雪国の「矢羽根」「スノーポール」はドライバーの道標
11月もそろそろ中旬。北国では車をスノータイヤに履きかえるなど、冬の準備が始まっています。でも、雪が多い地方では、朝起きたら一面真っ白、いきなり冬景色になる、という日も少なくありません。まだ除雪車が入っていない、まっさらな道路を通らなければならないときや、吹雪でホワイトアウト状態のときなどは、車道と歩道の境目がわからない…ということも。そんなとき、ドライバーは何を目印にして運転すればいいのでしょう。
吹雪のときも、「矢羽根」が道路のフチを指し示す
道路のフチに並ぶスノーポールは、吹雪時の運転の目印にもなる
雪が多く降る地方には、雪国ならではの道路の設備があります。その一つがスノーポールです。スノーポールは赤と白の縞模様が一般的で、長さは1m台のものから3mを超すものまであり、その地域の積雪量に準じて設置されます。ポールの頭部に反射体や発光体がついているものもあります。これらスノーポールが道路のフチに沿ってずらりと並んでいる風景は、雪国に住む人であれば、よく見かけると思います。
もともとは秋の終わりになると、除雪作業の目印として車道のフチに沿って設置されますが、一般ドライバーが除雪前の道路を通らなければならないときや、吹雪で視界が悪いときなどにも大切な道しるべとなります。赤白シマシマの細い棒ですが、ドライバーはスノーポールのおかげで、歩道に乗り上げることなく運転することができるのです。
道路のフチに沿ってスノーポールがずらりと並ぶ
除雪の時こそスノーポールが大活躍
雪国では、夜中にどか雪が降り、朝になると何十cmもの雪がいきなり積もっている、ということがあります。そんなとき、大きな道路では早朝から除雪車が入り、朝のラッシュの前に除雪をしてくれます。
でも、あたり一面、雪がどっさり積もった道路では、車道と歩道の境目がわからず、車道の端っこがまったく見えません。どこからどこまでが車道なのか…。そんなときでも除雪車は除雪をしなければなりません。
そこで目印になるのがスノーポールです。道路のフチに沿ってスノーポールが並んでいる道路では、それを目印にすれば、除雪車はスムーズに除雪を行うことができます。
もし、スノーポールがなかったら、除雪の際に歩道に乗り上げてしまったり、道路脇に落ちてしまったり、縁石を破壊したりしかねません。スノーポールは除雪をする人たちの大切な道しるべとなっているのです。
こんなに雪が積もったら、スノーポールを目印にしないと除雪は難しい
頭上には矢羽根。郊外に多い。光るタイプも増えている
春になると撤去されるスノーポールと違って、1年中設置されているのが、固定式視線誘導柱、通称、矢羽根です。スノーポールと同様に、赤と白のシマシマが一般的です。繁華街や住宅街よりも、郊外に設置されていることが多いので、目にしたことがない人もいるかもしれません。
矢羽根は頭上の高い位置にあり、下向きの矢印の先に、道路のフチや縁石が存在します。スノーポールと同じく除雪のときの目印になるものですが、積雪が多くて道路のフチがわからないときや、吹雪でホワイトアウト状態のときには、一般のドライバーにとっても大切な目印となります。
最近は光る矢羽根も増えています。吹雪のときや夜間など、矢羽根そのものが見えにくいような状況でも、自ら光ってくれる矢羽根はドライバーにとって心強い道しるべとなります。
道路のフチを指し示す矢羽根が、一直線にずらり
参考
国立研究開発法人土木研究所 寒地土木研究所:北の道リサーチ「道路吹雪対策マニュアル」
寒地土木研究所月報, No.653, 2007年10月, pp.31-36:解説:吹雪視程障害を考慮した視線誘導施設について
1年を通して設置されている矢羽根と違って、スノーポールは秋の終わりごろから設置がはじまり、雪が解けたら取り外されます。北海道ではそろそろ秋が終わり、冬の準備が始まっています。スノーポールの設置は、いわば雪国の晩秋の風物詩。今年はいつごろスノーポールが設置されるのでしょうね。
矢羽根が指し示すにところに沿って除雪されている。吹雪の時は矢羽根が運転の道しるべ
こんな色の矢羽根もあります