日本代表MF中島翔哉【写真:Getty Images】

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コンディションとサイド攻撃への守備を考慮し、10番の中島ではなく原口を起用

 森保一監督率いる日本代表は、14日に行われた敵地でのカタール・ワールドカップ(W杯)アジア2次予選キルギス戦に2-0で勝利した。

 左サイドに10番のMF中島翔哉(ポルト)ではなく、MF原口元気(ハノーファー)を起用したことについて、指揮官は「キルギスのストロングポイントと分かっていたので止めようとした」と理由を説明した。

 森保監督はW杯予選開幕4連勝を懸けた敵地での一戦で、10番の中島を今予選で初めてスタメンから外し、ロシアW杯経験者の原口を抜擢。しかし、前半は前線からのプレスがハマらず、左ストッパーのDFバレリー・キチンから対角線に浮き球のロングフィードを送られ、DFビクトル・マイヤーに何度もDF長友佑都(ガラタサライ)の背後を使われた。

 DF吉田麻也(サウサンプトン)とDF植田直通(セルクル・ブルージュ)の素早いカバー、GK権田修一(ポルティモネンセ)のファインセーブでピンチをしのぎ、MF南野拓実(ザルツブルク)の先制PKと原口の直接FK弾が生まれて勝利したが、スコアが逆になっていても不思議ではなかった。

 原口の起用は、コンディションと相手の“攻撃封じ”を考慮して決断したという。

「原口に関してはチームで常に試合に出ているし、コンディション的にも良いということ。相手の2番の選手(キチン)を起点に大きな展開をされて後手を踏むことがあったが、分析のなかで試合前からキルギスのストロングポイントと分かっていたので止めようとした。ただミスマッチの中で上手くいかなかった。(前半)途中からハーフタイムにかけて、そのポイントに関しては確認をして選手を送り出した」

原口が振り返る長友との連係「俺が行くと下がり過ぎなので佑都くんが行くんだけど…」

 中島はこれまでもプレスバックの遅れから失点やピンチを招くシーンが散見されてきた。この日は、キチンへのプレッシャーを見据えて右にMF伊東純也(ヘンク)、ロングボールからの展開に備えて攻守に奔走できる経験豊富な原口をチョイス。それでも相手を抑えきれなかったのが実情で、原口もサイドチェンジへの対応を悔やんだ。

「センターバック(キチン)から長いボールが来るのは分かっていたけど、あそこをもう少し抑えに行きたかったのは正直ある。ロングボールに対してもどっちが行くかとなると、俺が行くと下がり過ぎなので、(長友)佑都くんが行くんだけど、行った時に俺が誰を見るんだというコミュニケーションとかはやりようがあったかなと。2番を完全に切る感じで、逆サイドに持っていったほうがチームとして守りやすかったのかなと思う」

 今後のW杯予選でも、日本の左サイドを狙って攻撃を仕掛けてくるチームはあるだろう。中島の攻撃力は森保ジャパンの大きな武器だが、相手への対策とチームの底上げを考えれば、アンタッチャブルな存在とはせず、原口ら状況に応じたカードの起用が求められそうだ。(Football ZONE web編集部・小田智史 / Tomofumi Oda)