通常ユーザーに行きわたったあとは落ち着いた販売台数になる

 日進月歩を続けている自動車産業は、毎月何かしらニューモデル(マイナーチェンジを含む)が登場しているといっても過言ではない。ほとんどの車種は登場直後が一番注目度が高く、販売台数も多いが、時間が経つにつれて緩やかに販売台数は落ち着いていくというのが一般的だ。

 なかでもスポーツカーなど趣味性の高いモデルに関してはその傾向が強く、デビュー直後の爆発力は凄まじいものがあるが、ある程度ユーザーに行きわたってしまうと一気に落ち着いた販売台数になってしまうことが多い(ただし、一定数のユーザーがいるのでまったくの不人気車になることも少ない)。

 そこで今回は、登場時は爆発的な人気となり、納期は1年以上と噂されたホンダS660とスズキ新型ジムニーの現在をチェックしてみたい。

ホンダS660の場合

 ホンダの軽オープンとしてはビート以来約19年振り、ホンダのSシリーズとしてはS2000以来約6年ぶりに2015年に登場したS660。軽自動車ながら本格的なミッドシップレイアウトのスポーツモデルということでデビュー当初は納期が1年以上とも言われる人気モデルとなっていた。

 デビュー直後の2015年4月には1400台ほどが販売され、その後もコンスタントに毎月1000台前後が販売されていたS660だが、昨年2019年度は多くても300台ちょっと、少ない月は150台を割る月も見受けられた。

 全盛期にくらべると1/10程度の台数となってしまっているS660ではあるが、ほぼ荷物を載せることもできない2シーターモデルが未だに100台以上売れているのはむしろ驚きとも言える。今年1月には初のマイナーチェンジを実施し、どのくらい販売台数が増えたのかも気になるところだ。

スズキジムニーの納期はいまなお1年近い

スズキジムニーの場合

 2018年7月におよそ20年振りとなるフルモデルチェンジを果たして新型となったスズキジムニー。軽自動車ながらなんちゃってSUVを凌駕する本格的なクロスカントリーSUVとしての実力を持ちながらも、より乗用車ライクな乗り味も手に入れたモデルとして一躍人気車種の仲間入りを果たしたモデルである。

 そんなジムニー発売直後の2018年7月の登録台数は5000台オーバー(一部旧型も含まれていると思われる)と圧倒的な数字。フルモデルチェンジ直前の3か月間は1000台未満だったことを考えると新型効果は絶大だったといえるだろう。

 当初は2年以上待ちという話もあったほど人気となっていたジムニーだが、現在も1年近く待つこともあるという。販売台数を見てみても、未だにコンスタントに2000台前後が販売されており、この人気はまだまだ継続しそうな雰囲気となっている。

 通常、早ければ1か月も経たずに納車される場合もあるにも関わらず、なぜここまで納期がかかってしまうのかというと、生産台数を上まわる注文が殺到しているから、ということになる。もちろんメーカー側もある程度の予測を立てて生産計画を作っているのだが、それ以上の注文が殺到するとどんどん納期が遅れていってしまうというわけだ。

 S660にしろジムニーにしろ、増産体制を整えて当初の予定よりも多くの台数を生産するようにしていたが、それにも限界があるということで、人気が続くジムニーは現在でも納車待ちが長くなってしまっているというのがじつのところなのである。