東ハトの人気商品「オールレーズン」がリニューアル。50周年にどこが変わった?
キャラメルコーンやポテコなど、子どもから大人まで楽しめるお菓子を販売する「東ハト」。その商品ラインアップは幅広く、「推しの逸品」があるという方も多いのでは? 期間限定の味なども定期的に出ているので1年通して楽しめますよね。
なぜ「オールレーズン」は愛される?おいしさの秘密と理由
今回は、数々あるお菓子の中でも50周年を迎えた「オールレーズン」について、東ハト 商品開発部 春成裕介さんに、歴史やこだわりポイント、そして長く愛され続ける理由についてお話を伺いました。
●オールレーズンの“オール”ってなに?
東ハトの「オールレーズン」は1972年に誕生。同じくロングセラー商品の「キャラメルコーン」は、1971年に誕生したので、オールレーズンより1年先輩です。
「その頃ビスケットは日本と欧米で技術の差があり、創業者もそれを強く感じていたそうです。そこで、欧米から技術者の方を呼んで技術交流など行い、イギリスの伝統的なお菓子『ガルバルジー』にヒントを得て開発することになりました」
とはいえ、ガルバルジーは生地がパリパリしていて、オールレーズンの特長でもある「しっとりした食感」とは少し異なります。そこで、日本人向けの食感に変え、栄養価の高いレーズンをたっぷり使い素材感を楽しんでもらえるお菓子にしたそうです。
こうして誕生した製品は、クッキーの間をレーズンでしきつめて、どこから食べてもレーズンの味がするという意味で、「オールレーズン」と命名し、発売されました。
●リニューアルを繰り返しながらたどり着いた答え
発売当時のパッケージは、高級感を出すために黒を基調とし、中身(生地)が見える透明の窓、白い「ALL RAISIN」のロゴが大きく書かれたものでした。さらに、レーズンがたっぷり使われているというのを表現するため、ワンパックの形で販売。
そこからリニューアルを何回か重ね、現在のような個包装になったのは2016年。年々、共働きや核家族世帯が増え、食べたいときに食べられる個包装商品の需要が増加。
「オールレーズンにも、お客さまから『個包装にして欲しい!』という声が多数ありました。そこで、2枚1個包装に変更。黒を基調としたパッケージに、金色のロゴとレーズン感をしっかりだして、シンプルだけど高級感があるデザインにしました」
そして今年・2022年、さらにリニューアル! 今までの高級感ある“黒”を基調としたパッケージは変わらず、素材のみずみずしい感じを魅力的に表現。さらに、ロゴも原点回帰して白にしたのだとか。
●ロングセラー商品だからこその大変さ
ブドウが大きく描かれた2022年版の新しいパッケージからは、素材のよさやこだわりが伝わってきます。また、オールレーズンの中身も大きく変更しました。
「どうしたら最大の強みである“レーズン”の素材感を楽しんでいただき、より独特のしっとりした食感を出せるのか追求した結果、原料や小麦の配合比率などの製法を一から見直し。何度も試作を重ねた結果、くちどけのよい、よりしっとりした食感の商品になりました」
リニューアル前も、ぜいたく使いしたレーズンの風味としっとしりした食感が楽しめましたが、さらに高みを目指して挑戦したことはすごいこと。それ故に、このリニューアルには大きなプレッシャーもあったと春成さんは教えてくれました。
「やはりロングセラー商品なので、ガラッと変えると、今まで買ってくださったから『これじゃない』と思われる可能性もありますし、難しかったですよね…。だから、強みも含めて、しっかりと素材感を感じさせる商品を目指しました。
そのためには、『お客さまにとって、オールレーズンってどんな存在なんだろうか?』ということをもう一度定義することから始め、それをしっかりと踏まえて、価値や強みを味やパッケージで伝えられる形に落ち着きました」
苦労して完成したオールレーズンの50周年キャッチコピーは「All for small happiness 小さな出来事 小さな思い出」です。
「昔流れていたCMの歌詞でもありますが、オールレーズンは日常で小さな幸せを感じる場面に寄り添って50周年を迎えました。そこを大事にし、これからも素材を生かした味わいと独自の製法で、もっと多くの方に小さな幸せを感じるひとときをお届けしたいです」
●愛され続ける理由とは?
50年というと、当時小学1年生だったお子さんも60近い年齢となり、一緒に大人になった感じがします。実際にオールレーズンの購入者層として、発売当初の50〜60代のファンも多く、その食べ方もさまざま。
「お酒と一緒に食べる方や、自分の子どもや孫にオールレーズンを買ってくださる方もいらっしゃいます。あとは少しアレンジを加えて食べられる方も多く、巣ごもり需要もあってSNSやHP上で、アレンジレシピなども紹介してます」
そのまま食べてもおいしいですが、少し温めたりすると食感が変化したり、ほかの食材をのせて食べるなど、推しのアレンジを見つけるのもおすすめです。
「常々、『製品のファンをつくっていこう』と考えて、買ってくださる方の声をとても大切にしています。品質やおいしさといった、しっかりとしたベースがありながら、最近はSNSだったり、お客さまとのタッチポイントを増やしていくのを大事にしてますね」
●50年を迎えたその先に目指すこと
こうして時代や購入者の声にしっかりと耳を傾けることが、オールレーズンが50年愛され続けている理由かもしれません。最後に春成さんにこれからの目標をお伺いしました。
「50周年のお祭りの要素もありつつ、オールレーズンのファンの方へ感謝の意味も込めた製品が出せたらな…と思ってます。そして、自分も今までの先輩たちの想いを引き継いで、それを未来に紡いでいけたらいいですよね」
自分が食べていたものが、子どもや孫も一緒に楽しむことができたらすてきですよね。常に時代と購入者に寄り添ってきたからこそ、長く愛され続けてきたオールレーズン。ぜひこのまま60年、いや100年と続けていって欲しいです!