松井秀喜、阿部慎之助に「匹敵する」 5戦連発のDeNA佐野が持つ最高の技術とは?
巨人で20年以上スコアラーを務めていた三井康浩氏が解説
■DeNA 2-1 巨人(16日・横浜)
田代富雄、村田修一、トニ・ブランコ……DeNAの佐野恵太内野手が16日、本拠地での巨人戦で球団タイ記録となる5試合連続の本塁打を放ち、歴代のアーティストに肩を並べた。右翼席へ、特大の美しい放物線は長距離砲ならではのものだった。
佐野は巨人のサイド左腕・大江が投げた背後からの球に反応した。本塁打にしたスイングについて、巨人で20年以上スコアラーを務めた三井康浩氏は「あれ以上のフォームはないですね。軸足に体重を乗せて、軸回転で回る。バットのヘッドが遅れてきて、最後のインパクトで“バシッ”と捕まえる。ヘッドも効いていた」と理想的なスイングであったと絶賛した。
三井氏は佐野の打席心理を分析した。これまで4試合連続本塁打で調子はいい。それでも試合展開は1点ビハインドの終盤8回。佐野の打席のところで左対左とするために、巨人は投手を大江に変えてきた。
「追い込まれるまでは、目付は真ん中からインコースにあったと思います。追い込まれるまでは、外の球を追いかけない、内角寄りの一番当てやすいところを待っていたと思います。肩口から抜けて入ってくる変化球は全部、打ちに行く。左の打者だったらそういう感覚であるはずです」
相手は外に逃げていくような球で勝負してくるだろう。対戦が少ないと、それを狙うのは難しい。追い込まれてしまったら、それを打つしかないが、それまでは絶対に外の球に手を出したくないと分析する。
しかし、ボールは内角高めに来た。ここで佐野の高い技術があったという。
一瞬で佐野が行った対応とは? 松井秀喜も阿部慎之助も持ち合わせていた技術
「ひとつ間違ってしまったら、詰まってセカンドフライになってしまうコースです。バッターとしては難しい。でも、彼の技術でカバーした。頭を捕手よりに引いて、体とボールとの距離をとって、捌いていた。インコースを打つのがうまい打者は軸回転で、そういう風に距離を取れる技術を持っています。今日の打ち方は松井くん、阿部くんに匹敵すると思います」
三井氏は巨人スコアラー時代、ヤンキースなどで活躍した松井秀喜氏や巨人2軍監督の阿部慎之助氏ら強打の左打者にたくさんの助言を送り、多くのアーチを“手助け”してきた。2人のスラッガーにも「ボールと距離を取る」共通の技術が備わっていた。
「2人(松井・阿部)ともプロの途中にその意識がフォームに表れ、本塁打を量産できるようになっていました。佐野くんはレギュラー1年目でできているのはすごいです。ああいう厳しいところを捌けるようになれば、外のボールやもっと楽なボールで勝負をされるので本塁打は増えていくと思います」
右翼スタンド中段に飛び込む20号ソロには、深い打撃技術が凝縮されていた。(Full-Count編集部)