大物冬野菜の使い切りもラクラク!「まるごと鍋」で余った食材&調味料を大掃除

食材を使いきれない…そんなときこそまるごと鍋!

白菜や大根など大型の冬野菜。まるごと1個や1/2個で購入したはいいものの、使いきれずに余らせてしまうこともしばしば。年末の忙しさに翻弄され、冷蔵庫の奥に使いきれなかった野菜が眠っているのを忘れていた……なんて経験はありませんか?

使いきれない野菜や、余らせがちな料理酒をおいしく大量消費できる「まるごと鍋」が、年末年始のお困りごとを解決してくれる料理だと耳にしました!

まるごと鍋に詳しい料理家の青木敦子さんによると、特に12月や1月に大活躍する料理なのだとか。その理由と、大根、白菜、長ねぎの3つの食材をおいしく大量消費できるレシピを教えていただきました。

まるごと鍋にはこんなにたくさんのメリットが

イベントごとや移動が多い年末年始は、冷蔵庫の食材管理も大変です。急に冷え込んだり、年末の忙しさで寝不足になりがちだったりと、体調を崩しやすい季節でもあります。そんな時期こそ、旬の冬野菜をたっぷり食べられるまるごと鍋がぴったりだそう。

「まるごと鍋は、使いきるのがむずかしい野菜を一気に消費できて、冷蔵庫の大掃除にもってこいのレシピです。材料をざっくり切って煮込むだけなので時短にもなり、忙しい年末の食卓で活躍します。

捨ててしまうことの多い野菜の皮や葉も食べられて、食材の栄養を余すところなくいただけますよ!」

また、稲毛病院整形外科・リハビリテーション科 健康支援科部長の佐藤務医師によると、冷え性の人や、免疫力を高めたいときにも役立つ料理なのだとか。

「まるごと鍋の特徴は、体を温める効果のある酒をたっぷり使っていること。酒には、血管を拡張し、体温の上昇に役立つ『アデノシン』という成分が豊富で、食事誘発性熱産生(※)に関わる栄養素も含まれています。

また、免疫機能と関わりの深いビタミンA・C・Eが豊富な野菜をアレンジしておいしく食べられるのもポイントです。風邪が流行する季節にぜひ取り入れてみてください」
※食事によって消費されるエネルギー

これだけ守ればOK!まるごと鍋の2つのルール

まるごと鍋を上手に作るためには、2つのルールがあります。このルールを覚えておけば、これからご紹介する白菜・大根・長ねぎの大量消費レシピのアレンジはもちろん、季節の食材や冷蔵庫の残りものを使って好みのまるごと鍋を一から自作できますよ!

1. 加塩料理酒と水を1:1

「鍋つゆには、加塩料理酒と水を1:1の割合で使います。うまみの強い料理酒をたっぷり使うことで、ほかの調味料の量が減って塩分を調節でき、翌日でもおいしく食べられる鍋に仕上がります。大きなボトルで買って使い道に困ることも多い料理酒を、一気に消費したいときにもぴったりです」

2. 動物性たんぱく質と植物性たんぱく質を1:1

「動物性1:植物性1が、たんぱく質を摂取するときの理想的な割合とされています。まるごと鍋では、肉や魚などの動物性たんぱく質と、大豆製品などの植物性たんぱく質のどちらもバランスよく取り入れましょう」

大根を大量消費!大根たっぷりアーモンドミルク鍋

「大根には水分が多く、一度にたくさん食べるのは大変です。ピーラーで薄くスライスして麺状にすることで、つるつると食べやすくしました。薄切りにすると火の通りが早くなり、時短にもなります。

コクのあるアーモンドミルクの鍋で、大根の皮も葉もまるごとおいしくいただけます。包丁をほとんど使わずに下準備できるので、忙しい日にもおすすめですよ」

材料(2人分)

・大根(葉も含む)……300g(約1/3本)
・えのきだけ……100g
・コーン……100g
・大豆水煮……60g
・むきえび……8尾
・小ねぎ……3本
a. 酒……300cc
a. アーモンドミルク……300cc
a. 昆布茶……小さじ2杯

「昆布茶を少し入れてうまみをプラスします。大根は、上部、中部、下部のどの部分を使ってもおいしく作れますよ」

作り方

1. 大根を皮ごとピーラーまたはスライサーで薄くスライスする。葉の部分は食べやすい大きさに切っておく

2. 万能ねぎを小口切りにする

3. 鍋に万能ねぎ以外の具材と(a)を入れて火にかける

4. 大根がやわらかくなったら鍋を火からおろし、万能ねぎを散らす

まるまる1本買うと半端に余らせてしまうことも多い大根。ピーラーでスライスするだけで、ほかの食材や調味料のうまみがたっぷり絡む大根麺に早変わりしました。

麺感覚で食べられるので、シメなしでも満足できるのがうれしいポイントです。

白菜を大量消費!みそ味の白菜鍋

「みそと酒をベースに、みりんとオイスターソースでうまみを足した白菜の鍋です。白菜の鍋には、火の通りにくい茎を先に煮込み、あとから葉を入れる作り方もありますが、このレシピではざっくり切った白菜をまるごと入れています。

葉と茎を同時に煮込むので、シャキシャキ感とやわらかさ、2種類の食感を楽しめるのが特徴。量が多くても食べ飽きないんです」

材料(2人分)

・白菜……500g(約1/6個)
・ニラ……50g
・パプリカ(赤・黄)……各1/2個
・豚ロース肉(薄切り)……150g
・木綿豆腐……150g
・しいたけ……2枚
a. 酒……300cc
a. 水……300cc
a. みそ……大さじ2杯
a. みりん……50cc
a. オイスターソース……小さじ2杯

作り方

1. 白菜を横向きに置き、ざっくり2~3等分に切る。パプリカは1cm幅のせん切りにし、ニラは6~7cmの長さに、木綿豆腐はひと口大に切っておく

2. 鍋に(a)を入れて混ぜ合わせる

3. 鍋に具材を入れて火にかける。豚肉に火が入り、白菜がやわらかくなったら、鍋を火からおろす

白菜の2種類の食感が楽しい、コクのあるみそ鍋に仕上がりました。

洋風の料理に合うイメージの強いパプリカは、実はみそとの相性が抜群。鍋に入れるととろっとした食感になり、甘みが際立ちます。

ニラはしなしなになりやすいので、お好みであとから入れてもいいでしょう。

長ねぎを大量消費!レモン風味のねぎ鍋

「煮込むと甘みがアップする長ねぎは、レモンが効いた爽やかな酸味のあるスープとよく合いますよ。

青い部分も含めて長ねぎをまるごと1本使えます。余った長ねぎの使い道に困ったときに、ぜひ試してみてくださいね」

材料(2人分)

・鶏むね肉……200g
・塩麹(鶏むね肉の味付け用)……大さじ1杯
・水菜……100g
・長ねぎ……1本
・しめじ……100g
・厚揚げ……1枚
・ミニトマト……7~8個
a. 酒……300cc
a. 水……300cc
a. 塩麹……大さじ2杯
a. レモン汁……大さじ3杯
a. はちみつ……小さじ1杯

作り方

1. 鶏むね肉を薄くそぎ切りにし、大さじ1杯の塩麹をまぶしておく

2. 厚揚げは8等分に切り、長ねぎは少し太めの斜め切りまたはざく切りで大き目にカットする。水菜は6~7cmにざっくり切る

3. 鍋に(a)を入れて混ぜ合わせる

4. ミニトマト以外の具材を鍋に入れてふたをし、火にかける

5. 長ねぎがやわらかくなり、鶏肉に火が入ったら、ミニトマトを加えて火からおろす

レモン汁の酸味、はちみつの甘み、塩麹のうまみのハーモニーで、長ねぎを飽きずに食べ続けられます。

鍋に入れると硬くなりやすい鶏むね肉は、塩麹をもみこんでおくことでやわらかく仕上がりますよ。

アレンジ無限大のまるごと鍋で、年末年始の食品ロスをおいしく減らそう!

年末年始の帰省や買い出しの前など、冷蔵庫の食材を一気に使いきりたいときにぴったりなまるごと鍋。作り方も簡単で、料理をする時間がとれないときに大活躍しそうです。

大根、白菜、長ねぎだけでなく、ごぼうやキャベツなどほかの野菜でもおいしく作れそうなので、好みの具材でアレンジして楽しんでみたいと思います♪

文・取材/小原らいむ
撮影/植松 富志男(macaroni編集部)