【ファンキー通信】「へその緒」プレゼントで子どもの未来を救え

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 イギリスの企業「スマート・セルズ・インターナショナル」では、一風変わったギフト券を販売している。その名も「臍帯血(さいたいけつ)ギフト券」。文字だけ見れば何やら物騒な印象を受ける一品なのだが、これが意外や意外、大変な好評を博しているらしい。しかも、祖父母から赤ちゃんへの贈り物として。なぜ? そもそも、臍帯血って一体なんなの? 

 「臍帯血とは、臍帯(へその緒)の中にある血液のことです。臍帯血には血液のもとになる造血幹細胞がたくさん含まれているため、白血病や再生不良性貧血の治療に役立ちます」(株式会社アイウィル・湯浅さん)

 凄い! へその緒なんて生まれた後は記念品にしかならないと思っていたのに、まさか人様のお役に立てるなんて! ギフト券の内容は、出生時に採取した臍帯血を保管するというもので、この5年間で約5000人もの赤ちゃんの臍帯血が採取・保管されている。料金は2215ドル(約26万円)と少々割高に感じられるかもしれないが、保管期間が25年間だということを考慮すると、1年間あたり約1万400円の計算になる。孫が25歳になるまで毎年お小遣いを与えていると思えば、案外安いものなのかもしれない。

 しかし、ギフト券販売はあくまでマーケティングの一環であり、本来の目的は臍帯血の採取・保管にあるという。なぜ、そこまでして臍帯血にこだわるのか? 

 「例えば白血病治療の場合、骨髄移植はメリットの他にデメリットも大きく、その要因の一つとしてドナーの負担が大きいことが挙げられます。その点、臍帯血は切り離されたへその緒から採取しているので、ドナーへの負担はゼロに等しい。また、抗原型の適合率も高く、兄弟間ならば4分の1にまで上昇します」(同氏)

 4分の1という適合率は確かに万全ではないかもしれない。しかし、子どもたちの未来により多くの治療の幅が保障されることは、確実である。さらに、臍帯血には造血幹細胞のほかにも様々な治癒力を持つ幹細胞が含まれていて、今後もその活用の可能性は広がっていくとされている。

 現在、このイギリスの企業をはじめとして、世界では約1800もの施設が臍帯血の採取・保管に取り組んでいる。今回取材にご協力頂いた「株式会社アイウィル」も、そのうちの一つだ。子どもたちの未来のために、未知なる可能性のプレゼント・・・なんとも素敵な誕生祝いではありませんか。(安田明洋/verb)

■関連リンク
株式会社アイウィル
http://www.saitaiketsu.com/