TikTokが、中国ですっかり根付いたソーシャルギフトの習慣を米国で広めようとしている。

ロレアル(L'Oréal)傘下のエッシー(Essie)とニックス・プロフェッショナル・メイクアップ(NYX Professional Makeup)は、TikTokが4月25日に発表したギフトサービスプログラム「スモール・ジェスチャーズ(Small Gestures)」に参加した。このサービスは、ブランドから提供された販促ギフトを、TikTokの連絡先に登録している友達や家族にオンライン経由でプレゼントできるというものだ。ニックスは5ドルのギフトカードを一般ユーザーに提供し、エッシーも5月7日からベストセラーのトップコート「スピード・セッター(speed.setter)」8000個をギフトとして提供している。TikTokユーザーは、スモール・ジェスチャーズ機能を使って該当セクション内のページにアクセスすれば、ブランドから提供されたギフトを贈ることができる(1つのアカウントで最大3個のギフトを送信可能)。この新機能は、人々が孤立している状況を利用してソーシャルギフトの復活を目指す取り組みの一環だ。

「(TikTok)プラットフォームの人気が高まるなか、エッシーは両社にとってごく自然な形でTikTokコミュニティと関わる方法を以前から探っていた」と、エッシーで統合コンシューマーコミュニケーション担当アシスタントバイスプレジデントを務めるリズ・ハニガン氏はメールでの取材で述べている。「そこに現在の社会情勢が加わり、ソーシャルディスタンス(社会的距離)のガイドラインに従って自宅でマニキュアをする人が増えたことから、いまがTikTokと提携する絶好のタイミングだと我々は考えた」。

エッシーがソーシャルギフトキャンペーンを展開するのは今年で2回目だ。同社は3月にも、レディット(Reddit)のソーシャルギフトプログラム「レディットギフト(redditgifts)」に参加して、メイクアップ製品とマニキュア製品の交換プログラムを実施している。

アジアで人気のソーシャルギフト

米国では、2012年にソーシャルギフトがeコマース分野のバズワードとなり、ソーシャルギフトのスタートアップが次々と誕生した。だがそれ以降、米国のテクノロジープラットフォーム企業は、ソーシャルギフトの習慣を根付かせる方法を見つけられずに苦労している。Facebookは、やはり2012年にソーシャルギフトの新興企業カルマ(Karma)を買収し、ユーザーがスターバックス(Starbucks)やセフォラ(Sephora)といったブランドのギフトカードをFacebook経由で購入できるようにした。しかし、この取り組みは尻すぼみとなり、2年後に終了となった。

TikTokの担当者によれば、今回のキャンペーンは、新型コロナウイルスの感染拡大によって自己隔離が進む状況を受けてはじめたもので、「このような厳しい時期にTikTokのコミュニティを活用して支援や励ましを感じられるようにすること」が目的だという。

ソーシャルギフトの習慣は、米国よりもアジアのほうがはるかに広まっている。中国では、バーチャル「紅包」(アンパオ:中国のご祝儀の一種)が2014年に登場し、WeChat(微信)経由で友達や家族にご祝儀を贈ることがごく普通の習慣になった。ディオールビューティー(Dior Beauty)などのブランドも、WeChatのミニプログラムを利用してギフトカードを送信できるようにしている。TikTokの中国国内版であるドウイン(Douyin)は、2020年の旧正月中に20億元(約303億円)の紅包を提供し、同じような景品を提供してきたほかの中国系大手テクノロジー企業の仲間入りを果たした。また、日本の矢野経済研究所によれば、ソーシャルギフトは日本でも注目を集めており、2016会計年度には個人間と企業間の両方を含むソーシャルギフトの市場が前年比で171%拡大したという。

「人々がつながれるユニークな方法」

「我々はかつてないほど、自社のコミュニティで人々がユニークかつエキサイティングな方法でつながれるような、イノベーティブなデジタル体験を提供したいと考えている。そして、TikTokは以前から我々の素晴らしいパートナーなのだ」と、ニックスで米国マーケティング担当シニアバイスプレジデントを務めるヤスミン・ダストマルキ氏はメールで説明した。TikTokの分析を手がけるインスパリー(Inspary)のデータによると、ニックスはロックダウン中に「#ButterGlossPop」キャンペーンを立ち上げてフォロワーの数を7倍に増やすなど、人々が自己隔離を余儀なくされているこの時期に、TikTokでの取り組みを活発化させている。

Liz Flora(原文 / 訳:ガリレオ)