって、結局お金を「奪われて」しまいます。

水沢さんは、後輩から「お寿司おごってくださいよ」と言われたら、どうします?

水沢:おごっちゃうと思います。あんまり続くようだと、なるべく会わないようにしますね。

木暮:さっきも言った通り、今の若い世代の人たちの多くは、自分でお金を無駄遣いするという感じではないので、浪費よりもやっぱり「奪いに来る人からどう守っていくか」が重要ですね。

仲が良い人から「保証人になって」と相談された時にどう逃げるか。先輩から飲み会に誘われた時にどうするか。好きな子から「留学したいけど10万円足りないの」と言われた時にどうするか。

水沢:強く言われたら言い返せない子は結構いるかも…。

木暮:「金の切れ目が縁の切れ目」という言葉がありますが、お金には縁を切るだけの力がある。なので、お金で繋がったら、その縁はお金で切れるということは知っておかないといけないですよね。だからこそ、「縁を切りたくないからお金を貸さない」というのは立派な理由です。

それに先程も言いましたが、お金に困っている人は親に相談していないケースがほとんですから。

水沢:私も親には相談しないかもしれないですね。給料が少ない時も相談しなかったし…。心配をかけたくないっていう思いもあって。

木暮:そういう気持ちも理解はできます。でも、自分がお金を貸してと言われる側であれば、「親に心配かけたくないのはお前の都合だから、それに私を巻き込まないでください」といえるかどうかは、重要なテーマだと思います。

水沢:リボ払いも詳しくは知らなかったですし、教えてもらう環境もないですし、今日のお話を日々の生活にも活かそうと思います。

木暮:困ったことに、奪われる対象になる人はお金を持っているんですよ。世の中には、「稼ぐ」「貯める」といったことをテーマにしたお金の書籍は多いですが、「奪われないように守る」という視点の情報はそれほど多くありません。水沢さんも、これから稼ぐようになるでしょうから、いっそう気をつけて欲しいですね。

プロフィール

水沢柚乃:1998年2月20日生まれ 静岡県出身 趣味=ゲーム(全般)、ゲームセンター通い。○3rdDVD『好きよセンパイ 』(イーネット・フロンティア)が5月20日に発売予定。
Twitter: @mizuyuno_

木暮太一:作家、一般社団法人 教育コミュニケーション協会 代表理事。慶應義塾大学経済学部を卒業後、富士フイルム、サイバーエージェント、リクルートを経て独立。説明能力と、言語化能力に定評があり、大学時代に自作した経済学の解説本が学内で爆発的にヒット。現在も経済学部の必読書としてロングセラーに。相手の目線に立った伝え方が、「実務経験者ならでは」と各方面から高評を博し、現在では、企業・団体向けに「説明力養成講座」を実施している。

フジテレビ「とくダネ!」元レギュラーコメンテーター、NHK「ニッポンのジレンマ」などメディア出演多数。『カイジ「命より重い! 」お金の話』『働き方の損益分岐点』『どうすれば、売れるのか?―――世界一かんたんな「売れるコンセプト」の見つけ方』など著書多数、累計167万部。

木暮太一オフィシャルサイト:http://koguretaichi.com/