山本由伸のダイブが「野手に火をつけた」 自身16連勝…指揮官明かす“負けない理由”
中嶋監督は心配も「危険なので、あまりやってほしくはないが…」
■オリックス 6ー0 西武(25日・ベルーナドーム)
オリックスの山本由伸投手は25日、敵地ベルーナドームで行われた西武との今季開幕戦に先発し、8回3安打9奪三振無失点。不名誉なパ・リーグ記録となっていたチームの開幕戦連敗を「10」で止めた。自身は昨季公式戦を5月28日以降無傷の15連勝で終え、今季も会心のスタート。なぜこれほどまでに負けないのだろうか。
周囲を一瞬ヒヤリとさせたシーンがあった。4回まで無安打1四球に抑えていた山本は、両軍無得点で迎えた5回、先頭の中村に投手強襲安打を許した。送りバントを狙った外崎に、真ん中高めの153キロ速球で小フライを打たせると、自ら猛然と前進しダイビングキャッチ。一塁走者・中村に進塁を許さなかった。山本は「高めの真っすぐのサインだったので、絶対(打球が)浮くだろうと思い、準備はできていました。(フライが)上がった瞬間に捕れそうだったので、ヘッドスライディングしちゃいました」としてやったり。さらに続く栗山を、外角低めへの148キロのフォークで遊ゴロ併殺に仕留めた。
投手のダイビングキャッチと言えば、1995年に巨人・桑田真澄投手(現巨人投手チーフコーチ)が右肘を強打、トミー・ジョン手術へつながり、約1年半を棒に振った“悲劇”が思い浮かぶ。
中嶋聡監督は「危険なので、あまりやってほしくはないが……」とした上で、「あのプレーがあって、ダブルプレーで帰ってきたので、流れが来ると思った。あの回で野手にも火がついたと思う」と言う。実際に味方打線は続く6回、宗の先制右翼線二塁打と吉田正の右前適時打で2点を先行。宗は山本のダイビングキャッチを「スーパープレー」と表現し、「由伸も初戦をなんとか勝とうと頑張っていたので」と語った。山本の男気あふれる姿勢がチームを鼓舞したのだ。
非凡な修正能力も改めて示した。2回には4番・山川、5番・中村、6番・外崎と3者連続空振り三振に切って取ったが、決め球は全て120キロ台のカーブだ。実は開幕前に課題としていたのが、このカーブのキレだった。2週間前の巨人とのオープン戦でバッテリーを組んだ伏見からも、1週間前の阪神とのオープン戦で組んだ若月からも、異口同音に注意されたという。「寅威さん(伏見)と組んだ試合は微妙なぬるさがあり、阪神戦は一番ダメでしたが、今週はすごくいいバランスのフォームで練習ができていたので、自信を持ってマウンドに上がりました」と明かした。
昨季は自身初の開幕投手を務めたが、同じ球場で、同じ西武の高橋と投げ合い、3-4のスコアで惜敗した。「(開幕戦勝利は)去年できなかったことなので、勝てたことは成長であり、収穫です」とうなずいた。昨季は序盤に3勝5敗とややもたついた後、破竹の15連勝でトータル18勝を挙げ、自身初の最多勝にも輝いた。白星スタートの今季は、どこまで勝利数を伸ばすのだろうか。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)