エンゼルス・大谷翔平【写真:Getty Images】

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2年ぶりの投手復帰はわずか2先発にとどまった「反省もなかなか出来なかった」

 エンゼルス大谷翔平投手がFull-Count編集部のインタビューに応じ、来季の投手復活へ燃える思いを告白した。18年10月に右肘のトミー・ジョン手術を受け、7月26日(同27日)の敵地アスレチックス戦で693日ぶりに投手復帰。8月3日(同4日)に右屈曲回内筋群の損傷と診断されて打者に専念した。わずか2試合登板、0勝1敗、防御率37.80と不本意な成績に終わった。現在は米国でリハビリに励む大谷は今季の苦闘の日々を吐露。投球フォームを見直していることも明かした。

――60試合制の短いシーズンだった。今季を振り返って。
「ポストシーズンにもあと一歩で行けなかったので、個人的にもそうですけど、悔しかったなと思います」

――開幕前のマイナーで調整する機会もなかった。やはりきつかったか。
「どうですかね……。なかったものは仕方ないので。やっている時に不満はなかったです」

――右前腕筋負傷後はノースロー。シーズン終了後、どのようなリハビリを行っているか。
「投げ始めて3、4週間というところです。今日(5日)は120フィート(約37メートル)を投げました。強度はそれなりに。75、80マイル(約120.7キロ、約128.8キロ)ぐらいですね。順調に来ていると思います」

――今季終了時に「不安なくしっかり投げられるというのが最低条件」と話していた。今季は投球数自体も少なかったが、手応えの1球はあったか。
「手応えのある球は1球もなかったですかね。全体的に。あんまり投げ心地も良くなかったですし、打たれた原因が自分の投げ心地の悪さだったり、出来の悪さだったと思う。もちろん自信を持って投げた球を打たれたなら、どこが悪かった、何が良かった、はあると思うんですけど、根本的に投げ心地が良くないと反省もなかなか出来ない。今年に限って言えば、そういう感じの2試合だった」

――肘の手術を受け、昨オフは投球フォームについて「右腕のルートを変える」と話していた。このオフも変更をしているのか。
「(フォーム変更は)ずっとやってはきてますね。もっと効率よく投げたいなという感じですかね。腕もそうですし、軸足もそうです。タイミングとか使い方とか細かいところからやっています」

――今までの引き出しにあるものから探っていくのか。一から作っていく感じか。
「壊すということはないです。もちろん自分の特長を活かしながら、打撃も投球もデザインしていく必要があると思っています。今までやってきた練習の中で、『自分はどういう傾向があるのか』『どういう持ち味がある投手なのか』をしっかり理解して、そこをデザインしていく感じですかね」

前例のない二刀流選手のトミー・ジョン手術「どこまで辛抱強くやっていけるか」

――メジャー1年目は160キロ超の剛速球、スプリットが効果的だった。
「そうですね。今年もスピードだけ見れば97マイル(約156.1キロ)の球もありました。フィジカル的には毎年毎年良くなっていると思うので、いいとは思います。患部の状態と、そこまで投げてないことによる投げ心地の悪さが原因だと思っています。その2つができれば、投げ心地も良くなると思うし、自信を持って打者、捕手に投げていけると思う。その過程で今年みたいに打たれたとか、出てくるのであれば、それはそれで反省してできるところだと思う。最低条件として、全力で投げることができないと、反省するところも出来ない」

――まずは全力で投げられるようにするのが目標か。
「そうですね。打たれるにしても思い切り投げて思い切り打たれたい。そういう感じかなと思います」

――カブス・ダルビッシュ投手はトミー・ジョン手術後の1、2年は普通じゃないと言っていた。
「それはありますよね。実際、僕も1回目の手術なので、どういう感じなのか、を探りながらの状態でしたけど、最初から思い切りいけるとも思ってなかったし、リハビリの段階が一番きついと言われているので、それは痛みがどうこうではなく、自分がやれると思う、ギャップの差があると思う。そういう気持ち的な部分で思うところもありました。これもまたいい経験かなと思ってます」

――普通じゃないとは具体的にどういったものだったか。
「やっぱり1回1回(投げた翌日の)反応を見ないといけないですし、強度を上げたら強度を上げた時にどのくらいの反応が戻ってくるのか。実戦の中でも、それはあると思うので。思い切り腕を振りたい。だけど、なかなか体が言うことをきかないこともあったと思う。考えていることとのギャップもあると思います」

――同じ手術をしたダルビッシュはサイ・ヤング賞のファイナリストに。状況や状態は違うと思うが、同じ手術をした投手としては励みになるのでは。
「うちの選手も何人かいますし、今となってはそんなに珍しい手術ではないので。やっている人も多い感じですし、自分だけがというのはないですね。ただ、時間がかかる手術でリハビリ。どこまで辛抱強くやっていけるかが大事だと思っています」(小谷真弥 / Masaya Kotani)