8月に発売されたホンダの新型「N-WGN」。会社側は販売計画台数を月間7000台に設定した(編集部撮影)

先日、ついに2代目が発売となったホンダN-WGN。軽自動車の中で圧倒的なシェアを誇るN-BOXをベースに、日常の使い勝手を重視したシンプルなモデルというのがコンセプトとなっている。といっても、基本性能はN-BOXのままというわけではなく、後発ならではの性能向上が図られており、現状では一番進化したNシリーズということができるだろう。


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具体的には停止保持機能までついたアダプティブクルーズコントロールや、夜間歩行者認識性能の向上に、横断自転車認識機能もプラスされた衝突被害軽減ブレーキ、ホンダの軽として初となるテレスコピック採用、電動パーキングブレーキによるオートブレーキホールドなどの機能面のほか、サスペンションやパワーステアリングのロジックまで、進化した部分は多岐にわたっている。

Honda SENSINGは全グレード標準装備

そんなN-WGNの基本ラインナップは、エンジンがターボとNAの2種類、駆動方式が前輪駆動(FF)と4WDの2種類、ミッションはCVTのみとシンプルであり、それぞれにややクラシカルな親しみやすいエクステリアを持つ標準車と、アグレッシブなデザインとなったカスタムの2機種が用意されている。

グレード体系は標準車もカスタムもベースグレードの「G」、装備充実の「L」、ターボエンジンを搭載した「L・ターボ」の各3グレード構成となっており(標準車のGをベースにした助手席回転シート車の設定もあり)、先進安全装備を集約した「Honda SENSING」や、運転席、助手席エアバッグ、サイドエアバッグ+サイドカーテンエアバッグシステムも全グレードで標準装備となっているため、ベーシックなグレードをチョイスしたとしても、装備面で不満を覚えることはまずないだろう。

なお、標準車のGグレードのみ、Honda SENSINGを非装着にすることができるが、その差額は7万1500円と微々たるもの。それだけで先進安全装備すべてが装着されなくなってしまうことを考えれば、まったくもって得策とはいえない。なお、Honda SENSINGを非装着にすると電動パーキングブレーキも備わらなくなるため、ブレーキホールド機能も使えなくなってしまうのだ。

標準車とカスタムの大きな違いは、内外装の仕立ての違いにほぼ終始する。どちらかというと“ファニーな雰囲気”の漂う標準車に対し、カスタムは一転無機質な顔つきとなり、まったく異なる印象を与えてくれる。

また、カスタムには大型のリアスポイラーも備わり、明らかにスポーティな雰囲気を醸し出しており、足元も標準車がスチールホイールにホイールキャップなのに対し、カスタムはアルミホイールが標準となる点も差異となっている。

内装についてもアイボリーの暖かみのある標準車に対して、カスタムは黒系のシャープな色使いとなっており、この辺りもうまくキャラクター分けがなされているといえるだろう。

機能面では標準車もカスタムも差がない

ただ、機能的な面でいうと標準車もカスタムもほとんど差がないと言える。機能面で違うのはカスタムが全グレードLEDヘッドライトになるところ、標準車ではL・ターボ以外はハロゲンヘッドライトとなる点(標準車のLにはオプションでLEDの設定がある)と、カスタムのL・ターボにのみ、本革巻ステアリングが標準装着される点くらいのものなのだ。

なお、標準車とカスタムの価格差はグレードによって異なるが15万〜23万円(税抜)となっており、装備の違いと価格差、魅力を感じるほうでチョイスしてしまって問題ないハズだ。

“軽のNAエンジンは走らない“というイメージが強いかもしれないが、43kW/65N・mを発生するNAエンジンはなかなか元気で、リニアな加速感が得られるG-Design shift制御を持つCVTと相まって必要十分と思えるような走りを見せてくれる。もし、あなたがどちらかというと平坦な地形にお住まいで、高速道路を使っての遠出も頻繫にしないということであれば、NAエンジンでも不満を覚えることはないかもしれない。


新型N-WGN Custom(編集部撮影)

一方、アップダウンが多い地域にお住まいの方や、高速道路での移動、多人数乗車が多いユーザーはやはりターボをオススメしたいところ。やはり動力性能に余裕があるというのは、すべてにおいて余裕が生まれてくるものだ。なお、LとL・ターボの価格差は標準車で15万円、カスタムでは7万円となっている。

実際に買うなら標準車のL・ターボ

もし、個人的にN-WGNを購入するのであれば、標準車のL・ターボをチョイスしたいところ。NAとターボを乗り比べてしまうと、やはり動力性能的に上回るターボのよさを実感してしまう。


N-WGN Customの後ろ姿(編集部撮影)

カスタムを選ばなかった理由としては15万円の価格差というものもあるが、カスタムのL・ターボのみN-WGNシリーズで唯一となる15インチアルミホイールを装着しており、ルックス的にはアリなのだが、どうも足元がバタバタする感覚が拭えなかったのだ。

また、カスタムのターボモデルだとシートがプライムスムース&トリコットのコンビシートとなり、質感としては高くなるのだが、異なる素材の表皮を組み合わせているからなのか、標準車のジャージー表皮に比べて硬さを感じてしまった。座り心地に関しても好みがあると思うが、個人的には標準車のシート全体で包み込むような座り心地が好ましかったため、結果的に標準車をチョイスする形となったのである。

この辺りは個々の好みによる部分でもあるので、購入を検討されているユーザーにおいては実際にディーラーに足を運んで乗り比べてみることをオススメしたい。クルマそのものの仕上がり具合は非常にレベルが高く、もはや下手なコンパクトカーは完全に凌駕したといってもいいほどなので、自分好みの仕様さえ見つけてしまえば購入して後悔することはないハズだ。