移籍の鍵を握るのは数々のメジャーリーガーの代理人を務めてきたネズ・バレロ氏(写真・アフロ)

 もはや、この男に「限界」という文字は存在しないのかもしれない。日本時間8月19日、タイガース戦に投打の二刀流で出場した大谷翔平(27)は、渡米後の最長となる8回を投げ、6安打1失点で8勝めを飾った。打っても、8回表には試合を決定づける豪快な一発を放ち、日本人初となる40号を記録した。

「後半戦では、6試合連続でクオリティスタート(6回以上を自責点3以下)を達成するなど、投手としても安定感が増しています。8月は、投打で月間MVPを獲れるかもしれません。まさに、前代未聞です」(スポーツ紙記者)

 だが、大谷の異次元の活躍を手放しで喜んではいられないのが、エンゼルス首脳陣だ。ロス在住の記者が解説する。

「問題となるのが、2023年以降の彼の年俸です。現在大谷は、ルーキー外国人選手を対象とするMLBの規定に従って、2年で総額約9億3000万円という格安の契約を結んでいます。

 しかし、2022年オフには制限なしの年俸調停権を再取得するし、2023年にはFA権を獲得します。エンゼルスが大谷を引き留めるためには、2022年オフに再契約をする必要があるんです」

 大谷は、球団にとって必要不可欠な看板選手。すでに水面下で、腹の探り合いが始まっているという。

「大谷の代理人、ネズ・バレロと下交渉を始めたようです。しかし米スポーツ専門局のESPNは、大谷の年俸を『5年総額約274億円』と見積もっています。エンゼルスはすでにマイク・トラウトやアンソニー・レンドンと大型契約をしており、大谷と契約を結ぶとなると、この3選手の年俸だけで毎年130億円以上支払う必要が出てきます」(同前)

 そこでエンゼルスは、大谷のために “節約” を始めているという。

「年俸約33億円のアルバート・プホルスをドジャースに、左腕エースで年俸約7億円のアンドルー・ヒーニーをヤンキースに出して経費削減をおこないました。年俸約25億円のジャスティン・アップトンも放出を検討中です。それだけ大谷が必要なんだと、誠意を見せているわけです」(同前)

 しかし、他球団も黙ってはいない。大谷争奪戦に確実に参戦するのは、ずばり “金満球団” のヤンキースだ。ニューヨーク在住の記者が語る。

「大谷がメジャー挑戦を表明した際、ヤンキースは二刀流に懐疑的で、獲得に積極的でありませんでした。ヤ軍のファンも同意見で、獲れなくても惜しむ声は出てこなかった。ところが今では『なぜあのとき獲らなかった! 今度FAになったら絶対獲れ』という意見が圧倒的です。

 それはヤ軍首脳も同じで、『ベーブ・ルースと同じように、歴史を変える選手は名門ヤンキースにいるべきだ』と考えているんです。エンゼルスでは太刀打ちできない札束攻勢を仕掛けてくるのは間違いないです」

 だが、前出のロス在住の記者は「それでも大谷はエンゼルスに残る」と予想する。

「そもそも大谷にはチームを選ぶうえで複数の条件がありました。それは『二刀流を認めてくれること』『本拠地は気候が安定している西海岸』『野球に集中するため、大都会ではない中規模都市』そして、『チームに早く溶け込むために、日本人選手がいないこと』。この条件を満たしていたのがエンゼルスであり、逆にヤ軍はほぼ当てはまりません。

 そして最大の理由は、エンゼルス愛ですよ。大谷は、なぜメジャーで野球をするのか。彼は常に大好きな野球をいかに楽しくやるかだけを考えています。お金もチームブランドも二の次です。

 エンゼルスではソーシアとマドンという偉大な監督のもとで、自分のやりたいようにやらせてもらっている。チームメイトも大谷を受け入れ、サポートしてくれています。大谷にとって、エンゼルスはファミリー。私はヤ軍の札束攻勢より、チーム愛を選ぶと思います」

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(週刊FLASH 2021年9月7日号)