大量の湯気が立ち上る事故現場となった源泉(画像は『New York Post 2021年10月6日付「Woman severely burned at Yellowstone while trying to rescue her dog」(VW Pics/Universal Images Group v)』のスクリーンショット)

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今月4日、米イエローストーン国立公園にて女性が全身の9割に大やけどを負う事故が発生した。女性は90度を超える源泉に落ちた愛犬を助けるため、自ら飛び込んだという。現在も意識不明の重体で治療を受けているが、快方に向かっているそうだ。『East Idaho News』などが伝えている。

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現在病院で治療中のレイハ・スレイトンさん(Laiha Slayton、20)は、歯科助手の仕事が決まってワシントン州からオハイオ州に引っ越すべく移動中だった。

その道中にイエローストーン国立公園があり、レイハさんや一緒にいた父親ウッドロー・スレイトンさん(Woodrow Slayton、48)もこれまでに訪れたことがなかったことから立ち寄ることを決めたという。

到着したレイハさんは、愛犬でシーズーの“ラスティ(Rusty)”と“チェヴィー(Chevy)”を車から降ろすためリードを掴むと、2匹はレイハさんの足元めがけて勢いよく飛び降りた。だがその時、悲劇は起きた。

近くの小川にはそばにある間欠泉から熱湯が流れ込んでおり、それがレイハさんたちの足元に漏れていた。ラスティがその熱湯を踏んで、熱さに驚いてパニック状態となってしまった。そして混乱して走り回ったラスティは、近くの「Maiden’s Grave Spring」という源泉の湧く場所に落ちてしまったのだ。

そんなラスティの姿を見たレイハさんは、救出するため迷わず源泉に飛び込んだ。米国国立公園局によると、この源泉からは華氏200度(摂氏93.3度)に達する熱湯が湧き出ているという。

この温度であれば大量の湯気が立ち上り、見た目にもその熱さは容易に想像できるはずだ。それでもレイハさんは、目の前で苦しむ愛犬を放っておくことができず飛び込んでしまったのだ。

源泉に飛び込むレイハさんの姿にウッドローさんは慌てて駆け寄り、レイハさんを源泉から引き上げた。その際ウッドローさんは足に熱湯がかかり火傷を負ったが、レイハさんは全身に熱湯を浴びてしまっていた。

レイハさんはすぐにヘリコプターでアイダホ州にある病院「Eastern Idaho Regional Medical Center」に運ばれて治療を受けた。レイハさんは全身の90%に火傷を負い、現在も意識不明の状態が続いている。

治療費を集めるため、姉妹のカミラ・スレイトンさん(Kamilla Slayton)はクラウドファンディングサイト『GoFundMe』で専用ページを立ち上げた。

同ページには「父が素早くレイハを引き上げてくれたおかげで、思っていたよりも火傷の状態は良くなってきています」と綴られており、最も深刻なIII度の火傷よりもII度の火傷のほうが多いという。それでも意識の回復までに、2〜3週間はかかるとみられている。

なおラスティもすぐに動物病院に運ばれたが、治療の甲斐なく息を引き取ってしまったという。

カミラさんは自身のInstagramなどでも今回の事故について投稿しており、コメント欄では「こんな事態は気をつけていれば起こらなかったはず」と厳しい声も届いた。カミラさんはこれに同意しつつも「完璧な人はいないし、事故は起こるのです」と明かす。

続けて「今回はたまたま悲劇的な結果になってしまったんです。レイハはいつも自分のことは顧みず、他人を優先していました。お節介が大好きで、それがレイハの愛を示す行動だったのです。レイハは強い子で、これまでたくさんのことを乗り越えてきました」とレイハさんについて語っており、一日も早い回復を祈っている。

画像は『New York Post 2021年10月6日付「Woman severely burned at Yellowstone while trying to rescue her dog」(VW Pics/Universal Images Group v)』『Kami Slayton 2021年10月11日付Instagram「Laiha is doing better day by day!」、2021年10月14日付Instagram「Hey guys!」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 iruy)