「『東京五輪変異株』と言われても良いのか?」医師の労組が五輪中止求める
無観客での開催であっても、選手や報道関係者らの往来により、変異株ウイルスを拡散し、新たな変異株を生み出す恐れがあるとして、勤務医らでつくる「全国医師ユニオン(組合員約130人)」が東京オリンピック・パラリンピックの開催中止を求めている。
同ユニオンは5月13日、内閣府や厚労省に要請書を送付。記者会見を開いた団体の代表で、医師の植山直人氏は、「世界から『東京五輪型(変異株)』と言われかねない」「ワクチンすら接種していないのに、『おもてなし』なんてできるはずがない」と訴えた。
また、医療従事者の長時間労働についても言及。医師不足が長年叫ばれているのに、増員の見通しはないとしたうえで、東京五輪のために医療従事者のボランティアが求められていることは矛盾だと指摘した。
今回、ユニオンが要請を行ったのは、「『がんの告知』も我々の仕事。どんなにつらくても、誰かが事実を正確に伝えなくてはならない。医療従事者から声を上げることが大事なのではないか」という思いからだったという。
植山氏は、「開催の決定権は、基本的にIOC(国際オリンピック委員会)にあるが、コロナの感染拡大防止に何の責任も持たないIOCに決定権があって良いのか」とコメント。日本政府に対し、選手が批判の矢面に立たないようにするとともに、国民の生命と財産を守るという役割を果たして中止を決断するよう求めた。