パートナーがいてセックスレスに悩んでいる人はじつに6割以上といわれています。今回お話を伺った菜々子さん(仮名・32歳)もその一人。夫に子どもをもつことを拒否され、義母には不妊を非難されるという日々から逃避するため、夫以外の男性と逢瀬を重ねる菜々子さん。そして、「気がつけば相手に本気で恋してしまいました」。セックスレスに悩む読者を取材した実話シリーズです。

離婚するなら今しかない…。セックスレスの妻が選んだ新しい道

家庭の外に癒やしを求めて男性と会うようになってからは、夫にも義母にも、心に余裕をもって接することができるようになりました。しかし30代になってから、そんなことを続ける自分自身に虚しさを感じるように。

私よりもあとに結婚した友人たちから妊娠や出産の連絡が相次いだことがきっかけだったと思います。お祝いを送ると、丁寧な御礼とともに赤ちゃんの写真が送られてきました。

●女の30代は人生の分かれ道!?後悔しない生き方をしたい

私もニトリに行って、ベビーベッドを買うような人生を送りたかったと、ふと思ったのです。子どもを産まない人生をこのまま歩いていいのだろうかと真剣に悩むようになりました。

私はキャリアウーマンになりたかったわけでもなければ、DINKs(共働きで子どもを意識的にもたないライフスタイル。“Double Income No Kids”)を自分で選んだわけでもない。引き返すなら、今がラストチャンスかも…。そう考え始めていたある日、運命の出会いが訪れたのです。

●夫との離婚を決意。ついに出会ってしまった運命の人

マッチングアプリで出会った男性と繰り返し会うようになって1年が経過していました。会うときはいつも彼の家。会社を経営するひと回り年上の彼の住まいは、まるで高級ホテルのようなグレードの部屋で、窓からは東京タワーが見えました。

人の何倍も仕事をこなしているのに時間の使い方がうまく、効率もよくて、仕事とプライベートのメリハリがしっかりしているところが魅力的でした。激務でセックスレスになった夫とは真逆のタイプです。

いろんな業界の著名な人たちとのコネクションがあったり、マリンスポーツや乗馬など、私が今まで経験しなかった趣味の世界をたくさん見せてくれる彼にどんどん魅かれていきました。

●浮気相手に子どもがほしいと言われて…

決め手になったのは、彼の結婚観。「子どもは何人いてもいい。妻になる女性は、子どもをしっかり育ててくれる君のような賢い人がいい。僕は40代だからそろそろ身を固めないと…」そんな話を聞いて、私は夫との離婚を考えるようになっていきました。

ある日、些細なことで夫と大喧嘩。そのとき、ついに「あなたより本気で一緒にいたいと思える人ができてしまった」と白状しました。修羅場になるかと思ったのですが、夫はあまりに突然のことすぎて、あっけにとられている様子でした。話し合いをするつもりもなかったので、一方的に別れを告げて、家を飛び出したのです。

●すてきな人の隣には、やっぱりすてきな女性がいた…

家を出たその足で彼のもとへ向かい、夫に離婚をきり出したことを告げました。すると、まさかのドン引きを食らってしまいました。
彼から見た私のポジションは、絶対に浮気の証拠を残さない、結婚したいとか言い出さない、都合のいい彼女。自分とアプリで出会ったように、彼にもそういう人が何人かいるのかなと思ったりしていたのですが、彼には遊びではなく、本命の彼女がいました。

しかも、これはだいぶ後に分かった話ですが、相手は外資系の銀行に勤める私より年上のとてもきれいな女性。年齢だったり、雰囲気だったり、少しでも私と似ているタイプの女性だったら可能性を感じたかもしれないけれど、ぜんぜん真逆な人だったのがすごくショックでした。彼にとっての私は、完全なる遊びだったのです。

●すべての原因はセックスレス。新しい生活に後悔はないけれど…

本当だったら結婚生活10周年を迎えるはずだった今年、夫との離婚が成立しました。一人になってみて初めて、なんだかんだ夫に守られていたんだなと感じることもあります。

小さなアパートでの初めての一人暮らしは経済的にも精神的にも、とても不安定。マッチングアプリはもう遊びの人しかいないことがよくわかったので、退会しました。すぐに婚活を開始したいけれど、コロナ禍ですし、なかなかうまくいきません。
でもいつか子どもがいる人生を一緒に歩んでくれる人と出会えると信じて、前を向いて生きていきたいと思います。

 

セックスレスがきっかけとなって離婚に至った菜々子さん。子どもをもつ人生をあきらめないと前向きに語ってくれました。セックスレスの実話シリーズは不定期で連載中です。次回もぜひご覧になってくださいね。