夏帆「生半可な気持ちでは出来ない」覚悟を持って挑む、『Red』完成披露
映画『Red』完成披露プレミア上映会が29日、東京の新宿バルト9で行われ、主演の夏帆、共演の妻夫木聡、柄本佑、間宮祥太朗、三島有紀子監督が登壇した。
原作は、現代女性の恋愛心理描写を巧みに表現し、女性から圧倒的な支持を得る直木賞作家・島本理生が、初めて官能の世界に挑んだ「Red」。平凡な結婚、可愛い娘、“何も問題のない生活”を過ごしていた、はずだった村主塔子。10年ぶりに昔の恋人・鞍田秋彦に再会をする。「君は、変わってないな」鞍田は、塔子の気づかなかった心の隙間に悪魔のように入り込んでくる。そして運命は予想もしない方向へ走り出す。
三島組初主演に夏帆は「これまで監督の色々な思いを共有して作品を作り、現場で三島監督が戦う姿も見てきました。その中で主演として呼んでいただけたことで、生半可な気持ちでは出来ないなと覚悟を持って挑ませてもらいました」と気合十分。三島監督も夏帆を主演に抜擢した理由について「鞍田さん(妻夫木)に出会うことで塔子(夏帆)がこれまでしまい込んでいたものを放出していくという、その難しいプロセスを誰が演じられて、誰が演じたら自分が撮りたいかと考えたときに、夏帆さんが思い浮かんだ」と全幅の信頼を口にしていた。
塔子という役柄に夏帆は「つかみどころのない人で、私自身も塔子と一緒に悩みながら監督と一緒にキャラクターを作りあげました。そんな環境で演じることができたことに感謝したいです」と報告。一方、かつて愛していた男・鞍田役の妻夫木は、初共演となる夏帆を「可愛らしいイメージは元からあったけれど、わからないことはわからないと素直に吐露して嘘がなくて好き。最後まで塔子という役柄と戦っていた姿は素晴らしいと思った」と絶賛した。
その夏帆は妻夫木について「悩んでいることをそのまま妻夫木さんに見せてぶつけたらどうなるのだろうかと思ったし、その方がお互いの距離を縮めることができると思いました。それを、妻夫木さんは受け止めてくださって。安心感がありました」と感謝の返礼だった。
塔子に想いを寄せる小鷹役の柄本は演じる上で「ライトに爽やかな塔子の笑顔を引き出せたらと思って演じました」とこだわりを明かし「小鷹は人付き合いもよくて、そつなく周りを盛り上げる世渡り上手。常に70点を叩き出してくる男」と分析。塔子の夫・真役の間宮は「旦那役ということで、夏帆さんと娘役との3人で遊園地に行きました。ただただ楽しい休日みたいでした」とプライベートでは独身だけに、ファミリー感を疑似体験。しかし夏帆は「すごく楽しかったけど、その後に私は妻夫木さんとキッチンスタジオでシチューを作るという…これは一体何なのか!?と罪深い気持ちになりました」とリアル塔子のような環境で役作りに励んでいたことを明かした。
この日のステージ背景には、999本のバラで作られた“Red”のタイトルが。999本のバラには「生まれ変わってもまたあなたを愛し続ける」という花言葉があるそうで、「生まれ変わっても愛したいもの」を聞かれた三島監督は「一緒に映画を作りたいと思う人たち」と映画愛で返答。すると間宮は「その後に答えづらい…」と苦悶の表情も「僕は阪神タイガースを生まれ変わっても愛そうと思う。子供の頃から応援していて、阪神を応援して良かったなと思うことも多いので…すいません!三島監督の真面目な後に」と照れていた。
映画好きの柄本は「映画と映画館を愛したい。映画館という暗闇が好きなので。映画は映画館で観るように作られているから、そこで観ないとちゃんと観ていない気がする」とツウならではのこだわりを見せた。一方、一児の父親である妻夫木は「私事だけど…生まれたばかりの我が子。物理的には無理な話かもしれないけれど、生まれ変わっても愛したいくらいに愛している。もう一生見ていられます」とニコニコで「我が子と一緒にいたいと、沢山子育てをしています」とすっかりパパの顔だった。
続いて夏帆は「猫を愛したい。飼っている2匹の猫が本当に可愛い。だから生まれ変わっても絶対に猫です。撮影中は新潟ロケで会えないのが辛かった。でも撮影の合間も猫の動画を見て頑張ろうと思っていました」と過酷な撮影も、猫に癒されながら挑んでいたと語った。
イベントの最後に、妻夫木は「お話を頂いたときは大人の恋愛映画だと思っていたけれど、完成作品を観終わったときは群像劇に思えた。それぞれの人生を選択する映画だと思うし、自分は何者なのか?人生とは?と自分を見つめ直してもらえる作品」とアピール。主演の夏帆は「1年前の撮影では悩んで苦しんで、でもそれも幸せな時間でした。私も一人の人間として生きていく中で、何を選択して生きていけば、自分に素直になれるのかと考えながら演じていました。観終わった後に皆と語り合いたくなるような映画です」と思いを込めた。
三島監督は「宿命の愛の映画であり、女性の人生の選択の映画。私自身、思い切った選択ができないこともあるし、その選択が周りを傷つけたり、自分を殺すようなこともある。人生には沢山の選択があります。みなさんにとってこの映画が、大切にしているものを見つめ直すきっかけになれば嬉しいです」と期待を込めた言葉でイベントを締めくくった。
映画『Red』は2月21日(金)より新宿バルト9ほか全国ロードショー
(C)2020『Red』製作委員会
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